■2019.7.13 東京 Mynabi BLITZ Akasaka
a flood of circle TOUR“CENTER OF THE EARTH”
~アーユーハイテンション?~
REPORT[2019.07.30]
今の4人で作り上げたアルバムをひっさげたツアーファイナルが赤坂のBLITZにて行われた。梅雨の小雨降る夜、BLITZの中は熱気に溢れている。ステージのバックには『CENTER OF THE EARTH』のマークが掲げられていた。客電が落ち、歓声が湧いてSEが流れ出す。赤いライトに照らされたステージにメンバーが現れると更に歓声が湧いた。黒を基調にしたステージ衣装は彼等の正装だ。4人が揃うと一斉に音を鳴らし、まずは挨拶。Vo.&G.佐々木亮介の「オハヨウゴザイマス a flood of circleです。Are You Ready?」との呼びかけに呼応するようにフロアからは歓声と拳が上がった。佐々木のギターがかき鳴らされ『Flood』からライブスタート。一気に場内の温度が上がる。Drs.渡邊一丘がここぞのタイミングでドラムスティックを振り上げ、フロアを踊らせていく。3曲目『Vampire Kila』ではイントロのベースフレーズでBass.HISAYOにスポットライトが当てられ歓声が湧いた。この曲は4人のシャウトも見ものだ。間奏ではフラッドの末っ子、G.アオキテツがステージ前にせり出して低重心のギタープレイ。フロアは更に熱狂していく。曲終わりで渡邊がスティックでHISAYOを指し、4曲目『Blood Red Shoes』へ。ビリビリするベースの音色にゾクリとする。ひと呼吸挟んで5曲目を走り抜け、『Drive All Night』へと続く。青いライトがこの曲の美しさと切なさを象徴しているようだった。繊細なギターラインが爆音の中に活きて絶妙なバランス。バンド自体の人間力と言うか人間臭さも上がったような気がする。これはもうフラッドにしか表現できない音世界なんだろう。
『Rodeo Drive』では佐々木がギターを置いてハンドマイクに。これはもう暴れる合図!佐々木とテツが前に出て客を煽り、HISAYOはセンターでダンス! 掛け声をフロアに誘ったりして会場の一体感が増していく。「ロックンロールをする準備は出来てますか?」と問いかけ、『美しい悪夢』へ。MVのように妖しくカラフルなライトに彩られた空間は、あの映像世界の中に入ってしまったみたいだ。各パートの見せ場もあり、テツの嬌声シャウトも聴き処! キメではスモークも発動し、ミラーボールもクルクル回って、大盛り上がり! ライブで楽しいナンバーに決定だ。
次の『Youth』は佐々木の弾き語りで一節しっとりと歌ってから、バンドサウンドで一気に駆け上がる。白いライトが眩しくて目がくらんだ。次のしっとりゾーンでは暗い照明になり、そしてまたアッパーなシーンへと、明暗を叩きつけられて不思議な感覚になる。そのままライトが絞られていき次の曲へ。佐々木が囁くように歌を紡ぎ出した『スノードームの夜』ではステージに静かにスモークが漂い流れ出し、雲の上のよう。いや、曲の世界感にある雪の景色なんだろう。メンバーのバックには小さな吊りライトが沢山配置されて星空になった。佐々木のホワイトファルコンのまろやかなギターの音色が曲のメッセージ性と相まって、強くしなやかに会場を満たしていく。サビではライト達が点滅して、本当に星が瞬いているように見えた。透明感のあるコーラスも、彩りを増すギターも、ベースの暖かな音色も、全てを支えるドラムも、完璧な調和を生み出していた。とても美しく忘れがたいシーンを見せてもらったと思う。曲が終わると長く大きな拍手と歓声が起こっていた。
テツのギターフレーズで雰囲気を変え、次は『プリズム』を演奏し、MCへ。話題はメンバーの忘れ物や、東京の匂いについてなど。相変わらずトークの収拾が付かない感じもフラッドらしくて良し(笑)。HISAYOはツアー中、ビールを1杯までに節制して来たそう。今夜は飲みます、との宣言に歓声が湧いていた(笑)。メジャーデビュー10周年と言うことで、何と「革ジャン」を作った話も。RUDE GALLERYとのコラボグッズで「本気で作ったので高い(値段)」との事。前々から革ジャン作りたいと話していたが今回遂に実現だ。
「フラッドがここでライブ出来るのは今日が最後だからぶち上がっていく!」話し(BLITZは営業終了することが決まっている)、佐々木の「Hello, hello new world, hello new world」のシャウトから『The Key』へ。TVアニメ「群青のマグルメ」のエンディングテーマにもなったパワーナンバーだ。ステージから、会場全体から上がる熱量に圧倒された。一瞬で知恵熱が湧いたような、自分ではどうしようも出来ない衝動感に浮かされる。
次に渡邊が特徴的なリズムを叩き出すと歓声が起こった。キャッチーな『春の嵐』だ。途中、佐々木がHISAYOを誘って二人で前に出る場面もあり、ララララのフレーズをテツと佐々木が一つのマイクで歌ったりと、見せ場多めで会場は更に湧いていく。春の後は冬から前へと走る『光の歌』を演奏。少し間をあけて、テツが「テンション低いんじゃないんスか?飛ばして来いよ!」と煽り、佐々木が引き継いで更に煽りつつ曲名コール、『ハイテンションソング』! 盛り上がり必須ナンバーにダイバーも続出。曲に合わせてスモークが大噴出してド派手なステージに。熱狂のまま『Dancing Zombiez』へと続く。「かかってこい!」と佐々木が一声上げるとフロアは一気に踊り出した。ステップを踏みベースを刻むHISAYO、モニターに足をかけてギターを掲げ揚げるテツ、両腕ガッツポーズで天を仰ぐように見上げた佐々木、それぞれのシーンがカッコよくて目が離せなくなる。「まだまだあるぜ!俺達とあんた達の明日に捧げます」と『シーガル』へ。サビではフロアにマイクを向けた。爆音の中、オーディエンスの歌声がしっかりと曲をつなぐ。テツがドラム台に飛び乗り、渡邊とアイコンタクトを取りながらプレイするシーンも。大サビの爆発力が半端ない。初期から変わらずライブ定番の名曲だ。
本編ラストはアルバムタイトル曲『Center Of The Earth』。ギターで弾き語るように「俺達まだ行けますよ。進むしかねぇ。疲れたら休んで。お互いのやり方で一緒に行こうぜ」とメッセージを投げかける佐々木。その熱がフロアに伝染していく。ステージが赤いライトに照らされて、「ああ、これぞフラッドだな」と妙に納得してしまった。華やかなギターフレーズが放たれ、今までのフラッドと最新の彼等をミックスして昇華させたような、未来を見せてくれるアッパーなナンバー。ステージ上のメンバーは楽しく仕方がないって感じで笑顔がほころぶ。佐々木はフロアを見渡して「大好きだよ」って歌いながら汗だくでサイコーの笑顔。こんなに鮮烈なプラスのパワーが発生するなんて、ライブは魔物だ。最後は佐々木のジャンプで締め!「thank you!」と一言残して終了。
アンコールの拍手に応えてメンバーが現れ『群青日和』(東京事変のカバー)をプレイ。シングル『The Key』のカップリングになっている曲だ。ライブではリリース時期にしか聴けないかも知れないと思うとレア・ナンバーかも。続けて『ベイビーそれじゃまた』を演奏してアンコールも終了。が、ファイナルと言うこともあり、フロアからおかわりをねだる拍手が止まらない。再度メンバーが登場し「アンコールありがとう」と挨拶。ここでテツ主体でツアーグッズの紹介も。渡邊が補足説明もしつつ、和やかな雰囲気に。このツアーは写真家の新保勇樹とタッグを組み、写真集が作られるそうだ。テツは「3冊買え!」と猛アピール(笑)。最後は『世界は君のもの』、フレーク柄のライトがステージからフロアを舐めて壁まで達し、光が飛んでいくようだった。大サビの「飛ぶだけ」のフレーズをフロアに委ねると。場内の空気が揺れる程の声が返される。2時間弱のロックンロール・タイムは最高の一体感で幕を閉じた。最後に佐々木がステージに残り、マイクを通さずに観客に語り掛ける。「俺、マジで、今が一番無敵な自信があるんだ」そう言った佐々木には一ミリのブレも無い。フラッド最強のシーズンが訪れたんだ。
11月にはメンバーがそれぞれ曲を作ったというミニアルバムをリリース、それに伴い年末年始はツアーもあるとのこと。イベントも多数あり、佐々木のソロワークもあり、メジャーデビュー10周年の彼等の動きは正に祭りだ。楽しみで仕方がない。
(TEXT:朝倉文江 / OFFICIAL PHOTO:新保勇樹)