■2013.06.30 下北沢 CLUB Que
つばき 正夢になった夜 vol.13 ~つばき復活編~(w/カミナリグモ/Harf-Life)
REPORT[2013.07.15]
遂につばきが帰ってくる。2013年6月30日、東京・下北沢のCLUB Queは彼らの帰還を待ちわびた人々で溢れていた。この日の対バンは休止時にキャンセルになったという公演から、Harf-Lifeとカミナリグモ。Harf-LifeのVo.上里は、MCで「つばきお帰りー!!」と嬉しそうに叫び、カミナリグモVo.の上野はつばきとのエピソードを話し、それぞれにつばきへの思いを表現していた。

つばきはトリの3バンド目に登場。場内が暗くなると、拍手が沸き、SEにのってメンバーがステージに現れる。再開の第一歩となるこの日はサポートギターにお馴染みのソネタクミ、UNDER THE COUNTERの吉村洋平の2人を迎えた5人編成。最後に一色がセンターに立つと、一際大きな歓声と拍手がおくられた。一色が軽く右手を上げ、1曲目『スタイル』からスタート。とうとうつばきが帰ってきた。これだ、この声だ。集まった人達をしっかりと見て歌う、一色。サビではQueの端から端まで隙間無く手が上がっている。ステージにいる5人はフロアを嬉しそうに、大事そうに見回していた。間奏では一色独特の発音の「センキュー!!」の声も。これも久しぶりに聞いた!(笑)。皆、大きな拍手と歓声をステージに返している。小川も岡本も笑顔が溢れていて、この顔も2年半見れていなかったんだな、と思った。あまりにもステージの上が歓喜に満ちていて、なんだか泣きそうになる。嬉しすぎても泣きたくなるんだな。実際嬉し泣きしていた人も多かったんだろう。
歌が終わり、アウトロになると一色は何かを確認するように、Queの中を大きく見回していた。「ありがとう」と一言挟んで、『雨音』へ。マイクスタンドを右手でつかんで歌う一色。熱唱系の歌唱スタイルは変わっていない。歌いながらも合間に笑顔が混ざって、本当に嬉しそうだ。「ありがとう!」とコブシを握ってガッツポーズも(笑)。「こんばんは、つばきです。」との一言に更に歓声があがる。「短い時間だけど楽しんでいってください」と言って3曲目『サヨナラ』へ。で疾走感のあるナンバー、ステージもフロアも楽しそうに弾んでいる。小川、岡本がコーラスを入れるパートもあって、3人の声が今一つになってるんだな、と思うとそれでさえも嬉しくなってしまう。曲終わりで笑顔の一色が「ありがとう」と言うと、一呼吸置いて、ふと天を仰いだ。一色に蒼いライトが降りる。4曲目は名曲『花火』だ。暖かな歌詞を一つ一つ、大事そうに歌う一色の姿が印象的だった。どの曲もそうだけれど、久しぶりに聴く一色の歌声、どれも最初の一節だけで高揚してしまう。回りを見回すと、
やっぱり皆笑顔だったり、泣いていたり、感情が揺さぶられている。
冬の曲だけど、やはり特別な一曲、聴けて嬉しかった。
ここでMCタイム。「えー、2年半ぶりですか。……皆、泣いてるねー。」と笑って言う一色に、笑いと拍手が起こる(笑)。「俺は必死で涙は出ないね(笑)」と相変わらずの斜に構えた感じが、流石!一色!という感じだ。「入院してる時は皆に暇でしょって、曲書けたでしょって言われたけど、リハビリも治療もしてるんだから、しんどいって!」と笑いながら訴える。でも最近は曲を書いているとの事。楽しみに待ちたい。ステージ上での小川・一色のやりとりも独特な雰囲気で面白い。次は入院する前に書いていたという新曲『そして、僕らは』を演奏。ギターと歌だけで始まり、一節歌ったところでバンドサウンドへ。センチメンタルなギターの音色と、美しいメロディライン、切なさと暖かさを感じさせるラブソングだ。どこか懐かしい、透明な気持ちになる曲だった。続けて『バタフライ』へ。一瞬で手が上がりまくる!もう盛り上がらずにはいられない。この曲のキモになるあのギターフレーズは、以前つばきのサポートギターをしていたソネが弾いていた。その音さえも嬉しそうにキラリとしている。笑顔で前に出る小川、その向こうに見える岡本も笑顔でプレイしていた。
次のMCでは冗談を交えつつも「本当にみんなにありがとうと言いたい。それだけです。」と話す一色。真面目モードの後はメンバーいじりでひとしきり盛り上がる(笑)。このソフトSな感じも久々だ。一色「言っとくけど、俺は気を使ってもらっていいからね」、「俺が困ったらすぐ助けて」等と病気を逆手に取ったネタで場内は笑いの渦に。みんな、遠慮せず、心置きなく、助けて良いそうです(笑)。最後は岡本のカウントで『夢』へ。笑顔で歌う一色、楽しそうにコーラスを入れるメンバーたち、聴いているこっちもどんどん晴れやかな気持ちになる。もう泣いているお客さんもいない、みんな笑顔だ。後半の「ラララ」の所では手拍子が湧き、みんなでラララって歌った。みんなのラララに乗せて最後の歌メロを唄う一色、この幸せな一体感はきっとずっと忘れられないだろう。一際大きな声で「ありがとう!」と言って本編は終了。
アンコールに出てきた一色は「2010年は活動10周年だったから、(毎月イベントをやる事にしていて)12月にはボロボロになってるかなと思ったら、ボロボロどころじゃないよ(笑)」と話して、また笑いが起こる。そして、「もう、健康第一!」と宣言(笑)。大きな歓声と笑いが湧いた。一色「健康第一で大きな夢をみよう」。小川「それいいね(笑)」と健康第一がスローガンに決まったところで、『歩き続ける』へ。つばきフレンズのアルバムに収録された、今入手することが出来る一番新しい曲だ。柔らかい表情で唄う一色、間奏に言った「センキュー!」では高く右手を上げていた。最後の最後は『太陽』を演奏。唄いながらずっと笑顔を浮かべている一色は嬉しそうに、確かめるようにフロアを見ている。サビではずっと手を高く掲げていて、それに応えるように、フロアからも手が上がっていた。最後に「ありがとーう!愛してるぜー!!」と叫ぶ一色、大きな歓声と拍手に包まれてライブは終了した。メンバーがステージから去っても、長く拍手の音が響いていた。

途中、動き辛そうにするシーンもあったけど、あのサウンド、歌声、ステージから放たれる熱量、確かにつばきだった。一色不在のシーズンは終わったんだ。
つばき、帰ってきてくれてありがとう。これからも楽しみにしています。(文:朝倉/写真:Mai Ogawa)
SET LIST:
01. スタイル
02. 雨音
03. サヨナラ
04. 花火
05. そして、僕らは
06. バタフライ
07. 夢
EN
01. 歩き続ける
02. 太陽