ココロオークション『ターニングデイ/プリズム』インタビュー
INTERVIEW[2015.05.15]
粟子:何か僕らのクセで、アッサリしがちというか、サビ一回で終わっちゃうんですよ。8小節で。16小節ちゃんと繰返して聞いて貰った方が良いんじゃない?とか。やり取りの中で「あ、そうやったんや」って気付きもたくさんあって。
井川:僕らがライブで東京来てる時、スタジオに来てくれたり。
粟子:時間作って下さって。うん。新しい自分を引き出してくれました。
●他に今回挑戦したことはありますか?
大野:そうですね、『プリズム』は、テーマ的に「キラキラ感」があったんで、キラキラ感かつバチバチ感っていうか。ガチってした感じ、イントロのキメっぽいジャキっとした感じで、その上にギターのキラキラした感じが乗ってくるみたいな。僕らが好きでよく聴いてるアーティストの手法にも多いんですけど。実際僕らがやるのは初めてなのかな、と思います。もうちょっとのぺーっとした音像が多いので、僕らは。
粟子:(笑)。
井川:のぺー(笑)。
大野:そういう新しい感じと、サビのアンセム感が残るメロディ、だから僕は結構混ざってるっていうのが新しかったなって。結構色んな人にココロオークションぽくないねって言われて。
粟子:確かに!
大野:で、全部聴くと、最終的にココロオークションぽくなるねっていう。
●あ、確かにイントロでちょっと今までと違うなって印象ありましたね。新しい物をっていうのは毎回意識してるんですか?
粟子:常に新しいは追求してない?
大野:ああ、僕ら的には毎回「新しい」をバーンと入れてるんですけど、出来上がってみると、大体僕ら感が出てきてるんで。だから毎回「新しい」は入ってると思います。新しいか古いかは分かんないですけど、その時の自分らのホットな物が。
粟子:うん、そうだね。
●はい。そして速さも一番のものに。
井川:ははは(笑)。
大野:これ確か、デモの段階でめちゃめちゃ速かったんですよ。『プリズム』が出来る前の、デモの更に前のデモみたいな段階で、一旦テンポ落として、別のサビで作ったんですよ。そしたら竹内さんにめっちゃダメって言われて。
全員:わははは(笑)。
粟子:ロックっぽい進行にしてね(笑)。
大野:で、一旦ボツになったんですけど、Aメロカッコイイからもう一回だけやろうって、めっちゃテンポ上げてやって。そのときは『プリズム』出来てたんで、「カップリングだったらイケるんじゃない?」って。
●じゃあこの2曲は作りながら育ててきた感じですね。
大野:そうですね。
粟子:そうやなあ。何回も生まれ変わってます、こいつらは。

●では一曲ずつコメントをお願いします。出来た順にしましょうか。『プリズム』から。
粟子:これはね、イントロのフレーズ。実はそうとう前からあって、シングルに使うんやったらこのリフ使いたいなって、ずっと暖めてたんです。リフ始まりです。二年前くらいから頭の中にあって、ずっと。前作の『ヘッドフォンミュージック』の後に、次はシングルで行くかもって話がザックリあって。それで、キタ!ココで使おうって。で、皆に聞かせて、カッコイイやんって。
●その段階ではどれくらい出来てたんですか?
粟子:どれくらい出来てた?ワンコーラス?
井川:どうやったっけな。
大野:これ最初に皆でデモ作った段階では『ヘッドフォンミュージック』の制作期間中やったんですよ。アルバムの中には入らなかったけど、デモ段階はめちゃめちゃ前で。その時は粟子さんの弾き語りでって感じですかね。イントロのキメのリズムとかあるじゃないですか?そういうのは全員で合わせながら作って。
粟子:置いとこってなったんやな。『ヘッドフォンミュージック』に入れるには詰める時間が無いなってなって。
大野:あとシングルっぽいっていうのもあったんで、温存。
井川:諦めたんじゃなくて。
粟子:まだ早かったっていうね。『ヘッドフォンミュージック』の時の僕らでは表現しきれないなって。うん、思い出してきた。
●これも曲が出来てから歌詞をつけて?
粟子:そうですね。基本的に僕は曲先なんで、曲が出来てから歌詞で。これは…正直な気持ちですね。やっぱり色んな、好きな事を仕事にしていると凄い辛いこともあって…僕は音楽だけだ、と思ってたんですよ、僕を助けてくれるのは。でも、ワンマンの時にMCでも言ったんですけど、ライブに来てくれる人が居て、それだけで良いやって、心の底から思えた瞬間があって。ツアーも、何処に行っても待っててくれる人が居て、そういう人の為に唄いたいっていうのもありつつで、昔…2年前か、ミナミホイールってサーキットがあってトリやったんですけど、そういうイベントってアンコール出来ないんですよ。でも、僕らがステージはけてからも鳴り止まない拍手があって、いつか今の気持ちを曲に書きますってツイッターでつぶやいたりもしてて。そん時の気持ちと言うか、それと待っててくれるお客さんの事とか思い浮かべながら、出来た、歌詞です。…だから、結構ライブハウスのイメージですね。この、最初の「跳ね返る水飛沫 光るプリズム」とか。「鳴り止まない手拍子、鼓動のリズム」とか。そういうイメージ。
●その時の気持ちっていうと、やっぱり嬉しさとか感謝とか?
粟子:まあ、そうですね。感謝かな。両方やけど。…出会えて良かったって事かな。ずっと待ってた君に会えて良かったっていう、上手く言えないですけど(笑)。音楽で繋がってその場に来てくれるわけじゃないですか?それって凄い事やなって思って。俺が音楽始めたきっかけが、色んなところで音楽で繋がった色んな人と出会いたいってあって、「あれ?俺、今夢かなってるやん!」って思って。ちゃんと唄にしなきゃなって、ところで。出会えて良かった、そこにいてくれてありがとう。っていう歌ですかね。
●だから最初に歌詞はまんまって言ってたんですね。キーになる「君」は何の象徴なんだろうと思ってたんですけど、それはお客さん?
粟子:聴く人によって変わって良いんですけど、やっぱり「大切なもの」ですね。大切なもの、人、事。僕にとっての「君」は音楽でもあり、お客さんでもあり、なんですけど。聴いてくれる人の大切なものを「君」に当てはめてくれたら良いんじゃないかなと。思ってます。
●はい、曲のコメントになると粟子さん多目になるので、
大野:でた!
全員:(笑)。
●(笑)皆さんにはパートとしての聴き所とかを話していただこうかと。
大野:恒例のやつだ(笑)。そうですね…この曲に関してはガッツリ構築していった系の曲なんで、各パーツがあって、それをこう…例えばAメロにしても、1番と2番で基本的には一緒なんですけど、少し足してるものがあって引いてるものがあって、フレーズとしてはちょっと増えてる物があったりして。でもガラッとは変えないっていう、あえて。それはこのプリズム感、キラキラしてる物を消さないのもあるんですけど。そういう意味では派手なアレンジなんですよね。それは僕的にはシングルは派手っていうイメージがあって、意外にガーンとやりつつも、分かりにくくならないように派手に色々やるっていう。Cメロらへんはワーッとなるんで。サビ前ですかね。マックスキラキラしてるんですよ。そう、大サビ前のそこはマックスキラキラです!
全員:(笑)。
粟子:マックスキラキラゾーン。
●はい、井川さん。
井川:そうだなぁ…。『プリズム』は凄いメロディが良いと思って、キラキラ感を大事にして作った曲なんで、あんまりこう…ドラムが目立つようなことはしてないです(笑)。その、良い感じを壊さないように下から支えるじゃないけど。キラキラ感を意識しながら叩いてますね。
大野:あえてシンプルにしてね。
井川:そう、小難しくはしてない。
粟子:でもリズムパターンはカッコイイと思うんやけどな。あれ中々出来る人居ないとおもう。
井川:そんな事ないよ。
粟子:さっちゃんに凄い合ってるなって思って。カッコイイ。
井川:ありがとうございます(笑)。
●ギターはどうしてるんですか?弾き分けとか?
大野:あ、テンメイはレコーディングでも弾いてますよ。基本的にバッキングは粟子さんがして、フレーズはテンメイ。
テンメイ:弾いてますね。基本的には同じフレーズの繰り返しで、Cメロの前のキラキラは結構グッといけたんじゃないかなと。
粟子:これはフレーズというよりかは音色ですね。キラキラを意識して音作りしました。
●はい、ボーカルに関しては?
粟子:ボーカルですか…。ボーカルか…結構、この曲は今までと比べて、音域が変わらないんですよ。僕が作るのって始め低めでサビで高いっていうのが多いんですけど。Aメロからちょっと高めで入ってて、そういうのって無かったんで。それは今回新しい僕かなって思ってます。後はサビの「砂にまみれた日々の」の二拍三連?
井川:付点?
粟子:そう、ボーカルのリズム?どんだけ気持ち良く唄うか。前に行き過ぎず、後ろに行き過ぎず、こう、波に乗ってるみたいな感じでどう気持ち良く届けるか、は、凄い意識しました。聴き所はそこですかね。後はメロディが大サビでちょっと変わってたりするんで、そことかも楽しんで聴いて貰えたら良いかなと思います。

●では『ターニングデイ』を。これは『プリズム』があっての、お蔵入りがあっての、曲ってことですね。
メンバー:そうです。
粟子:これは…元は『ヘッドフォンミュージック』終わってから。だから今まであった曲というよりかは次の作品に向けて作ろうっていう。溜めてたんじゃなくて、ほんまに前作が終わってから新しく作ったメロディですね。Aメロがまずあって、「消えない~」があって、そこから始まった曲です。
●じゃあ冒頭から作っていったんですね。
粟子:そうですね。あんまり繰返す曲って今まで無かったんで、やってみようかなって思って(笑)。何でもやってみる。うん。
●前作の『ヘッドフォンミュージック』の時に速めとか勢い的なモードだったと思うんですけど、これもちょっとその流れを汲んでる?
粟子:う~ん、汲んでたと言えば汲んでたんでしょうけど、あんまり意識して速い曲作ろうと思ってたわけじゃなくて、降りてきたと言うか。結構投げやりと言うか。出来へんな・出来へんな・オシ!やってみよ!で、ガーッてやったら出来たっていう(笑)。あんまり考えずに。
●テンション先行みたいな。
粟子:そうですね。正にそうです。最初ABだけあって、皆に聴かせて、スタジオで合わせて、色々やってボツになって(笑)。で、復活して。よくよくデモを聴いたらサビをやりかけてたんですよね。ほんまの元々のボイスメモに入ってた断片的な物があって、サビにそれを充てて。
●この歌詞をあてようと思ったのは?
粟子:……この、「消えない」とか「足りない」とか、その歌詞が浮かんできて、それが強くて。結構ネガティブワードがいっぱい浮かんできたんですよ。だからそれに則って書いていったら、『プリズム』とは逆の…なんやねん!ていう(笑)。
大野:投げやりな。
粟子:そう、投げやりな歌詞。『プリズム』は出会えて良かったって事を唄ってて、『ターニングデイ』は出会えて良かったけど、一瞬で関係って壊れるんだなって。あっけね~(笑)もう良いし。そういう歌です。両極端と言うか。