a flood of circle『GOLDEN TIME』インタビュー
INTERVIEW[2014.12.12]
この曲が鳴ってる時間を「Golden Time」と呼びたい。
来てくれてる人達を俺達がもっと良い未来に連れて行くっていう覚悟で
やってるんだから、もっと端的に、ライブの快感を曲に出来ないかなって。
コレが出来て、「あ、俺達今ここに居るんだ」っていうのが分かってきた。

長く空席だったギターにDuranが正式加入し、4人体制となったフラッドが放つ一手は『GOLDEN TIME』という名の喜びと覚悟の詰まったロックンロール・アルバムだった。
昨年から今年へのストーリー、Duranとの出会いからアルバム全曲紹介まで、フロントマンの佐々木亮介にガッツリ語ってもらった。
ページ拡大のロングインタビュー!
●まずは、新体制、おめでとうございます。
佐々木亮介:ありがとうございます。4人になりました。
●今の心境は?
佐々木:バンドが楽しくてしょうがないって感じですかね。多分、その、4人組が好きで4人で始めたバンドだったんで。…今となっては4人時代を知ってるのは数少ない…TOTEもその内の一人ですよね。
●(笑)そうですね。
佐々木:(笑)。最初はギタリスト探したりも正直してましたけど、何人か試したりしたんですけど駄目だったから、3人でやっていって、ライブは4人で演るっていう、そういう形を腹決めてやれば「本当は4人がいい」って思う必要も無いでしょってやってきてたし。特に、姐さん(HISAYO)入ってからは3人で、ライブは曽根さん入って4人組っていう、それがもう鉄壁、鉄板だと思ってたので。別にギタリスト入れたいと思ってたわけじゃなかったんですよ。そう思ってたところに、出会っちゃったんです。もう出会っちゃった感が凄いあって。本当にバンド初めて組んだ時みたいな喜びもあるし、新しく入ってきたDuranも俺達も、長く音楽やってきて、今やっと出会えたっていう処があるから。その喜びもありますね。続けてきたからやっと今出会えたっていう。これが二十歳の時だったらきっと駄目だった。
●あー。なるほど。
佐々木:ここまでの苦味とか悔しさみたいなのが、あったからこその喜び、みたいな。だから楽しいです、やっぱ。
●じゃあ同じ熱量を持ってた人なんですね。
佐々木:そうですね。ブルースやロックンロールっていう物に持っている熱量も似てたし、このご時世にそれを武器に戦おうとしてる少数派なんで(笑)。
●私、Duran(デュラン)さんの事全然知らなかったんですよ。
佐々木:あー、バンドやってたけど、棲んでるバンドの界隈はかなり違ってたと思いますよ。
●ああ、なので、初対面の印象とか、佐々木君から見たDuranさんを紹介してもらえますか。
佐々木:最初の出会いは、去年の10月だったんですけど、
●え?去年?
佐々木:そう(笑)結構最近なんですけど。話はちょいちょい聞いてて、多分ライブハウスとかは近い辺りに居たと思うんですけど会った事なかったし、若干棲んでる世界が違うかなって感じがあって。最初知ったのは、グレッチっていう僕がエンドース契約した老舗のギターメーカーにニール・ヤングみたいな、通称グレッチおじさんっていう人が居るんですけど、その人が「面白いヤツがいるから紹介したい」って前から言ってくれてたんです。最初に彼のライブを見た時は、スッゴイギターソロが長くてコイツ超目立ちたがり屋だなって思って(笑)正直。でもDuranは俺が会う頃にはそのバンドを辞めるっていう話になってて。で、去年の10月くらい、全県ツアーが始まるちょっと前くらいに、ツアーが始まるとなかなか東京にも居ないしって事で約束して、新宿の南口の串焼き屋で会ったんですけど(笑)。
●串焼き屋(笑)。
佐々木:最初はお互いシャイだから盛り上がんなかったんですけど、でもブルースが好きだっていう処とかあったんで、俺の好きなCD貸そうと思って持って行ったんですよ。
●高校生みたいだね(笑)。
佐々木:そうそうそう(笑)。なんか友達になれるかもって、そういう気配だけは感じてたんで。そしたら、たまたまその日、Duranが当時所属してたバンドを脱退しますって発表した日だったんです。「俺今日バンド辞めたんすよねー」って言い出して、「ええ?」って。俺と呑んでる場合なの?みたいな感じだったんですけど。それで俺もそういう所ロマンを感じちゃうタイプなんで、何か面白いかもって。別にその時点でもギター入れようとか思ってないんですけど。そのあと、12月くらいにもう一度何人かで飲むっていう機会があって。その時にDuranがテンション高くて、俺も楽しくて。普通の居酒屋に行ったのに、Duranがウィスキーのジャックダニエルを頼んで一本空けたんです。
●おー(笑)。
佐々木:こいつ肝臓おかしいぞと思って、スッゴイ強い人なんだと思って…最終的には便器のトコで寝てたんですけど(笑)。
●わははは(笑)。
佐々木:あはは(笑)他の面子は帰ってたんで俺が面倒をみるしかなく、俺の全力の優しさをもってこう、介抱して。で、その後に弾き語りのワンマンを控えてたんですけど、それは弾き語りだけどセッションバンドみたいにして演りたくて色んな人をゲストに呼んでたんですよ。それこそスクービードゥーのコヤマシュウさんをハープで呼んだり、SHERBETSの外村さんをドラムで呼んだりしてて、豪華面子だったんですけどギターが居なかったから、丁度 Duran良いかもって。しかも皆バラバラのブルースの趣味があるから、会わせたら面白いかなってくらいの感じで、介抱しながら「ギター弾かない?」って。アイツもベロベロなのに「やる~」って(笑)あんまり覚えてなかったみたいですけど(笑)。それで最初に一緒にセッションをしたんですよね、アコースティックだったけど。その時に「ああ、コイツ凄い」って思って。何が凄かったかって言うと、単純にスキル的に上手かったっていう。俺が今まで見た事ないくらい、同世代ではピカイチで上手い、上手すぎるんですよ。もっとヘタクソでいいくらい上手くて。俺達の周りってライブハウスで一からやってきた人が多いけど、アイツはちゃんと勉強してるタイプだったんですよ、音楽的にちゃんと学んでると言うか。勿論ライブハウスにも居たけど。勉強してる人って早弾きばっかりやるタイプになっていく人が多いんですけど、そこにいかないでちゃんとライブハウスに根を張ってる、変わったバランスの人だったんです。スッゴイ上手いし、同時に熱いって言うか。
●おー。
佐々木:こっちが求めたら、絶対断らないって言う喧嘩上等スタイル(笑)でくるから。2人でアコースティックで演ったのも凄く良くて、裸のモンじゃないですか?あれって。
●ああ、アコは音がね。むき出しだから。
佐々木:電気通さないからごまかしも効かないし、ヘタな部分はバレるし、どういうリズムでどういうメロディが好きなのか出るし。趣味がめっちゃ合うっていうのもすぐ分かったし…そのあたりからやっぱコイツ良いかも、コイツと何かやりたいなって気持ちが出始めて。でも、Duranと何かしたいなとは思ったけど、俺a flood of circle以外の事、例えばソロとかをやる余裕は無いなと思って。考えてるうちに、ナベちゃんと大モメするっていう事件が1回あったんですけど。
●ええぇ。
佐々木:大モメっていうか、『KIDS/アカネ』っていうシングルを録った時に、フレーズの事とかドラムの録り方とかで結構バトルをして。それは建設的なバトルなんですけど。建設的もね、長年やってると、こじらせると結構険悪なモードに入っちゃうんで。ちゃんと話そうって、ナベちゃんの得意の店に入って…めっちゃ渋い店だったんですけど(笑)。焼酎呑みながら話して、ちょっとバトルモード引き継ぎながら呑んでたから、姐さんに来て助けてもらおうっつって。そしたら和解じゃないけど「やるしかねぇな」ってなって。凄い盛り上がったから、その時この2人にDuranを紹介したいなって思ったんですよ。で、電話したら、今度は今やってる別のバンドの初ライブの日だったんです(笑)。ちょっと遠くに居たから絶対来れないなって思ったら「行く行く!」ってライブ終わりで来てくれて。
●おー。
佐々木:4人で呑んでめっちゃ盛り上がって、で、そのままスタジオ入ったんですよ。
●え?中学生みたいだね(笑)。
佐々木:あはは(笑)ですよね。セッションしようぜ!って(笑)。でもその町のスタジオは12時で閉まっちゃったんで、深夜の2時か3時くらいに、普通だったら諦めようかってなる処ですけど盛り上がってるから、スタジオあるところまでタクシーで行こう!って、皆で缶ビール買ってタクシーの運ちゃんに嫌がられながら(笑)。それで呑みながらスタジオ入って一時間だけセッションして。もうベロベロになりながら。気がついたら俺とDuranはドラムのキックの上に乗ってたりしたんですよ。普段だったらナベちゃん絶対怒るんですけど、楽しいからOKになってて(笑)。スッゴイ良かったんです。楽しかったし、「何か起こるかも」っていう感じになっちゃって。で、そん時に今度は俺がスタジオの外で酔っ払ってる時にDuranが介抱してくれて、「バンドやろう」って俺が言っちゃったんです、その時。
●おお。
佐々木:で、何となくナベちゃんも姐さんもその空気を察してた処があって。入れる入れないって具体的な事じゃなくて、バンドやろうって言って。次の日がシングルのカップリングのプリプロの日だったんですよ。『Tequila Club』っていう今思えばただの酔っ払いソングなんですけど(笑)。それにギター入れてもらったんです。そのまま朝スタジオ連れてって。
●全員酔っ払いのまま行ったんだ?
佐々木:そう(笑)一部のスタッフの人は「誰これ?」ってなってて「Duran君です」って。かなり勢い任せな事が実は全県ツアー中に起こっていて。本当にいつ入れるとか全然決めないでレコーディングしようって事になってやったっていう感じですね。でも、「メンバーとして入れる」って事になるまで結構時間かかってて…バンド演ろう、イコール、俺の中ではフラッドに入れるって事だったけど、全県ツアーやってたし、スケジュール的にもすぐ入るって事は出来なかったし、お互い身辺整理的な時間があって、やっと「入る」って事が言えた。レコーディング自体は夏前からしてたんですけど、入りますって言うタイミングはちょっと遅くなっちゃった。だから、流れとタイミングと思いつきとで転がってきちゃった(笑)。
●でも、お互いの準備もうまくはまったんじゃないですか?
佐々木:上手くはまったっていうか、はめてもらったっていう感じですね。気持ち的にはいつでももうやっちゃおうって。やっぱり、お互いの身辺整理には時間かかったかなって。
●まあ、周りのスタッフさんとかもいるし、すぐには決められないですよね。
佐々木:そうなんですよ。Duranも、もう、前のバンドを辞めた時点で、サポートは別として自分のメインのバンドはボーカリストがいて自分がギターメインで居るっていうバンドはやらないって思ってたらしいです。だからお互い「出会っちゃった」っていうのがあった。
●(笑)良い出会いだったんですね。フラッドの事を考えたらずっとサポートで行くのか、メンバーを入れたほうが良いんじゃないかって思ったりもしてたので。
佐々木:ああ。曽根さんとは本当に…凄い、気持ちを持ってやってくれてたのも分かってたし、ライブバンドとして今の形のa flood of circleがあるのは本当に曽根さんのおかげだし。バンドの命の恩人だと思ってる。でも、今Duranと出会ってしまった衝動みたいなもの、そこから見える未来みたいなものにかけたかったんですよ。同じ処に立って、同じ角度で悩んで、同じ角度で夢を見る…ことができるって思っちゃったから。もう、それをやりたいって思ってしまったんです。ここでやらないと一生後悔すると思ったし、その後悔を引きずったままバンドを続けるのは聴いてくれる人にもメンバーにも失礼だと思ったから。これまでのフラッドをずっと見たかったっていう人も居ると思うけど…それは今まで自信もってやって来たから、最高だったでしょ?って言いたいし、傷つけてしまったところもあるかも知れないから、そっからちゃんとアルバムとライブで良い物を見せますって宣言しておきたい。
●はい。ライブまだ見てないので楽しみです。
佐々木:ああ、まだ少ししか演ってないんで(笑)。あくまでも、俺たちもズバッと切り替えたんじゃなくて、大さん(Wash? 奥村大)が居て、曽根さんが居てくれて、今があるから。ストーリーはずっと繋がってるなって。だからアルバム制作するのも、Duranが入ったから一回制作期間設けて仕切り直そうとかじゃなくて、全県ツアーとか全曲ライブやって出来た曲もやっぱりアルバムにしたかったし、俺達は転がり続けてきたストーリーがあるから、「続ける」っていう。ここで仕切り直すんじゃなくて。そこにDuranも乗ってきてくれる、そう俺も求めたしDuranも理解してくれてたから。だから今回出来て良かったなって。
●はい。確かにここで区切るのも違うと思うし。
佐々木:そうですよね。
●続いていくバンドなんだから。
佐々木:うん、まさにそうです。止まらないって決めたから、ここまで来てるっていうのもあるから。