■2019.5.18 東京 下北沢CLUB Que
カミナリグモ BAND ONEMAN LIVE
“OUR TREASURED SCRAPPY SONGS”
REPORT[2019.06.28]
昨年12月に2人体制のアンプラグドワンマンで活動を再開させたカミナリグモのバンドセットワンマンが行われた。会場は活動休止前のラストライブをした下北沢Que、またここから始まるのだ。
満員の会場はまたカミナリグモが見れるんだ!という期待感に満ちていて、皆嬉しそうにメンバーの登場を待っている。軽やかなSEが流れ、1曲目は『サバイバルナイフ』、ボーカル・上野の歌とギターだけで「戦うよ その続きを決めるのは僕だ」という歌い出し、今日の日になんて相応しいんだろうと思った。そのフレーズだけで鳥肌が立ってしまう。成瀬(ghoma)の鍵盤が入り、鮮やかに音が踊っていく。今夜のサポートメンバーはベースに菅野信昭(FoZZtone)、ドラムに堀正輝というメンバーと同世代の布陣だ。各曲、イントロが奏でられるとフロアは「あの曲だ!」という笑顔であふれる。久しぶりに浴びる音に皆楽しそうに乗っていた。3曲続けて演奏し、最初のMCタイム。「久々のバンドのライブは良いですね」と笑顔を見せる上野。フロアからは大きな拍手が返される。菅野と堀は上野ソロで一緒に演奏している面子だそう。どおりで息が合ったプレイだ。「同年代だけど、ゴマちゃんだけちょっとおじさん」発言も!すかさず「いやいや、あんま変わらないでしょ」と切り返す成瀬。「もう折り返しだから。皆もそうでしょ?」と、年齢ネタが続き、会場に笑いが溢れる。
次は彼らのデビュー曲となった『ローカル線』。2人の声が重なるセクションを聴くと戻って来てくれたんだなぁと実感が湧いた。各パートの見せ場も楽しい『TOYS』、華やかな展開の『ロードムービー』、ファニーな『カスタードクリーム』と続き、カミナリグモじゃないと味わえない音の世界を堪能した。ステージの上は汗だくで「超暑い」を連発。汗でしっとりした髪型を気にする上野は「変になってたら教えて」と髪型の正解を客席に問いかける。相変わらずのサラサラヘアーの成瀬はニヤニヤと上野を見守っていた(笑)。
『あの虹』からメッセージを込めた曲が続く。『ミスマッチ』ではアウトロに被さるハイトーンのシャウトにグッと来てしまった。気持ちが零れたようなハイトーンのシャウト。印象的なフレーズからの『王様のミサイル』、彼らの世界に引き込まれたまま、この曲を見届けるような気持ちになる。ラストのサビで真摯に前を見つめて歌う、上野の静かな瞳が印象的だった。
「聴いてくれる人達がいるっていう事は凄くありがたい事だと感じています。そう思えたらこの曲が出来たのかな」と話して『アニバーサリー』を演奏。この曲は去年の活動再開に合わせて書き下ろした新曲で、3月に配信リリースされている。弾けるナンバー『Foolish Music』では皆合いの手の手拍子を叩き、ステージも客席も合わさって曲を彩っているような素敵なシーンだった。演奏が終わると一際大きな歓声が湧いていた。
ここで改めてメンバー紹介、「菅野君は本当に良い人(笑)」、「堀君はカミナリ初心者なんだけど、謙虚でプレイも上手いし、大好きです!」と2人のエピソードを。成瀬は「去年の夏くらいに活動再開をしようって話をして、実はそれから減量を始めて、(客席から「おおー」と声が上がる)半年くらいで7キロ落とした」と言うダイエット話も!夜にご飯を食べないという減量法だったそう。その流れで「米は止めたけど酒は止めない、米は止めたけど、カミナリグモは止めない!」と言う名言?も(笑)。フロアからは拍手が上がり、上野は苦笑い。「2013年以降オリジナルアルバムを作ってないので、アルバムを作ろうと思っています」と嬉しい報告も。
最後のタームでは『ブランクペーパー』、『20号』、そして『夕立のにおい』。カミナリグモの活動履歴とその時々の心象が色濃くリンクした名曲達、深く胸に響いた。拍手が続き、アンコールへ。グッズの話や作り溜めている楽曲達の話など。アンコール1曲目は2人だけで鍵盤とアコースティックギターで新曲の『手品の続き』をしっとりと演奏。次にリズム隊を呼び込んで、またひとしきり仲の良いトークも。ラストは『こわくない』を賑やかに演奏。大きな歓声と拍手に包まれていた。拍手はそのまま続き、ダブルアンコールをしてくれた。2人で『漂流記』を演奏。アレンジを変えて、「話の続きはそこで 聞いてほしいことがあるんだ」と上野の歌から始まった演奏は成瀬のまろやかな鍵盤の音に包まれて、暖かく、可愛いらしく、そしてまっすぐに客席に届いていた。全20曲、バンド演奏のダイナミズムと2人セットのコアな魅力も味わえた、素敵なワンマンライブだった。