ネモト・ド・ショボーレ対談連載
TALKIN' REC TAPES #7ゲスト:あヴぁんだんど 宇佐蔵べに
SPECIAL[2017.11.22]

ネモト:この間チャーベくんがプロデュースした7インチ『ドーナツふれんど』のジャケットがSTRAWBERRY SWITCBLADEそのままだったじゃない?
べに:あぁ、そうです。
ネモト:あれは誰が考えたの?
べに:前の3周年記念ワンマンの時に頭飾りを披露しようってなって、私がSTRAWBERRY SWITCBLADEが好きだったので「これとそっくりに作ってください」って頼んで。
ネモト:そうなんだ。STRAWBERRY SWITCBLADEはちょっと前から、この感じ誰かやればいいのにって音楽好きな周りの人たちと話してたから、凄くびっくりして。そういうのも点と点が線になる感覚で。チャーベくんが書いた曲とジャケが凄くバランスよくて、曲はガールグループみたいな感じだけど、80年代のキラキラした感じとイメージが合ってた。
べに:本当はSTRAWBERRY SWITCBLADEの曲をカバーしようってチャーベさんと話してたんですけど、それは今度でもいいかなって。
ネモト:あの曲めちゃくちゃ良かったよ!この間チャーベくんがDJやってる時に「明日までにテストプレス盤を聴かなきゃならないんだよ。あ、じゃあ今聴こう」って言ってかけてて、それで聞いたの。そしたらみんな「この曲めちゃくちゃいいね!」って盛り上がって。
●その場の反応もわかっていいですね。
ネモト:家で聴くより大きい音で聴けるし、正しいチェックの仕方だよね(笑)これクラブヒットしそうだなって感じだった。
べに:嬉しい〜!
●あヴぁんだんどは曲に関しても、こういう方に依頼したいっていうところからご自分で進めてる感じですか?
べに:そうですね。前はプロデューサーがいたんですけど、色々あっていなくなっちゃったので、私がプロデューサーになるしかないってなって。それなら好きな人に頼みたいなって。チャーベさんの曲はいつか歌いたいなって思っていたんです。
ネモト:『SHAMPOO PLANET』のカバーしてたもんね。
べに:本当にいい曲ですよね。あれは勝手にカバーしたわけじゃなくて、チャーベさんが「あヴぁんだんど、あの曲カバーしたらいいよ」って言ってくださって、「えっ!じゃあすぐに」って。ずっと前から勝手にあヴぁんだんどでやったら良さそうと思ってたから嬉しくて。
ネモト:俺ね、1曲うさべにちゃんにCHILDISH TONESで歌ってほしい曲があって。ヨシノさん昔SUNNYCHARってバンドやってたんだけど、『99 IS MY LUCKY NUMBER』って3コードのロックンロールで凄くポップないい曲でみんな大好きな曲があって、その曲をいつか一緒にやれたらなって。
べに:やりたいしかない!
ネモト:ヨシノさんの曲を一緒にやりたいと思った。ちょっと前にうさべにちゃんのこと、ヨシノさんにメールしたことがあったんだけど、そしたら私も去年から知ってるって。
べに:そうなんです。CDも人づてに頂いて。いつかお会いしたいなと思ってます。ネモトさんはどうやって知り合ったんですか?
ネモト:当時、デキシード・ザ・エモンズってバンドと仲良くて、そのドラムのハッチとウラさんと一緒にショボーレスリーってバンドをやってて。それは俺がDJでかけてた60年代のブリティッシュビートの曲をカバーするバンドをやろうって始まったんだけど、96年に7インチを出して、その頃ヨシノさんはウラさんとバンドをやってたから、レコードを聴いて凄く好きでいてくれて、それで知り合った。ヨシノさんは一人でチロリアンテープって名前でも活動してたんだけど、周りのバンドの曲をカバーするアルバムを作りたいってなって、その時のレコーディングに、デキシーのベースだったイワジーも参加して。で、ウラさんがドラムでスタジオに入ったらなんかいいねってなって、それがチロリアンテープ・チャプター4になった。それとは別に、ウラさんがベースボーカルのバンドもやりたくてThe Nerdsを始めて、それはヨシノさんがドラムをやって。だから、チロリアンテープ・チャプター4とThe Nerdsってドラムとボーカルが入れ替わってる感じで、同じ曲やったりしてる。『Bubble Gum Blows』とかね。
べに:そうなんですね。あれは原曲ありますか?
ネモト:あります。最初は昔ショボーレスリーでやってたTHE TROGGSっていう60年代のバンドの曲を元にThe Nerdsで作って、それをヨシノさんが違うアレンジしてチロリアンテープ・チャプター4でやったり。ヨシノさんもオールディーズって呼ばれる音楽好きだったし、RAMONESとかも凄く好きだったし、みんなそれぞれのシーンにいた人なのにいろんな音楽を関係なく持ちよれちゃった。「この曲やりたいね」って言ったら、すぐ形にできるメンバーだった。それは上手いとか下手とかじゃなくて、感覚が近かった。スタジオでジャーンってやったらすぐ形になったり。
べに:いいなぁ。アイドルはそういうのないから羨ましいなって思います。
ネモト:でも、逆に自由でいいなと思う。人に曲を提供してもらうっていうのも、バンドでもあることだけど、意味合いが違う気がする。バンドは曲を書ける人がやってたりするから、曲を書ける人が人に頼むのと、書かない人が曲をもらうのは全然違う。バンドはどっちかっていうと、それを自分のものにするっていうか。
べに:アイドルは振り付けもしますしね。
ネモト:うん、うさべにちゃんが面白いのは、振り付けも自分でもやるっていう、そういう文化が俺らにはないから。アイドルには必要な要素だからね。
●アレンジの一つみたいな感じがしますよね。
ネモト:そうそう!見せ方だよね。
●べにさんは、今聴いている音楽の前に、まずアイドルの音楽が好きだったんですか?
べに:そうですね。アイドルになりたいって思ったのは、アイドルの音楽が好きだったからですね。同世代のアイドルのことも好きで、女の子から見ても可愛い女の子が好きだったんです。アイドルを始めたのが、中3のちょうど高校受験の頃なんですけど、それまではずっと地元にいて東京に行ったりもしなくて、小5からネットサーフィンをしていて。だから、何かに打ち込める人が羨ましくて、アイドルを好きになったのもオタクっていうのに憧れて好きになったっていうのがあって。アニメとかも好きでしたし、ライブキッズにも憧れがありました。
●やってる人ではなくて、見てる人に憧れるって面白いですね。
べに:そうなんです(笑)。中学生の時「私はこれが一番好き」っていうものがないなって気づいて、アイドルオタクとか本当に好きなものがあるのって羨ましいなって思ってたんです。
ネモト:普段からよく思うけど、自分は本当に好きなものがあって良かったなって。好きな映画で『桐島、部活やめるってよ』ってあるんだけど、そういう映画だと思うし。好きなものがあるっていうだけで、その人生は幸せで、どんなにお金があって例えば女の子にモテるとか、いろんなことに恵まれてても、好きなものがなかったら俺の勝ちみたいな(笑)。だから中学生の頃に見つかっているっていうのは凄く幸せだよ。それが全部今に繋がってるじゃん。
べに:そうですね。ひしひし感じます。
ネモト:俺は小学生の時に歌謡曲好きになって、流行り歌や松田聖子とか聴いてて、中学生になってビートルズとか佐野元春とか知って好きになっていったんだけど、小学生の頃に聴いてた聖子ちゃんの曲を大瀧詠一が書いてたり、多分小学生の頃に聴いてた音楽の感覚が、全部今に繋がってると思う。オールディーズ感もあるしね。ラッツ&スターとかシャネルズとかああいうのもね。80年代はオールディーズブームでチェッカーズとか流行ってて、その感覚があった上で、パンク好きになって。
べに:小さい頃に聴いてたものが、今になって「あれはあの時の!」ってなるの本当にありますよね。小さい頃お母さんが音楽番組好きで、あの頃の歌謡曲ベスト10みたいな番組ばっかりテレビで見てて、それで私も坂本九とか大瀧さんとか好きなんだと思います。