■2014.12.01 恵比寿LIQUIDROOM
SAKANAMONのアリが対バンツアー2014
REPORT[2014.12.05]

10月発売のミニアルバム『ARIKANASHIKA』のリリースツアーは8ヶ所をそれぞれ2マンで回る対バン形式、最終日リキッドルームはa flood of circleを対バンに迎えて異種格闘技戦のような熱い夜になった。

後攻のSAKANAMON、ステージ前の幕が左右に割れメンバーが現れると大きな歓声が湧く。一曲目は『マジックアワー』、印象的なイントロが流れると「リキッドー!」とシャウトも飛び出した!木村の踊らすドラムに森野のうねるベースが絡み、藤森のギターと歌がドカンと炸裂、リキッドを一気にSAKANAMONの色に染めていく。ラスサビ前のキメで森野がジャンプ、この瞬間いつもグッと来てしまう。ラストの歌詞を「愛してるよ リキッド!」と変えて歌ってくれて、この空間に居る特別感に嬉しくなった。森野が「楽しむ準備出来てますか?」と一言かまして2曲目は『幼気な少女』をプレイ。「やいやいやい」「わぁわぁわぁ」ではステージとお客さんの掛け合いもバッチリ!みんな楽しそうに手と声を上げている。「(君はまだまだ)幼気な少女!」では場内を割れんばかりのかけ声が起こった。客席全体から声が上がると場内の空気そのものが揺れる。心地よい圧迫感となって押し寄せてきた。やっぱりライブは特別な場所だ。ステージの上からはどんな風に見えるんだろう。「まだまだ行きます!」とそのまま続けて『便乗鴎の世界』を演奏。アウトロでは木村・藤森がアイ・コンタクトを取って一気にラストへ畳み掛けていく。演者特有のこういった仕草は何度観てもワクワクしてしまう。そして便乗鴎のラストのタイコからリズムを繋げて『空想イマイマシー』へ。皆楽しくリズムに揺れて踊っている。曲終わりにはライブでお馴染みの対バンの曲を挟むコーナーも。音を止めて、藤森だけにスポットライトが当たると何故かニカっと笑った。こういう処、本当に藤森元生はずるい(笑)。場内もつられて笑いが起こる。フラッドの『Dancing Zombiez』をスロウテンポで歌って、また違う雰囲気を味あわせてくれた。

最初のMCコーナー、藤森の「あらためて!お肉大好きSAKANAMONです!」と恒例の挨拶でリキッドが湧く。ステージの3人もフロアも笑顔だ。メンバー紹介では木村が「リキッドアゲ!」と定番のアゲ・コール&レスポンス。森野からは「『ARIKANASHIKA』全曲演ります!」との宣言も。MCの後は木村のドラムでリズムを取りながら藤森が変な振り付け(笑)をして曲紹介、『マザーラインナップ』、『害虫』と続けて演奏。『害虫』では白いライトを背にして奏でる姿がクールで印象的だった。白い闇から放たれる美と狂気、美しいギターの音色とメロディに垣間見える変態性、ギャップ萌えじゃないけど、多方面に突出した引っ掛かりも彼等の魅力なんだろう。気になるポイントからグイグイと巻き込まれていく。
次は森野のベースでリードして『爆弾魔のアクション ~願い~』。毎回ライブで観て「速い!」と思ってしまう(笑)あたりまえなんだけど。CDの再現力を超えた切迫感と見え隠れするナイーヴさ、これは是非ライブで体感して欲しい曲の一つだ。また、この曲だけ藤森が黒ギターにチェンジしていた。ちなみにその前後は赤いギターを手にしている。次はお楽しみのコーナー!木村の独壇場『AGEINST』で盛り上がり必須!木村が「歌詞はアとゲしかありません!」と説明して藤森、森野にも「ゲ」をシャウトさせ、お客さんにもレクチャー(笑)。最後は全員で「アゲ!」気持ち良い!盛り上がった後はパワーナンバー『シグナルマン』、『ミュージック・プランクトン』と続けて演奏、エモーションが止まらない。どちらもライブでは皆で声を合わせる部分のある、一体感の増す楽曲だ。『ミュージック・プランクトン』では森野がステージの前にせり出して客を煽り、ステージをグワーっと走り回るシーンも。お客も森野に負けじと盛り上がっている。もうリキッドのステージじゃ狭いのかも知れない。
次のMCで森野が「来年はワンマンツアーを演りたいです!」と抱負を語ると客席からは大きな歓声と拍手が贈られた。是非演って欲しい!終盤戦、藤森が「皆、歌って踊って!」と言って『TOWER』へ。ミラーボールが回ってまた場内の世界が変わる。淡白く輝く場内にMVの世界観を思い出した。後半のサビでは藤森がギターを置いて手を全力で左右にフリフリすると更に客席もデッカク手を振る。「ラーラーラー(等)」では女子、男子から始まって色んなパターンで声を上げさせ、皆嬉しそうに手を挙げ声を返している。そしてラストに向けてフリフリ全力でブンブンに。途中変な腰フリが混ざるのも流石の天然・天才・藤森クオリティー(笑)。手をブンブンして一緒に歌って、短距離走みたいな爽快感も味わえるかも。そして「今日はどうも有難うございました!」と一言挟んでラスト『アリカナシカ』を演奏。言葉遊びの中に問いかけと吐露を織り交ぜた、ある種哲学的な歌詞がSAKANAMON特有の静と動・緩急に乗って疾走する。突き上げるリズムが衝動を呼び覚ます。繰り出されるフレーズの波に酔いしれた。ここで本編が終了。

鳴り止まない拍手がアンコールを求めるリズムに変わる。ステージに再度現れたメンバーはグッズの紹介MCなんかもして、ほのぼのした空気に。緩いグダグダモードで場内に笑いが溢れる。このツアーでは対バンと仲良くなる為に藤森がスーファミ(スーパーファミコン)を持ち込んでいたとの事(オフィシャルツイッターでも対戦画像が上がっていたので気になる方は情報を追ってみると面白いかも)。それを受けて森野が「家が厳しくてスーファミとか買ってもらえなかった」と告白。藤森「かわいそう~」、木村「だから暗いんだ」と畳み掛けていじって、また笑いが起こる。森野とフラッドの佐々木亮介はお互いスピッツが大好きで、飲み会もする仲との裏話も。

アンコールの1曲目はSAKANAMONなりのラブソングだという『君の○○を××したい』をプレイ、そして演奏の途中でa flood of circleの佐々木が登場!特別な演出に歓声が上がる。佐々木はセンターに入り、グレッチのホワイト・ファルコンを掻き鳴らす!藤森「どうですか?不釣合いな4人組!」佐々木「俺SAKANAMONには入れないね(笑)」と笑いながら話す。コントみたいな掛け合いMCで、本当に仲良しなんだなと思った。確かに真ん中に立つ革ジャンは浮いていた(笑)。アンコール2曲目は森野と佐々木が大好きなスピッツを4人でカバー。佐々木、藤森の順で歌い、最後のサビでは2人が一本のマイクで歌うシーンも。これはかなりレアな時間になったに違いない。そして佐々木がステージを去り、最後の最後は『妄想DRIVER』。藤森の歌い出しから全てのパワーがステージに集中していくよう。各楽器がいつもより感情的に鳴らされ、肌がざわつくように高揚した。最後のシャウトが激しく放たれて、その力強さに引き込まれてしまう。アウトロでは藤森がサカなもん君を振り回したり、ギターのように弾いたり、いつもの如く大暴走(笑)。絶対シュールなシーンなのに感動して拳を振り上げてしまう。全力で音と遊ぶ、これこそSAKANAMON! メンバーがステージを去っても歓声と拍手が大きく響いていた。本当に楽しい時間だった。着実に大きくなっていくSAKANAMON、次のステージが楽しみで仕方ない。

(文:朝倉文江)

OFFICAL HP
SAKANAMON http://sakanamon.com/

SET LIST:
01. マジックアワー
02. 幼気な少女
03. 便乗鴎の世界
04. 空想イマイマシー
05. マザーラインナップ
06. 害虫
07. 爆弾魔のアクション ~願い~
08. AGEINST
09. シグナルマン
10. ミュージックプランクトン
11. TOWER
12. アリカナシカ

EN:
01. 君の○○を××したい
02. トンガリ’95(スピッツ カバー)
03. 妄想DRIVER