LOVE LOVE LOVE『Flag』インタビュー
INTERVIEW[2013.11.08]
●はい。『アンサーソング』から全ては始まったんだと思うんですが、制作自体はいつぐらいから?
浦山:年明けぐらいから。去年の9月に1stフルアルバム『SUN IN THE RAIN』を出し、12月くらいまでツアーを回ってたんですよね。ツアー終わって、翌2013年どうしていこう?っていうところで。最初足踏みしてるところもあったんですけど。春ぐらいにはとにかくどんどん曲を作ってこうみたいな流れになって、何曲か作ってて。ただ、『アンサーソング』だけは、これだけ先に形にしたいって、寺井君が言って。
寺井:これは売れるって思ったんです。…そこまで盛り上がらへんかったけど(笑)。「あ!出来た!」って感じやったから、とりあえず、やろう!って。
浦山:それから、ですかね。『アンサーソング』が出来た時点で、アルバムなのかミニアルバムなのか、それぐらいのボリュームの物は作ろうって話をしていて。だから半年くらいです。
●そう聞くと、『アンサーソング』が出来てから以降、音源にしてもレーベルのことも、一気に動き出してますね。どんなものを作ろうと考えてたんですか?
寺井:この…事務所を離れたんが一年前なんですよね。いわゆる活動援助みたいな物が一切無くなり、それをどうするかっていう事も考えながらやらなくちゃいけなくなって。レーベル(スピードスター)も離れて、状況としては追い込まれていった形になって。曲と自分、曲とバンドを考え直した。割と、初期のLOVE LOVE LOVEって恋愛の歌も多かったし、日々の生活というか日々歩くため走る為に何をしなくちゃいけないんだとか、そう言う事をあまり曲にしてこなかったんですね。節目節目では書いたりはしてたんですけど。やっぱり、一言で言うならば、自分の人生って言うのを、曲に擦り付けていかなきゃいかんなって。それが今回の曲作りにあたってのテーマではありましたね。
●一時期、恋愛の曲しか書かない宣言とかもありましたけど、それも越えたってことで?
寺井:それは、環境が大きく変わったし、自分の中心にあるものもずいぶん変わったなってあって。生きていく為に何をするんだっていう事を凄い、考えるようになったし。恋愛っていう物は極端な話必要ないって。勿論恋愛してるんですけど、自分の中の優先順位ですよね。やっぱり音楽なのかなって。今回はそれがテーマだったんですよ。いろんな事あるけど、頑張っていこうよ、前に向かって行こうよって、そういう事が身をもって分かるようになった。今までは分かってたつもりやったんですけど、もしかしたら今も分かってるつもりのような事なのかもしれないけど、それがあるから、書く内容がずいぶん違って来たなって。
●歌詞の世界観がずいぶん変わったなと思ってたんで。
寺井:そう、対・自分、になったんですよ。それを音楽にしていきたいなって思えるようになった。ある意味シンプルになったし。余計なものは要らなくなった。曲もね、だいぶ短くなったのはそれもあるかも。あんまり無駄なことしたくない。あまり使わないものを側に置きたくないし。それを考えてると何に向かってたのか、自分でも分からなくなるから。そういうのを削ぎ落として。そのほうが無駄な力がいらない、力を注ぎたいところに全部注げる。
浦山:それに、そっちの方が聴いてくれる人にも伝わり易い気がしますよね。こいつらこんな風に思ってんだな、こんなこと考えてるんだなって、より、伝わりやすくなる気がします。
●曲の作り方、アレンジの固め方とか、方向性とか、そういうものにも変化が?
寺井:うーん、そこは特に変わったわけではないですけど、自分の中で特に変わったと自覚してんのは…前は曲が長いし遅かったんですよね、テンポ感が。自分が歌詞とか関係無しにどんな音楽が好きなんだろうなって考えると、早い遅いはあんま関係なくノリの良い音楽。そういうのを割りと今回は前面に出していこう、って。6曲ある中でのパーセンテージが変わっていったんですよ。
●意識してそういう選曲をした感じ?
寺井:あ、それはね、作ってる段階からそういう曲しか作らないって思ってたんで。たまに「これ良いかな」っていう遅い曲も出来ますけど、それはたまたまで。ノリノリで行きたいですよね。
●確かにこの音源のテンション感はそうですね。
寺井:ライブの楽しみ方って色々あるし、歌詞できゅんきゅんする人もいるけど、大半の人はもっと、違うところにあるような気がしていて。自然に身体が揺れる、心躍るとか。そういうところやと思うし、結局自分もそこやなって。勿論歌詞も。五感を使って楽しむもんやから。歌詞も重要なんですけど。もう少しそのノリの部分にフォーカスしていきたいんですよね。それがあるとバラードのあり方もずいぶん変わってくるかなって。ノリが良い曲の中のバラード一曲っていう方が…ある意味ボリュームが出るような気がするんですよ。全体からその曲を見たときのボリューム感、大きく見える、そういう作り方をしたい。それってアルバムの曲順を並べてるのと、ライブの曲順を並べてるのと一緒かなって。ライブもふっとバラードが来た方が感動出来る様な気がするし、その曲が数倍にも魅力を放つような気がするんです。
●アレンジ面とかは?
澤本:そうですね、ノリと言うか、そういうのは大事にしましたね。その、『アンサーソング』も、最初ライブでやってた時は全然違うアレンジやったんですよ。聴かせる系に走ってたんですけど、いざRECする時になって、ああいうアレンジに変わって。テンポ感はそんなに速くはなくてミドルなんですけど、凄く気持ち良い乗れる曲になって。ああ良いなと。それもあって、今回のやつは基本的にノリが良いヤツで。何か、ドラム自体も凄くシンプルになりましたね。僕の中では。前は、場面場面でめっちゃ変えたかったんですよ(笑)。フレーズと言うかリズムを。でも、ドラムは変わらずに上物が勝手に変化を付けてくれるんで、ボトムだけちゃんとやろう、見たいな感じで。今回はガイドを使う回数も少なかったですね。あと変わったというか面白かったのは、前はバーンと一斉に録って、後はドラムで勝手に作ってたんですけど、今回寺井さんが打ち込みをするんですよ。
寺井:ヒャダインの影響で(笑)。
全員:(笑)。
澤本:全部じゃないですけど、一回僕がバーンとやった後に、打ち込みを打ってくるんですよ。そのノリを大切にしたいなと思って、それプラス生のドラムの感じで、凄くシンプルと言うか、そこを大事にしましたね、僕は。スゲー難しいんですよ、打ち込みやから(笑)。
寺井:そんなそんな。さんちゃんが叩けばさんちゃんになるんで。
澤本:難しいところも入れつつ、ドラムの感じを、出せる限りは。
●はい、ギターに関しては?
浦山:ギターに関しては、なんかね、その打ち込みしかり、なんですけど、上物もギタープラスアルファもう一個っていう感じのデモの状態が結構多かったんで。ギターも寺井君が予め弾いてるヤツとかあるんですけど、そういうのを聴いてると結構歌との絡みとか、作ってる本人が一番気にしてるから。そういうのって意外と俺は気にしないところが今まであって、ガンガン行ったろみたいな、メロもあって、裏でギターも違うの鳴ってるんで良いやんかって思ってたんですけど、今回はそこを意識してはやったりしましたね。ただ、テンションとしては上がっていくほうのテンションで演ろう、って。ガンガンあがる感じの。聴かせるというよりはシンプルに。だからあんま複雑なことしてないです。
●はい。と言う事は、寺井君が結構曲のイメージまでを作りこんでからの、アレンジ?
浦山:それが多いんじゃないですかね、今回は。
寺井:それでもやっぱり、その通りにはなんないし、それ以上になるパターンのが多い。構成員が変わるとやっぱりね、一人でやってるのと3人でやるのとは変わるし。僕が練った構想とかイメージとかはあんま関係なくて、大きな矢印にはなるけど、行き着くところはちゃんとLOVE LOVE LOVEとしての答えになるっていうか。それはやっぱ面白い。毎回思うけど。確かに今回は作りこんだけど、鍵盤弾いたりもしながら、そこまでやっても、このバンドの出し方になるんだなって、ある意味安心した。バンドでやることに意味があるなって思えるし、思えなかったらバンド解散の危機やし。
澤本:あははは(笑)。
●解散の危機にならなくて良かったです。
メンバー(笑)。
●それもあったから、よりやりたい事とか方向性も明確になったんでしょうね。
浦山:そうですね。基本的な、大まかな流れを…最初に、滋賀の山奥で3人で籠もってやってたんですけど、良い感じになるヤツもあれば、全然進まなくてアカーン!!ってなってもーた時もあるんですよ。
寺井:でも1/3くらいは生かしたかな?
浦山:全然もうアカンなって。で、それやったらそのネタを寺井君に任して。今回の大まかな流れも、レーベル立ち上げてそれぞれの役割分担もして、寺井君には頑張って曲を作ってもらうって流れになっていったから。
寺井:人が足りないから必然的にそうなるんですよね。
澤本:(笑)。
浦山:だから曲を作りこんで行く流れになって。
寺井:役割分担すよ。
●なるほど(笑)。ちなみに、誰が何係とか、おおまかに決めてあるんですか?
澤本:それもまだ全然ですよ(笑)。きょんぴーが広報頑張ってて、僕はそれの補佐です(笑)。
浦山:だから、曲作りは、俺等もあーだこーだ、最初の所だけは3人で決めるけど、後は一旦寺井君に任したところはもうガーンってやってもらって、最後にそれを元に皆でやると。途中経過、プロセスをあーだこーだ言ってたらむちゃ時間がかかるし。
●なるほど(笑)。では1曲ずつ。曲紹介を。
■M1.ステラ
浦山:多分、今までの我々のニュアンスとは違うと思うんですけど。今までの感じと。
●そうですね。こういう感じの曲が出てきたことは嬉しかったですね。このタイミングで。もうニヤニヤしましたね(笑)。
寺井:あはは(笑)にやにやて気持ち悪いな(笑)。この曲がとてもしんどかったんですよ。全ての面でしんどかった。ねえ?
澤本:(笑)これはもうね、凄かった。
寺井:最短で録った。制作期間最短ですよ。
浦山:史上まれに見る。
澤本:レコーディング期間10日間あったんですよ。で、最後の2日残してまだ1曲出来てなかったんです。
●まさかそれがコレ?
澤本:そうです。元ネタはあったんですけど。いつもRECが終わってからちょっと残って次の曲をやろうってなってたんですけど(笑)、もう眠たくて。
浦山:ははは(笑)。
●眠たい!(笑)。
澤本:それまでの疲れも来てて。
浦山:ライブもその間に挟んでて。
澤本:あかん!もう帰るって寺井さん言い出して、明日の朝9時集合やって。
寺井:そのときやってた曲があんまり良くならなくて。で、最近その辺強くなったなって思うのは、こう、試験勉強とかあともうちょっとせなアカンってときに、深夜使ってやるでしょ?時間外。それが無くなって、寝るときは寝て、朝早く起きてやる方が絶対良い。この空気感じゃ絶対良い感じにならないし、
浦山:重苦しい空気になってたね。
澤本:重苦しい空気(笑)どないしよう?って(笑)。
寺井:出来てないっていう気持ちも自分に覆いかぶさってくるから。とりあえず家帰ってお風呂入ってからまたやろうって。そういう切り替えが結構出来るようになってきたんですよ、最近。2人が居るのが自分の中でプレッシャーになるから、曲が出来てないのに(笑)明日レコーディングで、2人が待ってるって、曲書いてるどころじゃなくなるから。とりあえず帰ってもらおうって。
澤本:それも分かるんですけどね、あんまりね、そういう空気出したらあかんと思うんですけど、やっぱ不安になるんで。僕らも朝一発目録るの僕やし、決まってないから。
寺井:さんちゃんが一番初っ端に録るから。
澤本:フレーズ…構成も決まってないですから。でも帰るっていうから、帰ろう!急いで帰ろう!って(笑)。朝9時に集合してバーンと合わせて、まあ、ちゃんと歌が聞こえなくて想像出来なかったんで、この曲。全貌が全く見えなくて(笑)。
寺井:ここでね、頼りになったのが、レコーディングをやってくれてるスタジオSIMPOの小泉さんで。良いボールを投げてくれて。それで結構進められたのもあって。でも一番バンドらしい感じになったかな。
澤本:11時からバーンと録って、構成だけ決めて(笑)。すげぇノリノリになりました(笑)。
寺井:皆必死やったんだけど、勢いが出て。一番最後に録ったから、全体が見渡せた上でこの曲みると、バンドっぽいなって。バンドの音してるなぁって、ちょっと感動しましたね。
浦山:バーンとやって、サビがどーのこーの言ってる時に、後は歌詞はどんな方向性なん?ってだけ聞いて。
寺井:歌詞も出来てなくて(小声)。
浦山:その方向が恋愛とかの曲やったらどうしようかと思ったけど、そうじゃなく。
寺井:『アンサーソング』の続き、みたいな事言った気がする(笑)。
浦山:それやったらそれで行こう!って。
澤本:OK分かった!って(笑)。
●歌詞的には?
寺井:書きたいことは決まってて、最後にこの曲がリードになるだろうって、流れはなんとなく3人の中であって。探り探りやったけど。その中で、自分の今の精神性とか、そういう物をちゃんと示す物じゃないと。それが本当の気持ちやし、それをリードトラックにしています。前は何かイメージから入って、ちょっと曲を考えるっていう作業が多かったんですけど、それを止めて、真ん中から考えようと。何が言いたいのか、そこをちゃんと書いていかないと。悩んだって事でも無いんですけど。
●じゃあ、今言いたい事を書いた?
寺井:そうです。なう。
●……。
寺井:なう。(二度目)
澤本:あははは(笑)。
●はい。物語でも恋愛がテーマでもなく、自分たちの事を書いたのって結構珍しいですよね。
浦山:ここまでストレートにってのは無かったかもしれないですね。
寺井:絡めてとか、恋愛モノじゃないけど、恋愛に絡めて書いたりとかもあったから。それでぼやけてたのかも知れないですね。今回は恋愛の要素なんて要らないって思ってる自分もいるし。この曲のテーマっていうのは、自分一人の人間を見詰めるっていうところなんですけど。色々付きまとうわけじゃないですか?孤独な瞬間とか…結構この曲、孤独って言葉がテーマかも。
●ああ「孤独は分け合うもんじゃない」ってありますね。
寺井:何かと孤独って付きまとうって言うか、なりたい・なれない、自分が除外されたような気分になって、悲しくなるとか。曲とか作ってる時とかも、結構その作業自体は一人だし、良い曲が出来なかった時とか、やっぱりこう、孤独さを味わうと言うか。でもその中でも強くなる原動力ってあって、その孤独を人に分け与えちゃならんって言うか。人に対してはやっぱり幸せにしてあげるとか、良い物を贈ってあげるとか。負のエネルギーを人に与えちゃいかんと。やっとそう思えた。あんまり孤独やと思ってなかったし。単純に淋しい瞬間とかはありますけど、そうじゃなくて人間の心の中に居座ってる孤独ってあるじゃないですか。そういうのも、居るなって、その存在に気付いた感じがあるんですよね。
●タイトルの『ステラ』っていうのは?
寺井:意味?無いこともないけど、無いって言いたい(笑)。人の名前とか付けるときは何かしら自分以外の誰かの思いでつけるでしょ?こう育って欲しいとか、人に名前をつける時って、犬でも良いんですけど。そういう名前の付け方は今回していなくて。これを10年経って自分が聴いたときに、意味のある、その長く経った時に意味が出てきて欲しいなって思ってます。

■M2.Mr.グッド
●1曲目に続き、更に元気になる感じで。
寺井:これね(笑)。
浦山:この突然の、1曲目から2曲目のはっちゃけ感がヤバイですよね。ゴキゲンでしょ、これ。
寺井:Mr.グッドですから(笑)。
澤本:Mr.グッドやもんなぁ(笑)。
寺井:グッドって、指のマークにしたかったんですよね(笑)。
浦山:これは、何なんですかね(笑)、これを作っていく中で、明るい方向のものにしたいって思ってたんで、こういう曲は絶対必要だろうって。
澤本:これは最初に録った曲なんですよね。
寺井:まだ元気やったとき(笑)。アレンジはもう、ロカビリーで行こうって(笑)。
澤本:ギターが良い感じで(笑)。
浦山:ひたすらギター弾いてましたね(笑)。これはね、裏話としては、間奏部分に我々がはしゃぎまくってる声を入れてたんですけど、はしゃぎ過ぎて(笑)。ちょっとやり過ぎたなって(笑)。最後にワーって入ってると思うんですけど、アレのもっと長いのが間奏に入ってたんですよ。
澤本:やったれー!みたいな(笑)。
寺井:制作が進むにつれ、浮いちゃって、作品をつぶしてしまうので消しました。
浦山:これはもうね、このCDはライブで確実に皆さんに届けていくと思いますので、ライブで盛り上がる一つのポイントにしたいなと。
寺井:隅々まで手拍子等々お願いしますと。
●これはもう皆で遊ぶ系の曲ですよね。
寺井:これライブでだいぶ長いイントロになるんじゃないですかね。
浦山:「最高です」の練習をしたいっていう。
澤本:ははは(笑)。
●最高ですコールアンドレスポンス?
浦山:そうそう。
●そこちょっと宗教っぽいなと思っちゃいました(笑)。
メンバー:わはははは(笑)。
寺井:そっちには行かないように(笑)。
●歌詞的にもそんなテンションで?でもリアルと言えばリアルですよね。
寺井:幸せですよと。グッドですからね。