■2016.01.23 東京・下北沢CLUB Que
The Cheserasera
『YES』リリースツアーファイナル
REPORT[2016.03.02]

昨年11月にリリースされたミニアルバム『YES』のリリースツアー、ファイナルの東京公演をレポート。下北沢Queは満員の人、人、人、期待に満ちた熱気に包まれていた。ステージにスモークが流れ出すと暗転、歓声と拍手が湧いた。いつものSE、メンバーがステージに現れると更に大きな拍手が贈られる。3人がアイコンタクトを取ると、一気に爆音でスタート。雄たけびを上げる宍戸が「今日はありがとう!ありがとう!」と挨拶を放って1曲目は『YES』からロックナンバー『Youth』、初っ端からフルテンのボルテージ!攻撃的な美代のドラムに低音で絡みつく西田のベース、切り裂くギターフレーズに突き刺すような宍戸の唄が乗って肌に迫る。こいつら今日は全部ぶっ飛ばしに来てるって分かるプレイだ。迎えうつ観客の顔も一気に高揚した。素晴らしいスタート、今夜がヤバイライブになるって確信して勝手に嬉しくなってしまった。間奏では笑みを見せる宍戸、気合を越えて楽しいんだろう。前髪のカーテンの向こうの目がそう言っている。勢いそのままに2曲目『BLUE』、続けて宍戸のギターフレーズから『LOVERS』をプレイ。赤いライトが艶っぽい歌詞の世界に合っている。美代が立ち上がってドラムをたたみ掛けるシーンも見れたかと思えば西田は前に後ろに上体を反らしてのプレイ。ああ、今日は本当にヤバイ日になりそうだ。3曲終わったところで叫ぶように「The Cheseraseraです!よろしくお願いします!」と宍戸が放つ。MCでは「今日は楽しい思いだけ持ち帰って欲しい」、「今日は忘れられない一日になると思う、5年後10年後も思い返せるような」と話していた。そんな思いを乗せて次は『Take me!』、サビ前のリズムで美代が手拍子を誘い、Queに手のひらの花が咲く。こういうアーティスト側からの要求は一緒に楽しんで良いんだって分かるので嬉しい。ついつい高めに手を上げてしまう。5曲目はオレンジのライトに彩られて始まった『東京タワー』。やるせなくも強い意志の煌く歌詞が胸を打つ。苛立ちを内包したサウンドと美しいメロディと僅かのダサさ、人間臭くて最高。後半、3人の声が重なり、一層この唄の持つ意味を考えてしまった。次の曲は『白雪』、宍戸のギターフレーズが鳴らされると歓声がわいた。ミドルテンポで始まるこの曲は宍戸の歌声の独特な温度感が堪能出来るナンバーだ。静と動、緩急のバランスの絶妙な流れにフロアの観客は思うままに身を任せていた。ステージの照明が絞られ、薄暗くなった奥からドラムスティックのカウントが鳴らされ、7曲目は『Yellow』。悩ましげな表情を見せながら歌い上げる宍戸、ふとフロアに目をやると、オーディエンスは溢れ出る音世界に圧倒される様にステージを見つめていた。
ここで少し長めのMC。「谷と山がどっちも来た一年」と評した、去年の悔しい思いと迷い、そこからの先を考えた経緯を真摯に話す宍戸。「どうやったらお客さんに顔向け出来るか、無かった事には絶対出来ないから、それを受け容れて前に進まないといけないと思って賛美歌という歌が出来た」等と教えてくれた。心情をさらけ出したMCを聞き漏らすまいと場内全員がステージに向かっていた。
そしてターニングポイントに産まれた『賛美歌』をプレイ。歌いだしからグッと引き込まれる。ステージに流れ出したスモークを挿す光が荘厳な印象をかもし出す。平常感からリアルな心情へと駆け上がってく熱さがヒリヒリと伝わってきた。ここからまた『YES』のゾーンへ。ミントグリーンのライトが静かな激情を演出していた『somewhere』、続くポップナンバー『Escape Summer』では赤とオレンジのライトで腫れぼったい季節の心象を鮮やかに見せてくれた。ライブだと一層『YES』というミニアルバムはカラフルな一枚だったんだと実感する。少し長めに間を取って静寂を呼び込む。宍戸の息を吸って吐く音がひそやかに聞こえる程の空気の中、ドラムスティックのカウントから『インスタントテレビマン』。この曲は不思議だ。硬質な冷たさを予想して触ったらほのかなぬくもりを感じてハッとさせられるような。宇宙のような群青の空間にミラーボールがゆっくりと回って、闇を巡る銀河のよう。

フロアのリクエストに応えて美代と西田のMC「今日はありがとうございます」と口々に。飾らない言葉たちに場が和んでいく。メンバーの他愛の無いやりとりも見れて3人の結束力が確かなものになっているのを感じた。「しっとりさせといて何だけど(笑)こっから盛り上がっていくんで!」という宍戸の宣言で終盤戦へ。西田がステージ前に出てベースを掲げ上げながら鳴らし、『ラストシーン』がスタート。一緒に歌うお客さんも居て盛り上がりと一体感が増していく。そんなフロアを見た宍戸は嬉しそうに笑っていた。ライブならではのコミュニケーションだ。曲終わりで間髪入れずに『Drape』へ。フロアは一層の盛り上がり!ベースを掲げ上げる西田、ギターを掲げ上げる宍戸、ステージ奥に目をやると気合十分の美代。勿論フロアからは手が揚げられている。歓喜がQueを満たしていた。次は『月と太陽の日々』、重低音なサウンド、フックの聴いたメロディに乗せられ皆弾みながら踊っている。間奏でセンターにせり出る宍戸、赤いライトを背負ってクールかつセクシーだった。ロックボーカリストはこうでなきゃ。ラストは『灰色の虹』でディープに駆け上がっていった。宍戸の宣言どおり、終盤戦はフロアから手が上がりっぱなしの盛り上がりで本編が終了。「ありがとう」と一言残してメンバーがステージを去ると即座にアンコールを求める拍手が起こる。そしてアンコールへ。「ありがとう。発表する事がいっぱいあるよ」と宍戸。4月6日にセカンドフルアルバムをリリースする事を発表。『Time To Go』というタイトルだそう。3月、4月とケセラの企画ライブ、6月にはツアーも控え、ここからの動きが楽しみだ。声を大にした「髪を切ります」宣言も。どれくらい変わったかは新しいバンド写真で確認して欲しい(笑)。アンコール1曲目にはなんと新曲!とことん前向きなナンバーの名は『ファンファーレ』。辛い季節を越えた彼等が手に入れた強さとこの先への期待感が凝縮されたような熱量を持った曲だった。サウンドのドライブ感も最高。早く歌詞を確かめたい。最後の最後は初期からの代表曲『でくの坊』でドラマティックに盛り上がってワンマンの幕を閉めた。彼らの歴史の中でも重要な意味を持つワンマンになったのではないだろうか。覚悟と希望を感じさせる鮮烈なライブだった。(朝倉)


OFFICAL HP http://www.thecheserasera.com/

■LIVE SCHEDULE
「The Cheserasera presents 歌い手、冥利につき」
3/13(日) 下北沢CLUB Que セカイイチ編
4/09(土) Zher the ZOO YOYOGI LOST IN TIME編

『Time To Go Tour』
6/03(金)仙台 Flying Son
6/05(日)札幌 SPIRITUAL LOUNGE
6/11(土)福岡 Queblick
6/18(土)大阪 LIVE SQUARE 2nd LINE
6/19(日)名古屋 HUCK FINN
6/26(日)東京 WWW
※全公演、来場者特典あり。詳しくは公式HPへ
問合せ:BAD MUSIC GROUP 03-3352-3779


SET LIST:
01. Youth
02. BLUE
03. LOVERS
04. Take me!
05. 東京タワー
06. 白雪
07. Yellow
08. 賛美歌
09. somewhere
10. Escape Summer
11. インスタントテレビマン
12. ラストシーン
13. Drape
14. 月と太陽の日々
15. 灰色の虹

EC1.ファンファーレ
EC2.でくの坊