ネモト・ド・ショボーレ対談連載
TALKIN' REC TAPES #6ゲスト:松田“CHABE”岳二【前編】
SPECIAL[2016.09.14]
ロックンロール・レーベル「DECKREC」主催のネモト・ド・ショボーレ氏が、交友のある音楽、映画、漫画、演劇…様々な場で活躍する多種多様な人たちを迎えて送る、ジャンルレストークセッション「TALKIN' REC TAPES」。
第6回目のゲストは、ニール&イライザやCUBISMO GRAFICOとしての音楽活動を始め、DJやリミキサー、ギャラリー主宰など様々な顔を持つ、松田”CHABE”岳二さんをお迎えしました。二人が親密になるきっかけとなったCHABEさんの新バンド・LEARNERSのことや、同じ歳の二人ならではの音楽話を、前後編でお届けします。
後編はこちら
ネモト・ド・ショボーレ(以下 ネモト):CHABEくんと初めて会った時のことは凄くよく覚えていて。西寺郷太(NONA REEVES)くんの弟の阿楠くんの店、三軒茶屋のSUNKINGにキンちゃんと一緒に行った時にいて、紹介されたんだよね。
松田”CHABE”岳二(以下 CHABE):そうそう。それでその後、ネモトさんがツイッターで「アンプ売りたい」って言ってて「それ買います」って。
ネモト:VOXの60年代の小さいアンプで「誰か買いませんか?」ってツイートした2分後位にCHABEくんが連絡くれて(笑)
CHABE:弾き語りとかもやりたかったんで、大きさもちょうど良かったんですよね。
●それはいつ頃のことですか?
ネモト:5年前とかかな。
CHABE:僕はネモトさんのやられているバンドも名前は知っていたんですけど、ちゃんと会って話せたのは、それが初めてで。
ネモト:キンちゃん繋がりだよね。俺が下北のCLUB Queでバイトしてた時に、新井(仁)くん達とギターポップ系のイベントやってたDJのKINKっていう奴と知り合って。でも、いる場所が違ってたから、当時はそんなに付き合いは無かったんだけど、キンちゃんがBlack Lipsっていうアメリカの現行ガレージバンドの日本盤を出したり、来日公演をやったりしていて、その最初の来日の時に対バンとかを俺に相談してくれて、俺もそのバンドがすごく好きで、それがきっかけで話すようになった。そしたら考えが近くて、その頃に俺とKINKが話してたことが、何の計算もなく、LEARNERSに繋がっていった感じがある。CHABEくんがやってるLEARNERSは今一番好きなバンドなんだけど、LEARNERSを最初に見たのもたまたまで。
CHABE:2回目のライブだったよね。
ネモト:1回目のライブはBlack Lipsのサポートだったんだけど、俺は2日目に見に行ってて、LEARNERSは1日目に出てたんだよね。
CHABE:そう。でも、ネモトさんが見にきてくれた2回目のライブから始まりましたよね。ネモトさんが撮ってくれたライブの動画を小西(康陽)さんとか、いろんな人が見てくれて。
ネモト:それまで動画とか撮ったことなかったんだけど、その少し前にiphoneを買い換えて、動画を綺麗に撮れるんだってことは知ってて、自分のバンドのスタジオ風景を撮ったりはしてて。それでLEARNERS見た時に、1曲目始まった瞬間に、「これは記録しなきゃ!」って衝動的に撮って。でもYouTubeでアップする仕方とかも知らなくて、どうしようってなったんだけど、動画加工とか色々できるって分かって、LEARNERSは古い8ミリフィルムみたいな加工がいいなと思って、始めたのがちょうどタイミングが良くて。
CHABE:あれはねぇ、LEARNERSが拡散するにあたって一番の媒体だった。音源もまだなかったし。だから12月に音源を出すときに、みんなが「よっしゃ、きた!」ってなってくれたのは、ネモトさんがライブごとに映像あげてくれてたからだと思う。凄いことですよ。
ネモト:そっから、LEARNERSをずっと追いかけて撮るようになって。前にこの対談でも出てもらったけど、映像作家の竹内道宏(a.k.a. たけうちんぐ)くんが、神聖かまってちゃんを追いかけて動画をずっとアップロードしてて、その流れもあってかまってちゃんがブレイクして、その後、自分が関わったうみのてでも竹内君がずっとライブ動画撮ってて、世の中に広がっていったネットの力を間近で見て感じてたから、そこに影響されたのもあると思う。LEARNERSを撮り始めた時はそんな意識はなかったけど、途中から、「あぁこれか」って思うようになって。
●伝えなくちゃって気持ちが大きかったんですね。
ネモト:そうそう。自分のレーベルのバンドとかじゃないし、関係ないって言えば関係ないんだけど(笑)、自分のロック観の歴史があって、そこにないバンドだったんだよね。それまで見てきた勢いと熱量をぶちまけるような力技のロックンロールは、ギターウルフに始まってKING BROTHERSとか、毛皮のマリーズもそこに当てはまると思うんだけど、そのフォロワーみたいなのにいいバンドが全然いなくて、うんざりしてて。とにかく曲がよくなきゃ駄目だなとか基本的なことを考えてて、その後住所不定無職とかリリースし始めて、その中でCHABEくんに住所を1曲リミックスしてもらったりしたのもあって、そんな流れがLEARNERSを見るきっかけにもなって。あとLEARNERSのギターのチエちゃんはすごい昔から知ってて、でもなかなかメンバーに恵まれない子だったので、ここで世に出れて本当に良かったなって。