ラッキーオールドサン『Belle Epoque』(ベル・エポック)インタビュー
INTERVIEW[2017.05.30]
●9曲目『Railway』
篠原:これはもう、他のインタビューでもかなり話してるんで、自分自身ではそろそろ気恥ずかしいエピソードではあるんですけど(笑)。この曲は、自分の実家に帰った時に出来て。実家で特にすることがないので部屋の掃除とかして時に、昔の、高校生の時のカセットテープが出て来て。その中に名前も何も書いてないテープがあって、かけてみたら、2010年の年明けくらいで、30分くらいひたすら一人で喋ってるめちゃめちゃ恥ずかしいテープで(笑)。非常にエモい、全然記憶に無いんですけど、聞いてみたら、何も分かってない自分が…今も分かってないですけど、更に分かってない頃の自分が、東京に出て、こういう音楽をやって、みたいな事ばっかり喋ってて。
●夢語ってるテープだ!
篠原:語ってて、でも面白いなって思って聞いてたら、最後の方で、テープの時間が切れそうになった時に、「もし、将来の自分が聞いてたら、言いたい事があって」って。その…「まだ、やれる」って…。自分が行き詰ってる時だったんで、過去の自分に見透かされてるような気になって。「まだやれるから、最後の悪あがきをずっと続けてください」ってバチッてテープが切れたんですよ。
●凄いですね。
篠原:それを聞いて、それまでは恥ずかしいなとか面白いなって聴いてたんですけど、自分もちょっと考える事があって。それこそ色々悩んでて、『Caballero』を出して、何をしようかなって分かんなくなってた時期で。実家にも帰って『すずらん通り』的な心境になってるときに、それを聞いたら、「ああ、もう一回東京戻って作品を作らなきゃ」って。今、とにかく作らなきゃいけないって思って、それでこのアルバムを作るタイミングになったんです。その時にこの曲を一気に書き上げて。なので、自分の中では、1stに『ミッドナイト・バス』ってあるんですけど、それに匹敵する、ある意味似たような位置にある曲で。タイプは違うんですけど、そういう意味では大事な曲になったと思います。
●めっちゃ良い話ですね。昔の自分にありがとう的な。
篠原:力を貸してもらったなって。何も知らない、エネルギーだけがある、恥ずかしい所もあるけど、今の自分の中にも、無知なままで生き続けている自分がいるはずなんですよね。これから先も同じようなタイミングで、もう一回自分と会う、何度も何度も出会うと思うんですけど。それを忘れないように。「見えなくなっても手を振る心を忘れないでね」ってところは、自分と対面しているような気持ちで書きました。

●『Tokyo City Brand New Day』
篠原:これは、アルバムのエンドロールに近いかな。そんな気がして。これは…言いたいのは、そうだな、個人的には『ミッドナイト・バス』とか、1stを作った時から、時間を経て、自分達も大人になった目線から見て、やっぱり変われないと言うか、そういうのも含めて、大事にしたいなって。いつまでも魔法を使うみたいな話をしてられなくなると思うんですけど、でも、心のどっかでそう思い続ける気持ちで書いた気がします。一番最後の「いつまでも美しい陽よ」でこのアルバムが終わるんですけど、「美しい陽」はラッキーオールドサンの事です。この一行でアルバムを終わらせたかったんです。これも色々引用はあって、「恋は焦ってもいいのさ」って逆の事言ったりして(笑)。そういう遊びは変わらず入ってますね。
●ナナさんどうですか?
ナナ:これを歌うのがいつも楽しくて。
篠原:「Tokyo City Brand New Day」のところがさ、
ナナ:最初、凄く言われて。そうじゃないんだよ、って(笑)。最初の頃は発音とか言われました。
篠原:普段そんなに言わないんですけど、言い方に凄いこだわってて。英語の発音とかじゃなくて、「TOKYO」の発音が大事で。
ナナ:細かい、いう事が(笑)。最近は良い感じじゃないですか?
篠原:良い感じだと思います。
●最後、篠原さんの合いの手が入るところがフフって思います。
篠原:ああ(笑)。あれは遊び心です。録ってる方も笑いながらやってたし。
ナナ:皆笑ってた。
篠原:まあね(笑)。wo wo wo~て普通言わないよね。
ナナ:微笑んでた(笑)。

●では〆に。全曲紹介を終えた上で、どんなアルバムですか?
篠原:これは、ある種、一章の終わり、で、二章の始まり。自分達がデビューから、今までやってきたことの、一つの区切りっていうか、一つの回答であって、これからやっていく上での覚悟だと思います。
ナナ:確かに、これで一区切りっていう感じはしてて。でも、当然これで終わるわけではなくて、先がずっとあるので、これからやっていこうという気持ちのアルバムです。
篠原:これで次のタームに行けるなって感じでもあるし。
●はい。1stは「青春」っぽかったですけど、今回は。
篠原:ああ、本人的にはそれもよくわからないんですよね。「青春」って気恥ずかしい言葉だなと思ってて、凄い真剣に走ってる時に当人にこれが青春だって言える余裕も無いと思うし。ずっとそうやってきたつもりなので、今回のアルバムも人によっては青春なのかも知れないし。それは青春だけでもないし、朱夏とかもあるし、そういう次の季節が来て、その後には白秋、最後は玄冬、人生を四季になぞらえた言葉があるみたいで、その都度、人間はちゃんと生きなきゃいけないし、精一杯刻んでいかなくちゃいけなくて。人が「青春」と呼んでくれる事には嬉しいと思うんですけど、自分たちは今を、これからを、逃げないで、今出来る精一杯を作りたいっていう、そういう覚悟を示してるつもりです。
ナナ:次は、朱夏が来ます。
●えっ。ちょっと早いのでは。まだまだ青春でいてほしい(笑)。シェルターでレコ発ワンマンもありますが意気込みなど。
篠原:意気込みは、…今まで通り(笑)。毎度ライブで思うことは、どのライブに出ても、全部が上手くいくわけでもないので、その中で自分たちなりに一個爪痕を残すって気持ちでやっていて。その気持ちは変わらないので、いつ来てくれてもやってる事は変わらないけど、でも、何が面白いかっていうと、レコ発のバンドメンバーは今回のアルバムを作った素晴らしい精鋭達が集まるっていう。なので、それが何よりも、今しか見れないと思うので、要チェックです。
ナナ:要チェックです!
●はい。その後の考えてることがあれば。
ナナ:いろんなところでライブがしたいです。
篠原:いろんな人にも会いたいし。既に次に作りたいものが出てきてるので、そこは実はこのレコーディング中に出てきてたので、形に出来るように、腰を上げたいところです。
●もう第二章を見据えていると。
篠原:バリバリに!
ナナ:バリバリです。
●はい。ありがとうございます。これからも楽しみにしています!
(文・朝倉、タカクワ/写真・朝倉)


『Belle Epoque』
01. さよならスカイライン 
02. ベースサイドストリート 
03. フューチュラマ
04. 写真
05. 夢でもし逢えたなら
06. ツバメ
07. I want you baby
08. すずらん通り
09. Railway
10. Tokyo City Brand New Day

ARTKT-014 / 2,100円(税別)

kiti / ART UNION
2017.4.12発売
LIVE SCHEDULE
6月3日(土)@下北沢SHELTER
18:30 OPEN / 19:00 START
ADV:2,500円 / DOOR:3,000円
出演:
ラッキーオールドサン(BAND SET)

予約/問い合わせ
kiti label : info.kiti@gmail.com 


6月24日(土)@仙台 SENDAI KOFFEE
18:30 OPEN / 19:00 START
ADV:2,500円 ※限定50席
出演:
ラッキーオールドサン
路地裏調査隊

予約/問い合わせ
kiti label : info.kiti@gmail.com 
路地裏調査隊: hirokixxjp@yahoo.co.jp

詳細は公式HPにて

■公式HP http://luckyoldsun2013.tumblr.com/