ココロオークション『ヘッドフォンミュージック』インタビュー
INTERVIEW[2014.10.03]
●収録曲の紹介をお願いします。『ヘッドフォントリガー』から。
粟子:これは、結構時間が無い中で作ったんですけど、その時多分ちょっとイライラしてて、スカってする曲、そういえば無いなって。聴いてスカッとする曲を作ろうって思ってて、僕のストレス解消法って大音量で音楽を聴く事なんです。で、『ヘッドフォントリガー』って、音楽の再生ボタンをトリガーに見立てて、引きがねというかプチっと押した瞬間に別の世界に行く、そこから現実逃避するみたいな。その感じをちょっと歌詞にして、自分なりに(笑)。音楽聴いてて、あー良いわ!気持ち良い!っていう瞬間に出会うために曲も作るし、色んな物に出会うような音楽を聴く、そんな世界観ですかね。だから言葉をいっぱい詰めて、bpm(テンポ)も早いですし、ガンガン前に前に攻める、感じの曲にしました。
大野:この曲は音が太いっすよね。今までの曲の感じとは違うサウンド感であったり、アレンジやとは思うんで。多分これ聴いたら、あ、何か違うって思うんじゃないですかね。こんなのもあんねんやって、振り幅みたいな。
井川:僕は、粟子君が結構スピード感がある曲を持ってくるのは珍しくて。大体ミドルくらいのが多いんですけど。
粟子:120くらいの。140とか(笑)。
井川:そうそう。だから、久しぶりに来たなって思って。速い曲って僕結構好きなんで、とにかくドラムに関して言えばカッコよさを重視しましたね。感情を込めた曲っぽかったんで、2番のAメロではドラムを足抜いたり、要所要所に、ここってこんな気持ちなんやから、こんな感じの事やってんのかなって感じてもらえたら嬉しいですね。僕なりに色々やってるんで。マニアックな人じゃないと分からないかも知れないですけど(笑)。

●2曲目『イノセンス』
粟子:これは、サビから作った曲で、もうちょっと明るい曲になるはずだったんですけど、多分そん時の気持ちと言うか、正に僕の歌です、これは。凄い辛くて、曲作るのが。
●え?曲作るのが?
粟子:結構スランプで中々曲が書けなくて(笑)。凄い辛くて、でも純粋な気持ちを書こうと思った。うん、自分の歌ですね、これは。自分から自分への応援歌って言うか、そんな感じですかね。でも皆、こんな思いをしてるんじゃないかなーって、代弁できてたら良いなと思ってます。
●じゃあココロオークションのスタンダード的な。
粟子:そうかもしれないですね。背中を押したいっていうか。これは僕、最後のサビが気に入ってます。「感じるか 生きているか ちゃんと歌は歌えるか ここに居る 君がいる それだけで十分だな」って。何か色々考えすぎてて、結局まあ、俺は音楽があったらええわって(笑)。なんも考えんとこーって。自分や、って、仲間もいるし、考え過ぎてた!って思いました。メロディも歌い方も気に入ってます。
大野:この曲ね、凄くアレンジ難しくて。コレが一番時間がかかったような気がする。僕の中では凄く整理された曲なんですけど、録る段階からこの音ここのパンで振って、とか、細かい設計図があった曲なんです。自分の結局の所、そういう曲やったんで、何処まで明るくするかとか、だから結構苦労しましたね、これ。結果的に良かったんだと思います。だから2曲目になったんやなって。レコーディング直前に消そうかなって思ってたんですけど、もうちょっと頑張ったら良くなるなって。結局明るくしようとしすぎて失敗してたんで、もうちょっと暗めにしたら良い感じになって。そんなことがあったような気がします。
井川:僕はこの曲はこのCDの中ではかなり好きな部類です。完成してからですけど。レコーディングするまでは結構、いけるかな?ってところがあったんですけど。色々やってみて、サビにタンバリン入れたりとか、えらいサビっぽくなったからな、アレで。
粟子:なあ。
井川:凄く良くなって、色々チャレンジが含まれてる曲なんで、背中を押して欲しいって粟子も言ってましたけど、楽しんで聴いてもらえたら嬉しいです。

●では『迷子のクロム』
粟子:これも、(笑)イライラじゃないですけど、僕、居場所無いんかな?って。居場所を探す曲ですね。社会の歯車じゃないですけど、普通に働いてるサラリーマンの人とか、何も言わずに頑張ってるけど、偉いよなって思って。
●1曲目はイライラで、3曲目は焦燥感みたいな?
粟子:そうですねぇ、結局は歌詞、そのままなんですけど。自分を犠牲にして誰かの為に生きれる人、その強さっていうか、自分を犠牲にして誰かの為に生きてる人って、何か、口では「もう嫌やわ」とか「自分の為に生きたいわ」とか言いつつも、どこかで誰かの為にやりたいって思ってるんだろうなって、思ってて、僕は。その事をちょっと歌詞にしてみようかなって思いました。まあ色々抱え込みながらも頑張ってるんやろうなって、そういう人の歌を書いてみようって。
●サウンド的にはこれも攻めな感じで。やっぱりそういうモードだったんですね。
粟子:(笑)今回僕がそういうモードでしたね。
井川:これ速いもんな。
粟子:ぼちぼち速いな。
大野:この曲は多分ね、『ヘッドフォントリガー』録った後に作ったからこんな感じになったんだと思うんですよね。
粟子:メロディは大分早い段階であったよな。
大野:この曲はメロディは昔からあったんですよ、それでバンドでもちょっとだけやったことがあって。
粟子:『七色のダイス』に入るかもしれんくらいの。
大野:『ヘッドフォントリガー』を作る前、この曲か『ヘッドフォントリガー』をコンピに入れるつもりだったんですよ、まだどっちも出来上がってないくらいの段階で。その時からは大分様変わりしたな(笑)。
井川:大分アレンジしたね。
粟子:もうちょっとポップやったもんな。
大野:骨太な感じは、『ヘッドフォントリガー』録って、この感じカッコイイなって思ったからその勢いでアレンジした感じですね。多分。
井川:結構、ドラムは、踊ってもらえるようなニュアンスで叩いてるんで、特にAメロとか、首振りながら聴いてもらえたら嬉しいですね。踊れる曲にもなってます。

●『ハルカ』
粟子:これは元々、昔からある曲で、多分2012年くらいからある曲かな。ライブでもよく演ってたんですけど、それをアレンジし直して。それというのも、今回wilsonicの竹内修さんにarmchair directiveしてもらって。メールでこんな感じで進めてますよって、聴いてもらって、「こう思うよ」ってアドバイスを頂きつつ、作ったんです。もうちょっとポップに、耳に残るようにしよう、っていう方向になって。サビが増えたりとか、メロディ凝ったりしてるんですけど。特に2番とCメロの構成がガラッと変わってるんですよ、これ。一番のサビのメロディも変わりましたし、コードも違うし。
(wilsonic 竹内修 氏:スピッツや東京カランコロンなどを手がける音楽プロデューサー)
●結構色々変わって挑戦した?
粟子:そう、新しい風を取り入れて、新しいココロオークションっていう感じですかね。でも昔の良さって言うか、僕らっぽさは残しつつという感じで。特に大サビとかですかね。メロディがバチっと、コレ!っていう。多分聴いてる人は気持ち良いやろうなって処があるんですけど、そこ聴き所ですかね。うん。これは割かし明るい曲ですね。
全員:(笑)。
粟子:これも色んな意味に取れる歌詞なんで、それぞれで好きに解釈してください!
井川:大サビの、畳み掛けるようなコーラス、好きね。あそこ良いですよ。
大野:これは、昔から演ってた曲なんでね。キャッチーやな~と思います。これも結局、アルバム全体的なサウンド感にどう嵌めようかなっていうのが難しかったんですけど、良い塩梅で。ポップっぽいけど、今までの中では一番骨太やと思うんで。良い意味で今のココロオークションぽい曲かなと思います。

●最後、『夏の幻』
粟子:これはずっと、僕の中で「これは使わない」って決めてたコードがあって、それが登場してるんです。それは何故かって言うと、凄く良いコードなんでどの曲に嵌めても良く聴こえるんですね。これは絶対良いメロディやって思った時にしかこのコード進行は使わないでおこうって思ってたやつが、初めて出てきました!
●おー。してやったりって顔ですね(笑)。
粟子:あはは(笑)。Bメロが凄い気に入ってて。結構これは、ビジョンもあって、デモの段階からこういう風にしたいって、でも、スタジオ入った段階で言わんでも勝手にやりたい構成になってましたね。これはこういう感じよね、ってスラッと決まった感じですね。これも竹内さんに参加していただいてて。アドバイスいただいて、歌詞の嵌め方とか、コードの使い方とか凄く勉強させてもらって。ギリギリまで歌詞に悩んで。
井川:悩んでたね。
粟子:うん。僕、恋の歌とか、恋愛の歌とか全然無いんですけど、ちょっとそっちの方を、今の僕の振れ幅で、そっちに振れてみた、感じですね。僕は君が好きみたいなことはあんまり言いたくないって言うか、それが許される人と許されない人がいると思ってて、言葉の説得力として。だから、僕なりの言葉できゅんきゅんって言うか、そっちの方に寄せていった感じです。別れの曲ですね。初めて書いた。夏と別れ。夏好きなんです(笑)。
大野:この曲は凄く手のかからない子だったので。アルバム入れるってなってから、振れ幅的に言うと端っこの曲やったんで、ここがマックス振れてるトコなんで。特に何も考えずサッとやったらこうなったっていう感じ。細かいコードとか歌い回しとか歌詞とかは凄く粟子さん苦労してたけど、逆にそれ以外は一番手がかからなかった。
井川:そやな。演奏に関してはほんま自然に出来たかなって感じ。すぐ決まりました。
粟子:俺も全然言わんかったよな。
井川:うん。スッとできました。

●ではアルバムを作り上げた感想とか今の気持ちを教えてください。
井川:かなり良い作品ができたと思ってるんで、これまでの作品も別に嫌いってわけじゃないんですけど、作ってきた中でも良い出来だと思ってるんで、はよ聴いてほしいです。
大野:そうですね、個人的には、なんですけど、凄く無責任なんですけど、凄く次をもう作りたいなって感じはするんですよね。
井川:あー、分かる。
大野:僕の中での音楽的な成長とかバンドの成長とか、そういうのを含めて、もう一枚良い塩梅に出来そうな気がする、ある意味余力のようなものがある。時間が無い中ではあったんですけど。うん、5曲なんで、1曲1曲の濃さみたいなものをちゃんと良い方向に濃くなっていってるんかなって思います。
粟子:作ってみて、なんですけど、僕自身のスランプとか、歌詞出来なかった事とかも、凄く自分と向き合えたアルバムだなって。ほんまに、自分の中にある感情の、更に奥にある感情と言うか。それを発掘してくれたアルバムなんで、こいつのおかげでなんかまた成長できたなって僕は思ってますし、さっきも大野君言ってましたけど早く次を作りたいですね。抜け出したから!あはは(笑)。凄い悩んで、難産でした、こいつ。そのおかげで成長できたんで、あるべくして、録るべくして録ったアルバムかなと。濃いんで、内容がコレ聴いてくれた人は、他の曲も聴いてくれるんじゃないかなと、思います。ヘッドフォンの向こう側へ送る!アルバム!
井川:決めた!
●決めた(笑)。
粟子:あはは(笑)。
大野:目に入っただけやん!(資料に乗ってた言葉)
全員:わははは(笑)。
●ありがとうございました!(笑)。
(文・写真:朝倉文江)


『ヘッドフォンミュージック』
01. ヘッドフォントリガー
02. イノセンス
03. 迷子のクロム
04. ハルカ
05. 夏の幻

CD
CRRC-1009/1,500円(税別)
2014.10.08発売
LIVE SCHEDULE

リリースツアー
ココロオークションTOUR2014 -ヘッドフォンの向こう側へ-
・2014年10月31日(金) 福岡公演よりスタート、日程は随時更新。
・2015年01月23日(金) 心斎橋JANUS ツアーファイナル・ワンマン
その他コラボ企画等、多数出演。

★詳しくは公式HPにて
■ココロオークションHP http://cocoroauction.com/