LOST IN TIME『LIFE IS WONDER』インタビュー
INTERVIEW[2013.10.12]
●『遠すぎた橋』は5月の合宿でできたんですよね。どんな合宿だったんですか。
海北:まぁシュールな合宿だったよね。源ちゃんは毎朝カレーで起こされてたし。笑。
大岡:三井君のお爺ちゃん家に行ったんですよ。そこにスタジオがあって。
海北:音楽一家で。お父さんがギタリストで。僕らはお爺ちゃんの家のスタジオに寝泊まりもするような感じで。三井君の実家に行ってご飯振る舞ってもらったりしてたんです。食卓で日常の親子の会話が音楽の話なんですよ。例えばスピーカーのハンダのメーカーについてとか。笑。合宿スタジオにおいしいカレーを用意しておいてくれて、俺とキング(スタッフ)が早起き派なんですけど、俺は先に寝ちゃうから。源ちゃんと三井君は朝方まで素材とか色々用意してて朝方寝るから遅く起きるんですよね。だから昼くらいに起こすタイミングでキングがカレーを熱々にして、寝起き何秒で食べるかチャレンジやりましょうって。笑。写真を抑えて。
大岡:ツイッターとかで遊んでました。笑。あれは事務所NGです。笑。
●笑。見てましたよ!ホントに面白かった。…脱線しちゃいましたね。
海北:『遠すぎた橋』に関しては、アルペジオがまず出来てベースとドラムが乗って変拍子入れてやってみようって感じで進みましたね。曲がシリアスなんで思い切ってシリアスな歌詞を当て込んでいきました。タイトルがすごく好きなんです。橋ってコミュニケーションのツールで、江戸時代の東京は舟だったんですって。橋があると人の行き来があるってことだから。見方を変えるとそれだけ軋轢が起こるってことでもあるし。そんなことを考えている時期だったんです。タイトルどう?って源ちゃんに聞いたら「絵画か??」って言われましたけど。笑。
大岡:なんか絵のタイトルみたいじゃないですか?俺はこの曲で見えるのは全部秋田の風景ですけどね。笑。秋田って日照時間が短くて日本の北欧って言われてるんです。完全に秋田だったから出てきたアルペジオだったと思います。ちょっとひんやりとしたような。
●『S.E.』もそうだし『遠すぎた橋』も、元気に始まらないパターンですよね。
海北:1曲目に持ってこようっていうのは僕のアイデアを採用してもらったんです。『歩く速度とその矛盾』とか『ジャーニー』とかっていう、元気な感じから行くべきなんじゃないかっていう案もあったんですけど、『遠すぎた橋』もレコーディング最後の方だったし、ミックスとかの感じを聴いてて壮大な感じになるって確信があったから「これから始めるべきです」ってお願いしたんです。最初以外には居場所がなかったとも思っていたし。
●最後まで聞くと結果そう思います。
海北:僕の中に『ロスト アンド ファウンド』のタイミングで当時プロデューサーだった竹内さんに教わって、今でも大切にしているテーマがあるんです。それは「読後感」の良さって大事だよねって事で。本を読んだ後みたいなことで、音楽だから聴後感って言うべきですかね。『ロスト アンド ファウンド』ではずっとインナーな曲が続いていくんだけど、最後『陽だまり』で爽やかに終わる。そういう感じ。今回はそういう意味ではハッピーエンドかどうかはわからないけど『誰そ彼』で終わるっていうのは、『遠すぎた橋』で始まるのと同じくらいイメージが出来ていたんです。

●『誰そ彼』はいつ頃できたんですか。
海北:これは早かったんですよね。秋田の頃にはピアノの弾き語りっぽいのができていたんです。あの頃にはもうあったよね?
大岡:そうだね。ピアノ弾いてベース弾くみたいな感じにしようって話をしてたと思う。
海北:でもあんまり二人のリアクションが良くなくて。
大岡:まだちゃんと形が見えなかったっていうのもあったと思うんですよね。
海北:ほぼほぼデモテープを作ってから二人に聞かせたんだよね。そしたらみっちゃんも「超いいじゃん」って言ってくれて。
大岡:三井は秋田からあったと思ってないと思う。笑。
●『誰そ彼』って「黄昏」の古い言葉って意味があるんですよね。その他の意味みたいなものに「人生の盛りを過ぎた年代を例えて言うこと」って書いてあったので、まだ早くないですか?って軽くツッコミましたけども。
海北&大岡:笑。
海北:単純に僕は夕暮れのイメージで書いたんです。トワイライトっていうニュアンスは『黄昏』でこっちの『誰そ彼』はうっすら暗くなってあの人は誰かな?って感じ。僕が弾き語りツアーの移動でバスに乗ろうとした新潟のバスロータリーで、高校生くらいの子が弾き語りをやってたんです。フジファブリックの『若者のすべて』だったんですよ。凄いヘタクソだったんですけど、凄く切実で、目を離せなくなっちゃって。あのシチュエーションが凄く良くて、いつか歌にしたかったんです。それで秋田の合宿で作ったメロディーと合わせたんですよね。こういう使い方で許可も必要ないのかもしれないけど、気分がモヤモヤしてたんで、スタッフに言って金沢(ダイスケ)くんに取り次いでもらって、こういう形でタイトルを使わせてもらってますって伝えました。「ありがとう」って言ってもらえて、胸のつっかえが取れました。この歌詞が入ったことで、この曲で歌いたかった事だったり、皆の心に残ってほしいことに、より色濃くコントラストがついて届くといいな、って思っています。
●アルバムを聞き終える事で自分の中でも上手に日が暮れていくような感覚は感じました。
海北:そう言ってもらえると嬉しいです。この曲はホントにいい曲ですよね。今までのどの曲もそうですけど、今回の曲はずっと歌っていたいって思える曲ばっかりなんですよ。デビューアルバムの曲とか、ロストインタイムってありがたいことに3人で演奏するのが困難な曲以外は、歌わなくなってしまった曲ってほとんどないんですよね。ほぼ今でも歌える曲ばっかりで、賞味期限がない感じを凄く幸せだなって思うのと同時に、この歌達を10年20年同じように大事に歌い続けて行きたいなって思うんですよね。
●元々「若者の為のもの」って限定な歌詞やメロディーではないから、エイジレスではあるんでしょうけど、だんだんと大人になってるってことでしょうかね。
海北:僕の脳みそに体と経験とストーリーが追いついてきたのかな?笑。まだまだ若造ですけど。

●今回の取材で聞いてみたいなって思ったことがありまして。最近「LIFE IS WONDER」って思ったこと。
海北:う~ん…。小さい頃から年に何回も同じような夢を見るんです。僕は乗ってないんですけど、夢で飛行機を見つけたらその飛行機が必ず堕ちるんですよ。それが、つい先週見た夢で、初めて落ちなかったんです。短い滑走路に緊急着陸で降りようとするけど、タッチアンドゴーで森の木々をバッキバキに折りながら飛び去っていったんです。それを泣きながら見送ったんです。他にも変な夢や不思議な夢をちょくちょく見ていて、結構覚えていたりして。夢って不思議だなって。
大岡:ずっと不思議に思ってることは、海北くんです。海北 IS WONDERです。俺は本当にそう思ってるんです。言葉の選び方とか、感受性とか、ずっと喋っていられるし。笑。不思議でしょうがない。その感覚になってみたいです。
●名言(迷言?)ですね。笑。だけどずっと一緒にやってるんですよね。
大岡:だからずっと一緒にやってるんです。どうしたらこうなるのかわからないです。謎。
●今後の予定はどんな感じですか。
大岡:ツアーと豊島公会堂ですかね。
海北:ツアーの一部なんですけど、その日にしか出来ないことがあると思います。豊島公会堂はどうやら数年のうちに取り壊されるらしくて、ロックバンドで使うのはもしかすると僕らが最後かも?だそうです。チケットが残り少なくなってるみたいなので少しだけ急いで下さい。僕らのお客さんって僕らと似ていて、ホントにゆっくりのんびりしている方が多いんですよ。笑。
●ツアーはいつからですか?
大岡:12日土曜日福岡から始まります。
●では最後にこんなアルバムが出来たよ~と読者に一言お願いします。
海北:僕にとって何年も歌い続けたいアルバムが出来たなって。このアルバムがひとつのキーだったよねって、そういう風になるような気がしています。2013年ってロストインタイムにとって凄く意味のある一年だったって5年後10年後に胸を張れると思います。
大岡:言ってもいいんじゃないですかね。最高傑作と。売れてほしいアルバムです。
●聴いて欲しいですね。
大岡:届いて欲しいです。
●そうです。売れて欲しいですね。今回凄く力入ってますね。
大岡:それは良いアルバムが出来たからです!良かったら聴いて下さい。笑。
●ありがとうございました。(TEXT:小野志穂/PHOTO(P2,P3):朝倉文江)


『LIFE IS WONDER』
01. S.E.
02. 遠すぎた橋
03. 歩く速度とその矛盾
04. ジャーニー
05. 撥条
06. あこたとらのしはい 
07. コップの砂
08. VTR
09. 週末のワゴン
10. 五月の桜
11. 誰そ彼
UKDZ-0149/2520円(税込)
2013.10.9発売

ライフ イズ ワンダー TOUR 2013
10月12日(土) 福岡SPIRAL FACTRY w/白☆星/PARAEL STRIPES
10月14日(月・祝) 札幌Sound Lab mole w/秀吉/Ao
10月18日(金) 千葉LOOK w/伊藤文暁/ircle
10月20日(日) 水戸ライトハウス w/cinema staff/つづくバンド
11月 2日(土) 仙台パークスクエア (ワンマン)
11月 4日(祝) 高崎 club FLEEZ w/秀吉
11月 9日(土) 大阪梅田AKASO (ワンマン)
11月10日(日) 名古屋APOLLO THEATER (ワンマン)

ロストインタイム大作戦 ~君に一番 伝えたいこと~
11/16(土) 東京 豊島公会堂 (ワンマン)

ロストインタイム大作戦 ~君に一番 伝えたいこと~
12月21日(土) 熊谷 HEAVEN’S ROCK VJ-1 (ワンマン)

★チケット発売中、詳しくは公式HPへ。

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