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a flood of circle 『I’M FREE』佐々木亮介インタビュー 【前編】
INTERVIEW[2013.07.15]
「FREE」は「自由」じゃなくて、「俺は無価値だ、価値なんて無い」って事
無価値だから価値が有るか無いかは、俺は自分で決める。君はどう思う?

「2013年に必要なロックンロールアルバムを作った」そう語る彼の眼には強い光があった。
フラッドの最新作はバンド史上最強のロックアルバムになった事は間違いない。
フロントマンの佐々木亮介にアルバムの制作裏話や全曲紹介等、熱く語ってもらった。
ロングインタビューのため前後編に分けてお届けする。
●第一弾インタビューです。よろしくお願いします!
佐々木亮介:光栄です。よろしくお願いします。
●7/17リリースの『I’M FREE』、凄く良いアルバムになりましたね。カッコイイっす。
佐々木:そうですね(笑)。カッコイイアルバムになったなと思います。
●ここまで押せ押せな作品は今までに無かったなと。
佐々木:ああ、『FUCK FOREVER』と『Dancing Zombiez』もそうなんですけど、今のレーベルに移籍してからはそういう押せ押せなモードになっていて。今までバンド的には振り回されてきた事が多かったので、今は姐さん(HISAYO)が入って2年半にもなるし、バンドとして一つの答えになったアルバムが作れたのかなって。今自分が、今年聴きたいアルバムが出来たなって思いますね。
●じゃあ移籍のタイミングで押せ押せモードになって、今回のアルバムまで来たと。
佐々木:まあ、たまたまですけどね(笑)。なんか、『FUCK FOREVER』の時に、自分の尖ったスイッチが入っちゃったんですよね。当時だと、体調の悪い時もあったし、自分にムカついた時期もあったし。
●ああ、某誌(笑)でクソヤロー時期って言ってた、色々落ちてる時ですね。
佐々木:そうそう。例の時期があって、それこそ震災の後で反動で出来た『I LOVE YOU』があって、冷静になるっていうよりかは怒りが燃え上がってきて、そこでスイッチが入って、それで押せ押せになったと思います。遅れてきた反抗期と自分では呼んでるんですけど(笑)。バンドの環境のせいにしなくて良くなったっていうのがデカくて。今2013年に必要だと思うものを作ろうっていう気概はあったんですけど、周りの環境が変わったことに対してガムシャラに答を出していくんじゃなくて、ちゃんと言葉も音も選んで、今のロックンロールは何なのか?っていう事に向き合う時間が出来たんです。
●本質的な部分のところで。今までは色々有りましたからね。
佐々木:そうですね(笑)。それを他人のせいにしなくてよかったっていう感じですね。だからバンドのための曲が凄い出来たし。
●それは今までとは違うやりがいとか、手応えのような?
佐々木:今必要な物を作るにあたって、自分で色々言葉を歌詞を考えたりするじゃないですか?それに対してメンバーのリアクションも凄く良くなってきて、だから、今バンドの状態が凄く良いっていうのも一つのキーワードですね。今必要な物が出来たっていうのは、2人の理解であったり、時間が経ってお互い色々分かってきた部分もあるし。ココはこいつらショボイぞって姐さんが分かってきたり、俺も姐さんにもっと求めるものが出てきたりして。それが凄い有機的と言うか、良い関係になってきた。
●よりバンドとしても練られて来て、状態も良くなっているからこその。
佐々木:だからガムシャラにグワーって怒りだけを書いているっていうよりかは、それをメンバーが一回受け止めてくれて、ロックンロールとして表現できるっていう形になってきて。
●よりバンド感が増した?
佐々木:うん、今本当にそうですね。

●前は、良い物が出来ても、ここまで押せ押せな感じは受けなくて、だから今回はそれぐらいの自信があるんだろうなって。
佐々木:そうですね、自信は凄くあります。7年ぐらいバンドやってきてて、バンドとして転がっていくだけじゃなくて、ちゃんと変化して、深いほうの「進化」もするべきなんじゃないかなって。メンバーに求める物が進化したりもしたし、理解っていう意味でもそうですけど、ライブのグルーヴの作り方とか、レコーディングの音作りとか、俺も自然にメンバーに欲する気持ちになってきたと言うか。前までだと、歌詞を書いて、こういう感じの曲だから、付いて来てっていう感じで。『LOVE IS LIKE A ROCK’N’ROLL』(4th AL)までは正にそうだった。姐さんもバシンと出してくんないと付いて行けないからバシンと出してって、感じの関係だったんで。
●ああ、指示をガツンと出してほしいと。
佐々木:そう。だけど、今はもっと具体的になったと言うか、こういう感情だからこんな音が欲しいとか、そういう会話が、立体的に出来るようになった。
●それはもう、バンドとして強くなるわけだ(笑)。
佐々木:そう(笑)。打ち上げで呑んでたのは無駄じゃ無かったなって(笑)。さっき、『I'M FREE』が2013年に必要だって言いましたけど、このFREEは「自由」じゃなくて、「俺は無価値だ、価値なんて無い」って事で、無価値だから価値が有るか無いかは、俺は自分で決めますよって。君はどう思う?っていう歌詞を書いてるんですけど、そういう事を書いても、じゃあ、この曲には何が必要か?っていうディスカッションが大きくなった。前は俺がオーダーした物を弾いてもらったり、ガッと固めるっていう形だったんです。今は、歌詞は俺が書いてるんだけど、そこに確実に姐さんやナベちゃんのスパイスが入ってる。だから、『ロックンロールバンド』っていう曲とか…タイトルどおりですけど(笑)、『Diamond Rocks』っていうのはナベちゃんをイメージして書いた曲だし、『Beer! Beer! Beer!』は姐さんだし。バンドっていう自分の棲家がちゃんとあって、そこがスゲー大事だから、そこから世の中を見たときに何が見える?っていう書き方が出来る様になってきた。
●それは大きな変化ですね。
佐々木:そう、前は自分が独立してて、そこに対・バンドとか対・世界みたいな物があったんだけど、世界っていうか、世の中っていう意味で。そこが、バンド対何か、バンド対聴いている貴方、バンド対世界みたいな仕組みにやっとなれた。多分それって普通の事なんだけど、前までは感覚として解ってなかったんですよ。
●そのモードっていうのは『FUCK FOREVER』から?
佐々木:んー、多分『LOVE IS LIKE A ROCK’N’ROLL』、2011年、姐さんが入って最初のアルバムの時から、うっすら分かってたし、どっかでそうなりたいと思ってたんだけど…バンドを固めたいとか、そういう時間も欲しいし。本当は時間のせいじゃなくて自分の中のモードがそうだったんだと思うけど。すぐイライラしたり落ち込んだり体調も悪かったりして(苦笑)。そういう中でカッコイイアルバムが出来たのは不幸中の幸いだったんだけど。でもそういうことじゃなくて、なんかこう、バンドとして何を出すべきか時間を掛けて考えたし。
●それは一回、落ちたからこそ開けられた扉みたいな。
佐々木:そう、多分バンドのメンバーが変わったんじゃなくて、俺が変わったから、皆もそういうモードになったんだと思う。
●全ては俺だったと(笑)。
佐々木:良くも悪くも(笑)。MCとか歌詞とか、なるべく言いたい事を言い切りたいって思うんですけど、何かこう、メンバーに対しても同じ事言っていなきゃって。全方面に対して、自分が言いたい事を歌詞に書き切れたっていうのが凄くデカかったなって。ブログとかを止めた反動もあるんですけど(笑)。『FUCK FOREVER』も『Summertime Blues Ⅱ』もこの『I'M FREE』も、物凄くいっぱい歌詞を書いて。
●確かに(笑)。文字が多い。
佐々木:うん。言いたい事を言い切るっていうのが、今の俺の役目だと思ってるし、メンバーもそれをひしひし感じてくれてると思う。お互い良い意味でこう、「言い切りなさいよ」ってプレッシャーもあるし、「これにこう還してね」っていう、やりとりが出来る様になった。
●ワンランク上のやり取りが出来る様になったんですね。
佐々木:そうそう。毎回、メンバーが変わる度に(苦笑)覚悟してますって言ってたけど、メンバーどうこうって、今となってはバンドが続いてるからこそ、どんどん固まってたんじゃないかなって気がしてきて。『ロックンロールバンド』で「今日が最後かもしれない」って歌詞を書いたんですけど、それが結構自分の中では大きなテーマで。バンドマンとして毎回、ライブは一本しかないからって当然あるんですけど、それ以上に今のa flood of circleの在り方とか、姐さんとの関係性とか、震災以降に変わってきた部分も多くて。震災以降って世の中も大きく変わったじゃないですか?でも当時あった危機感みたいな物や、大変な事があったからこそ何かが愛しく思える事とか、どっちも時が経つにつれてどんどん薄れていってると思うんですよ。自分の中でもそれを感じたり。だから価値がどうこうとか、今日が最後かもっていう、ロックンロールは今、此処ですっていう感じを、今、書き切りたいって思って。
●それは自分の欲求として?それとも使命感のような?
佐々木:どっちもあります。バンドって最初は憧れみたいなものから始まったとしても、今は色んな状況が変わりすぎちゃって、ロックンロールしか出来ないっていう身体になっちゃった(笑)。なんかそういう意味での使命感もあるし、時代的に、今2013年の日本にはロックンロールが必要なんじゃないかっていう思い込みが凄くて。
●なるほど。それがコレを作らせたのなら良い原動力だと思います。各曲のアレンジがココまで明確になっているのも驚きましたし、正面切って全力でケンカ売ってきてる感じがカッコイイです。
佐々木:ははは(笑)。そうですよ、無駄に挑発的な所あります(笑)。
●そう、ロックンロールアルバムとして、正しいと思います。
佐々木:そこを如何に楽しむか、怒りとかもやもやした物とか全部、抱えたまんまでロックンロールしようっていう感じで。世の中全般、何か大事な物が薄れちゃってるっていう感じを危ないなと思ってるし。危機感みたいな物を一回忘れて、おチャラけて楽しむだけのロックンロールじゃなくて、それを持ち込んで踊って良いんじゃないかなって。
●抱えたまんまで。
佐々木:そう、抱えたまんまで。それが出来るのってロックンロールだと思うんですよ。他の音楽のスタイルじゃなくて。別に革ジャン着なくても良いんですけど(笑)。俺が思ってるロックンロールにはそれがあるし、そのデカさ、許してくれるっていう感覚はロックンロールに必要な所だと思う。
●ロックンロールの懐の深さみたいな?
佐々木:うん。それを自分でも感じるし。ロックンロールバンドとしての自分じゃなくて、ロックンロールっていう物に対してね。色々何が変わっても、俺達ココしかないからっていう気持ちがあるから。それはバンドマンとしてもそうだし、一生活者としても。…これ最近つい言っちゃうんですけど、あの、バンドマンなんて普通に考えたらチンピラみたいなモンだなって思うんですよ(笑)。だけど、ギター持ってライブハウス各地に行って叫んでる事によって本当に意味があると思って。もうコレしか出来ない。どっちの意味でもコレしか出来ないってあるから。チンピラだからこそ、ロックンロールだからこそ、言えることがあると思ってる。