SAKANAMON『cue』インタビュー
INTERVIEW[2017.05.24]
何だって出来そう 根拠なんてさらさらに無いよ(CATCHY)

この春レーベルを移籍した彼等の一発目の武器は、前へ前へと進んでいく意志が強く感じられる6曲入りのミニアルバム。結成9周年と新たに動き出すための合図を込めた『cue』(キュー)。SAKANAMON節が炸裂する中に覚悟と焦燥と期待、遊び心が見え隠れする、静と動の振り幅が最高な一枚だ。肌がざわざわする程カッコよくて、やっぱりどこかちょっと変!(笑)。
●移籍、新音源リリースおめでとうございます。心機一転!お一人ずつ、今の気持ちを教えて下さい。
森野:新たな環境に身を置けて、単純に、ワクワクしています。
藤森:沢山の新しい仲間に巡り会えて嬉しい反面、身が引き締まり緊張の思いです。
木村:不安は一切ないですね。変わらずアゲていきます!
●環境が変わって、変わった事と変わらない事を教えて下さい。
森野:活動内容自体は変わらないですね。良い曲を作って良いライブをする。ただその内部構造がシンプルになったので、濃度は上がっていると思います。そして精度も上げていかなきゃな、とは考えています。
藤森:それこそ仲間が増えました。そして活動の自由度が上がった?と言うよりも自分達で一つ一つの活動の仕方を考える事がより一層重要になったんだと思います。
木村:僕らのマインド的にはあんまり変わってないですね。変わったといえばバンドがすごく多い事務所なので意識しちゃいますよね(笑) 
●今回の『cue』を制作するにあたっての方向性やテーマ、SAKANAMONチームの意気込み等、考えていた事を教えて下さい。
森野:バラードをリード曲にすることもそうですけど、ビクター時代だったらやらなかった事にチャレンジしようというのは、話し合いの中でなんとなく方向性として出てきました。あとは今までの作品からクオリティを絶対に下げないこと。 
藤森:アルバムを作るにあたってのテーマは何時も通り特に何も考えずに進めていきました。それでも進めて行く内に「いつかバラードをリードにしたい」という発想がたまたま今回に生きたり、レーベル移籍の節目が相俟ったからこそ「テヲフル」と言う曲が出来たと思います。行き当たりばったりでもその時々に考えていた事は生々しく反映されているので作品を聴いてそのまま感じ取ってほしいですね。
木村:新しい場所での一発目でバラードを出すって今までの僕らじゃ考えられなかったので、それがもろにテーマとして出てるんじゃないかと。
●アルバムタイトル『cue』の意味を教えて下さい。
森野:バンド結成9周年の9、新しい環境で始めるスタートの合図のキュー。ダブルミーニングです。
藤森:あとは10周年に向けて盛り上げていけるタイトルにしたかったからです。
木村:そんな感じです(笑)次のタイトルも考えとかなきゃ(笑)

●今回レコーディングで苦労した点はありますか。
森野:『テヲフル』は初のリード曲としてのバラードだったので、曲の構成から歌詞の伝わり方まで結構考えました。もちろん、一番大変だったのは藤森くんだと思いますが。個人的には「絶対に今までより良い作品を作らなきゃいけない」と気負い過ぎてレコーディング前日は全く眠れないくらい緊張しました。
藤森:構成が決まらずに苦労しました。歌詞も人生史上1番苦労しました。結局ギリギリまで悩んでしまいます。永遠の枯渇問題ですね。
木村:構成が当日変わったり、それによって音のイメージが違ってきてチューニングし直したり、歌詞もギリギリであがったり。全部大変でした。
●はい、逆に今回のレコーディングで楽しんだ事、新しく挑戦した事があれば教えて下さい。
森野:個人的には、いつもだったらレコーディングの現場の雰囲気に合わせてニュアンスで弾いているような部分を、しっかり決め込んでレコーディングに臨みました。
藤森:今回の『CATCHY』と言う曲はコーラスが多いのですが、学生さんの声やメンバーの声を編集するのが楽しかったです。人の声の個性を噛み締めながら編集しました。
木村:レコーディングスタジオにドラムセットやスネアドラムが沢山あって、興奮しましたね。

●各曲の聞き所を教えて下さい。『CATCHY』から。
森野:再生した瞬間「CD間違えたかな?」ってなるくらい振り切ったアレンジ。ベースで言えば、歌詞に合わせてリフレインしたりしているフレーズ。
藤森:特に何も考えずに楽しめる楽曲になってたら嬉しいです。兎に角リズム、手拍子、女子を武器にした曲です。 
木村:抜群に明るい。どれもキャッチー。僕大好きですね。
 
●『不明解な正解』
森野:ザ・SAKANAMON、と言わんばかりの僕らのスタンダードなナンバーでありつつ、コーラスワークなどの新たな試み。ベースで言えば、本当はもっと弾きたくなるような自分の手癖を抑え、シンプルに徹したベースライン。
藤森:Aメロのコード進行の流れは新しい試みだったと思います。目紛しい展開を耳で追いかけるのが楽しい曲だと思います。
木村:今までの藤森元生を詰め込んだ感じの曲ですね。一番叩きやすかったです。
 
●『lyrics』
森野:『不明確な正確』にもありましたが、3サビ前の三人コーラス。面白いと思います。ベースで言えば、間奏とアウトロの歌うようなベースラインは結構考えましたので是非聴いてほしいです。
藤森:綺麗な言葉を乗せてあげたいって思わせる曲だったので歌詞を大事にして描きました。リズム、コーラスがマニアックで楽しめると思います。
木村:かなりタッチで雰囲気が変わる曲ですね。歌詞がきれいなので台無しに出来ない!って気持ちで丁寧に、繊細に叩いてます。

●『ヘソマガリアの地底人』
森野:どんどん下がっていくヘンテコなサビ。それに相対する最後のサビの抜け感!ベースで言えば、ギターとドラムを繋ぐベース。ライブでしっかりグルーヴ感出せるように頑張ります。
藤森:僕等には珍しいノリです。個人的には2サビ後のコーラスワークがこだわりです。どういうテンションで聴けば良いか分からなくて、そんな所が好きです。
木村:メッチャメチャ難しかったです。グルーヴ出す所とあまり出さない所の棲み分けが難しい。
最近のSAKANAMONの曲の中では断トツ一番ですね。

●『テヲフル』、まずは聞き所を教えてください。
森野:歌詞と、「テスラは泣かない。」飯野さんに弾いてもらったピアノ。ドラムもそうですけど、作り物じゃない生の空気感を閉じ込められたと思います。ベースで言えば、ストイックな序盤からだんだんエモーショナルになっていくところ。
藤森:Aメロの空虚感、からの間奏の浮遊感、そしてラスサビの激烈感を一度に楽しめるのが良い所だと思います。
木村:歌詞の流れ。ドラマチックで本当に素晴らしい。
●この曲をリード曲にした理由を教えて下さい。
森野:今までの自分たちだったらやらなかったことをやろうという話から始まりました。個人的にはフェスの30分のセットリストの中だとしても「聴かせる」曲をやれるようになりたいという想いもあります。
藤森:折角の転機の時期だったので物怖じしないで攻めてる姿勢を見せたかったんです。この曲を聴けば僕等が音楽を大事にしている事、これからの姿勢が伝わるんじゃないかと思ったからです。
木村:僕は初めに聞いた瞬間『スゲー良い曲だ!』って思いました。メンバー二人の話プラス、僕はその直感が一番の理由です。
●MV製作について何かエピソードをお願いします。
森野:閉店後のスーパーで撮影したのですが、電気も消えていて冷蔵庫の冷気ですごく寒かったです。
半袖短パンの藤森くんはかなりツラかったはず。
藤森:寒かったです。でも撮影時間は非常に短くてスムーズだったので楽でした。
木村:撮影時間の短さにビックリ。仕事終わりのスーパーのスタッフさんの気にしない感じにさらにビックリしました。
 
●『クダラナインサイド(cue MIX)』
森野:この曲も歌詞ですかね。今までのSAKANAMONも踏襲しつつ、新たな道も示している。とても希望がある曲だと思います。ベースも、今までの自分と新たな自分を表現できた気がします! 
藤森:とても歌いやすくて歌録りもすぐ終わりました。個人的にはBメロの前半が歌ってても聴いてても気持ちの良い所です。
木村:いまだに帰り道に聞くと涙腺に来る日がありますね。良い歌詞。あと、コーラスが非常に気持ちいいです。
 
●東名阪ツアー、どんなツアーになりそうですか?今考えている事をちょっとだけ教えて下さい。
森野:少なくとも『cue』の曲は全部やりますが、それでも6曲なので、セットリストの幅は拡がると思います。ただ騒いで盛り上がるだけではなく、しっかりと音楽的なライブができたらな、と考えています。
藤森:今回はコーラスや掛け合いのチャンスが多い楽曲が揃ってるので楽しく盛り上がれるのではないでしょうか。しっかり笑えてしっかり泣かせにもかかれる良い映画みたいなライブにしたいです。
木村: 久しぶりのワンマンなので、バンド的にも年齢的にも進化したSAKANAMONをみせたいですね。
●結成9年目という祭カウントダウンの今の気持ちと、10年目に向けての意気込みをお一人ずつお願いします。
森野:まず、こんな一筋縄ではいかない変なバンドが10年近くやれていることに感謝しています。良い意味で変わって、良い意味で変わらないバンドであり続けたいです。
藤森:皆で盛り上げていけたらと思います。とは言うけど、これまでも皆が盛り上げてくれてたからこそ10年目があるんだなと思います。自分が、お客さんが友達に自慢出来る様な音楽が出来たら良いなってずっと思ってます。その意思表示ができる様なアクションを起こしたいですね。
木村: 一年ごとに感謝の気持ちが増してます。十周年はその感謝を爆発させていきたいですね!
●最後にファンのみんなに向けてメッセージをお願いします。
森野:これからのSAKANAMONに期待していてほしいです。僕も期待しているので。
藤森:どんな人が聴いているんだろうっていつも疑問に思います。さぞセンスが良いか捻くれ者なんでしょうね。そんな皆さんが好きです。これからもよろしくお願いします。
木村:まだまだこんなもんじゃないです僕ら。これからもSAKANAMONを宜しく。
●ありがとうございました!
(文・朝倉文江)

★★おまけ★★ 「cue」であいうえお作文!(ルールなし、英単語でもローマ字読みでもなんでもアリで!) 藤森 元生 ・c:急に ・u:上から ・e:エロ雑誌 森野 光晴 ・c: 悲しい時 ・u: 嬉しい時 ・e: エモい俺 木村 浩大 ・c:ちょっとだけ ・u:うるさいキムだけど ・e:ええねんアゲッ!


『cue』
1. CATCHY
2. 不明確な正解
3. lyrics
4. ヘソマガリアの地底人
5. テヲフル
6. クダラナインサイド (cue MIX)

TLTO-004/1,600円(税別)
TALTO/murffin discs
2017.5.10発売
LIVE SCHEDULE
SAKANAMONワンマンツアー “東名阪までイッテcue!”
7/15(土)@名古屋 池下CLUB UPSET
7/16(日)@大阪 心斎橋Music Club JANUS
7/23(日)@渋谷WWWX

LABEL EVENT
・TALTOナイト大阪編
7/4(火)@大阪 心斎橋Music Club JANUS
・TALTOナイト東京アコースティック編
7/6(木)@Shibuya eggman
・TALTOナイト東京バンド編
7/7(金)@Shibuya eggman

EVENT
5/27(土)@広島CAVE-BE
5/28(日)@神戸MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
5/29(月)@名古屋ell.FITSALL
6/17(土)YATSUI FESTIVAL! 2017
6/23(金)@仙台MACANA
6/25(日)@金沢vanvanV4

詳細は公式HPにて

■公式HP http://sakanamon.com/