D.W.ニコルズ『SUNRISE』インタビュー
INTERVIEW[2013.10.30]
■M9.初恋に咲く花
●ちょっと恥ずかしいというか(笑)きゅんきゅんするタイトルで。
わたなべ:ふふ(笑)。
●これは頭の中で出てきた曲?
わたなべ:そう、普段は家の中でギター持ちながら作るんだけど、これは外に居る時に頭の中で出来たんです。サビの頭が出来て、だからサビは歌詞もメロディも全部頭の中で出来て。それを忘れないようにiPhoneで録って、そこから他の部分を作った。
●その、ギター弾かないで出てくるって、結構珍しいんじゃないかと思うんですが。
わたなべ:珍しいんですけど、コード進行に縛られないで作る事が出来るから、本当はそれが一番いいんですけど、自由なメロディになるから。でもそうそう出来るもんじゃないので、これは本当に出てきたなぁっていう感じですね。もうシンプルな恋の歌にしようと思って、淡くて若い恋の歌に。
●青くて小さな花ってどんなイメージですか?
わたなべ:初恋にもし花が咲くとしたら、どんな花かなと思って、小っちゃくて青いんじゃないかなって思っただけ(笑)。
まなん:ふふふ(笑)。
●初恋、でもコレって中学生とか高校生って感じじゃないですよね。
わたなべ:うんうん、子供ね。でも、人を好きになる気持ちって、心の中にぽんって花が咲くみたいなイメージなんですよ。ある瞬間からだんだんその花が育っていったり、大きくなったりしぼんでいったり。「あ!好き!」って思う瞬間って、その…小さくて青い花が、ぽんって咲くイメージ。で、これ何だろう?って思うのが初恋って言うか。

■M10.Sunny
●歌始まりの、サラリーマンソング?
わたなべ:サラリーマンソングですね。
まなん:サラリーマン(笑)。
●世のサラリーマンに共感せよ的な?
わたなべ:いや、っていうわけでも無くて。俺サラリーマンやったこと無いから分かんないし。サラリーマンの人からしたら「お前に何が分かんだよ!」って思うと思うから。ただ書いただけなんですけど、誰かを励まそうとかも全然思ってないし。
●なるほど、これ大人だったら分かる感じですよね。
わたなべ:そう、大人の歌かな、どっちかって言うと。
まなん:そうだね。
●「月は時々~」のこの2行の部分とか、凄く良いなと。
まなん:ここ、私も凄い好きです。聴いてるだけじゃわかんないかも知れないけど、歌詞を見たらハッとなると思います。
わたなべ:ちょっと分かり辛いかなとも思ったんだけど。でも、太陽も時々細くなるんですよね。日蝕。それも良いなって。月はいつも細くなっていってるじゃないですか?でも太陽って本当に時々しかならないから。
まなん:めったにならない。
わたなべ:絶対ならないわけじゃない処が良いなって。時々細くなっちゃうんだな、太陽でさえ。それにめちゃめちゃ励まされるんですよ。だから、俺もそんぐらいで良いかなって。100%じゃなくても…いつも細くならない、いつも太く居るのは無理だけど、たまに細くなっちゃうぐらいなら、俺もなれるかなって。その辺目指そうっていう、くらいの感じ。
●あー、こう聞いてると、やっぱり大人になったんだなって気がします。
わたなべ:そうですね。完全に大人の歌です。これは子供には書けない。なんなら30越えないと書けないかも。うん。
まなん:(笑)
●あと、ギターのフレーズがちょっと懐かしかったです。
わたなべ:オザケンとマイケル・ジャクソン。元々マイケル・ジャクソンの曲で使われてるギターリフをオザケンがそのまま使ったんですけど、それをあえて。何かワンパンチ欲しいなって時に、健ちゃんに振って、最初健ちゃんがふざけて弾いてて「これは無いよな~」とか言ってたけど、それ良いじゃん!って言って。
まなん:採用(笑)。
わたなべ:全ヶ所弾いてもらって。それで何か曲が完成した感じがしたんですよね。

■M11.東京
●これはメンバーのリクエストからということですが。
わたなべ:これはこの人(まなん)から。
まなん:東京っていう曲を書いて欲しいって言って、書いてもらった。
わたなべ:元々僕がそういうリクエストをしたんですよ。その、何かヒントをくれないかと、メンバーに。やたらめったら書いてても面白くないから、例えばその…ポップで前向きな恋の歌とか。
まなん:キーワードだよね。
わたなべ:そういうキーワードをくれと。タイトルとかでもいいよって言ったら、まなんが「東京」とか「プラネタリウム」とか出してきて。
まなん:凄い、出来た時びっくりしました。超良い曲!って思って(笑)。送られてきたデモをめちゃくちゃ何回も聴きましたね。凄い良い曲って、サビがぐるぐる回って。
わたなべ:サビは変わってないですね。Aメロはちょっと変わったんですけど。その時に出来た物とは。歌詞はほとんど一緒で。2番の歌詞も最初はガセネタだったって着地してなかったんですけど、その後に新しい情報が入ってきたから、付け加えて。ちょっとメロディを変えて、完成。
●その、葉山生まれの葉山育ちで、関東人ではあるじゃないですか?
わたなべ:うん、そうですね。
●関東人が考える東京?
わたなべ:いや…神奈川だけど、東京にはやっぱり「出てきてる」っていうイメージだし、上京したイメージ。東京という街自体を歌ってる。だからどこかから出てきた人や元々東京に居る人にとっての東京でもあると思うし。なんなら「東京」って言ってるけど、どっかで何かを頑張ってる人がいたら、その場所を東京って言ってるみたいな物で。僕にとっては東京は高円寺っていう街で。あそこって夢の欠片で出来てるなって感じがして、それが大きくなったのが東京っていう街なんです。これに関しては全て言い切ってるから、これ以上は説明できないんだけど。これが全てかな。
●あと、遂に東京っていうタイトルが来たなと思いました。
わたなべ:ああ、ちょっと前に東京コンピみたいなのが出て、『東京』っていうタイトルの曲ばっかり集めたアルバムが出たときに、何で俺書いておかなかったんだろうって思って。
まなん:あはは(笑)。
わたなべ:それもあった。
●はい(笑)。「まだここに立ってる」のワンフレーズが凄く効いてますね。
わたなべ:そう、これがあるかないかで全然違ってくると思うんですよ。僕もそっちだよっていう、何処から俺が歌ってるのかっていうのは、この一行が入るか入らないかでガラッと変わっちゃうし。大事な一行です。

■M12.笑い
●これを最後にした意味とか。
わたなべ:これはメンバー皆で曲順決めてた時に、その、最後のサビが皆でユニゾンでワーって歌ってて、この曲で終わるのが凄くアルバムのイメージに合うなって思ったんですよね。ドリフみたいな感じ?
まなん:あはは(笑)。
●ドリフかー!(笑)。私は明日があるさ的なイメージでしたね。
まなん:そういう感じ。
わたなべ:ああー。サライ的な感じね。やっぱり最後は皆で歌うのが良いと思うんですよ。
●歌詞的には?ライナーのブコウフスキーっていうのは。
わたなべ:そう、ブコウフスキーって人の本を読んでいて。結局何が言いたいのかって言うと、この世は笑いだけでもないし、悲しみだけでもないよっていうことです。両方ちゃんとあるよって。簡単に言うと楽しいことだけじゃないって言う事は、悲しいことだけでもないよって。
●それをあえて言ってみた、言っておきたかった?
わたなべ:うーん、そうなんだなあって、分かったから、やっと。自分が歳をとったことによって。歳をとると良い事も悪い事もだんだん増えるんだけど、それが歳を取ることの良さだと思うし、生きていくことっていうのも、そう言う事だと思うんですよ。生きていくと絶対、悲しいことも必ずそこにはあるんです。だけど、楽しいことも必ずあるんですよ。だから生きていく、わけで。…これもだから、言って欲しかったからかな、誰かに。
●ああ。
わたなべ:悲しみばっかだなって思うときもあるし、あったし、そういう時に「あ、笑いもあんのか」って、これを聴いて誰かが思ってくれたら。つうか笑いもあるんです、それに気付いてないだけで。
●気付かせてあげたかった?
わたなべ:気付いたから、うん、歌にしたかった。
●あと、「いつかは還すこの小舟」とは?
わたなべ:それは、僕のこの身体です。身体って、これを借りてそこに命が宿って、今生きてて、死んだらこの身体を返すわけで…この身体を借りて生きてるウチに何処まで行けるかなって。別に何処に行かないでずっと引きこもって家に居ても良い訳じゃないですか?「このまま揺られてようかな」っていうのはそういう事で。此処に居ても良いし、何処かに行ってもいいし、それはその人が決めることだから。
●聴く人に選ばせてあげるというか、猶予を持たせてあげてる?
わたなべ:うん、何か、聴いた人が、その人なりに捕らえればいいから、答えは全然無いんだけど。『ありがとう』と同じで、生きているウチに、感謝の気持ちを伝えられるかなって事でもあるし。笑いがあるって、凄い救いだなって思うんですよね。だから救いの歌なのかな。
●ああー。最後の一行も効いてますね。
わたなべ:うん。曲中の中の犬はこの隣の犬で、最後は俺なんだけど、叫ぶように歌ってる、俺。なのかなって。日常が繰り返していっている。
●そう聞くと日常とか、生きているからこそ気が付けることみたいな物が、今回全部裏テーマみたいになってるっていうか。
わたなべ:うん。そうすね。やっぱり人生一回しかないし、例えばライブの会場に人が集まるのって、凄く奇跡的なことだと思うし、そうやって来てくれた人達と、とにかく楽しい時間を共有できたら一番良いなと思う。それだけで、シンプルで良いんじゃないかなって。うん。全てはそこが出来て、その先にあるんじゃないかなって…気がするので。なので、バンドがそこに辿り付く事が出来たので、これからが楽しみではあります。ようやく、こっからいろんな事が出来るんじゃないかなって。はい。

●全12曲、お一人ずつ、どんなアルバムが出来たと思いますか?
まなん:なんか、またここから始まるっていう感じは凄くあるので、凄くポジティブだなと思います。作品としても前向きと言うか、ワクワクするし「あ、ニコルズについていこう」って、聴いてる人に思って欲しいし。この先どうなっていくんだろう?っていうワクワク感は凄くあります。とにかく楽しいです。これを生で聴いてみたいなって思ってくれる人が増えたら凄く嬉しいです。もっともっとライブに来て欲しいです。
わたなべ:いいアルバムだなと思います。単純に。で、全曲新曲でアルバムを作ったのは初めてだったので、今まではシングルとかリード曲とか入ってきてたんだけど。そういった意味で、12曲で一丸となって、一つの作品になってるかなって。誰かが引っ張って行ってるとかではなくて。12曲で一塊になってるなって思うので。うん。凄く納得のいくアルバムが出来たような気がします。
●はい。ではタイトルに込めた意味を教えてください。
わたなべ:「さん」です。三枚目のアルバムだから『SUNRISE』です。
●マジかー(笑)。
わたなべ:あははは(笑)。
まなん:流れ的にそうです(笑)。『ONELBUM』、『ニューレコード』、『SUNRISE』。
●あー、そうか、そうですよね(笑)。
まなん:でもちゃんと意味もあって。スグ決まりました。
わたなべ:最初は『SUN』にしようかと思ってたの。三枚目だから。でも『SUNRISE』にしました。
まなん:良いじゃん!って。

●今後の予定を。
わたなべ:来年、1月26日に東京グローブ座でワンマンをします。新春ライブ。
●グローブ座って基本は演劇のホールですよね?
わたなべ:そうですね。
まなん:ライブもたまにやってる人がいて。
わたなべ:アルバム出してからリリース後のライブをちゃんとやらなきゃと思ったので、全国から来てもらってもある程度のキャパがあるところと、今までにやった事ないところと、椅子があるところっていう、条件を満たしてくれたんで。初めて演るところなので楽しみです。アルバムの曲もいっぱい演れると思うし。
まなん:こないだの渋谷PLEASURE PLEASUREで初めて椅子ありのホールで演って、その時に「あ、ニコルズってやっぱりこういうの合うんだなって」自分達的にも、見てくれたファンの方達の感想も凄く良かったし。だからまた椅子ありの処で演りたいねっていうのはあったので。ちょっとまたキャパが増えたところでやれるので楽しみです。
わたなべ:これからもホールっぽい処とライブハウスっぽい処は両方、平行してやっていこうかなって思ってるから、それのホールシリーズ。どんどんデカイ処でやろうと思ってるので、それの第一歩です。
●はい。楽しみにしてますね。今後の野望みたいな物があれば。
わたなべ:野望…これを超える、次のアルバムを作ること。スグではないけど。良いのが出来た時ほど、次はどういう風に超えてくんだろう?って自分たちにワクワクするし。キンキンの野望はそんなもんすかね。
まなん:このアルバムで、もっとニコルズの名前が広まったら嬉しいし、知ってくれる人が増えてくれるのを願っています。
●ありがとうございました。(TEXT&PHOTO文中分:朝倉文江)


『SUNRISE』
01. ニューデイライジング
02. どんなときも
03. ありがとう
04. おはようグッドモーニング
05. City boy! City girl!
06. マウンテンハンドライン
07. GBT
08. PUSH
09. 初恋に咲く花
10. Sunny
11. 東京
12. 笑い
・初回限定盤
CD+DVD(Music Video+LIVE映像+ドキュメンタリー映像)
TYCT-69025/3,500円(税込)
・通常盤
CDのみ
TYCT-60025/2,800円(税込)
2013.10.09発売

LIVE SCHEDULE
・『SUNRISE』リリース記念 2014 ニューイヤーコンサート in TOKYO
東京・グローブ座
2014/1/26(日) OPEN / START 16:15 / 17:00
TICKET:指定席4,000円・ペアチケット7,500円(税込)
【お問合せ】 ローソンチケットインフォメーション 0570-000-777(営業時間:10:00~20:00)

・『SUNRISE』リリース記念 2014 ニューイヤーコンサート in OSAKA
梅田Shangri-La
2014/1/18(土)OPEN / START 16:30 / 17:00
TICKET:3,000円(前売)/3,500円(当日)
チケット:12/1(土)10時より発売開始
ローソンチケット(Lコード:54306) / チケットぴあ(Pコード:214-997) / e+
【お問合せ】清水音泉 06-6357-3666(平日12:00-17:00)

★その他イベントライブ多数あり。詳しい情報はこちらへ。
■公式HP http://www.dwnicols.com/