■Diamond Rocks
●またロックが。
佐々木：またロックが。これは完全に「石」のロックで（笑）。
●渡邊君がテーマなんですよね？
佐々木：そう、ナベちゃんがめっちゃ悩んでる時に書いたんですよ。もうちょっと違うアレンジで、複雑なフレーズとかもあったんですけど、最終的にシンプルな方が伝わると思って、今の形になった。
●じゃあ「サニーボーイ」は渡邊君のこと？
佐々木：そうです。サニーボーイは少年中の少年の事なんですけど（笑）。最初はナベちゃんの曲だって伝えてなかったですね。今は分かってると思うけど。だから、まんま、その時のメッセージが出てる（笑）。強がってくれって。
●メンバーに対しての曲は初めてですよね。
佐々木：初めてですね。バンドとして、何かに立ち向かっていこうっていう気持ちが凄くあったから、バンドというフィルターを通して、俺から皆にっていうのに２人が付いてきてっていう事じゃなくて、バンドとしてって。でも『Diamond Rocks』書いた時はメンバーの事書こうっていう意識じゃなくて目の前の事を書いてただけだったんです。『Beer! Beer! Beer!』はもう姐さんのこと書こうと思ってたけど。自然とそういうモードになったのが自分でも嬉しくて。あ、俺今バンドのこと考えてるなって（笑）。変な言い方ですけど。バンドが良い感じで続いていく事と、「今日が最後かも」って一見矛盾してるなって自分でも思ったんですけど、その危機感があるから、今がスゲー愛しいんだなって感覚はある。何か違うシチュエーションで生きてる人にも伝わるかなって。

■月面のプール -Naked ver.-
●弾き語り風でストリングスもあって。
佐々木：はい。これはずっと弾き語りで演ってた曲なんで。2008年、正確には覚えてないくらい前に書いた曲で、弾き語りで毎回演ってましたね。だから特別な曲であることはずっとわかってたんですけど、やっぱ…何かが固まってない状況では出来なかったんですよね、アレンジが。何回バンドでアレンジしても上手く行かなくて。やるたんびにボツにして。もう、これ人に提供したら？って言われるくらいアレンジ出来なくて（笑）。
●そんな（笑）。バンドが成長したから、アレンジも決まって。
佐々木：そうですね、これが最初に「バンドが固まってるから、今なら出来るな」って気付かせてくれた曲ですね。色々躊躇しながらやってたのを、アレンジはストリングス入れるかどうかとか作業的な悩みはあったんですけど、この曲を今収録しようって決断を下せた時に、「俺、今、バンドを凄い信頼してるな」って思えたし。前だったらまだパスですねって先延ばしにしてたのを、今だと思えた。それが嬉しかった。
●タイトルにもなってる「月面のプール」ってどういう意味ですか。
佐々木：意味は俺も分かんないですね（笑）。オアシスじゃないけど…単純に昔の曲だからっていうのもあるんですけど、あんまり覚えてなくて。最近は凄く具体的に書くことが多かったんで、思った事そのまま書くとか、結構…詩的な意味の言葉遊びとか減ってきちゃってて。当時は言葉の響きとかイメージだけで先行させたりとかもしてたし。こないだ仙台のお客さんに、この曲を夜聴いてると、自分の背負ってるものを、夜のせいにしてもいいから、今は音楽に漬かっても良いんだって思えるって言われて。そういう聴き方もあるんだって。自分は凄く抽象的なイメージで書いたけど、そういう余地があるんだなって、作ってよかったなって思った。Aメロの歌詞は結構、今にも通じる「自分で選ぶ」ってストーリーなんですけど、Bメロで「月面のプール」が出てくるといきなりふわっとする。当時は分かってなかったけど、今思うと、そうじゃなきゃ伝わらない事ってあって、説明してない処が多分いいんだろうなって。当時はメロディから曲を作ってたので、メロディが呼んできたのが「月面のプール」って言葉だった。

■Beer! Beer! Beer!
●HISAYOさんの曲ですね（笑）。言われる前にHISAYOさんだなって分かりました（笑）。
佐々木：あはは（笑）。思いっきり書いてみました。構成としては３コードで、めっちゃ簡単な曲で、３つのコードが分かれば誰でも弾ける曲ですね。すぐ終わるし。
●ビールのプシュ音から始まる。
佐々木：姐さんの打上げでもう一軒行こうって言う背中、めっちゃたくましいんですよね（笑）。細いんですけど（笑）。やる気満々な感じの。これはレコーディングに凄く凝ってて、せーので録ったんですけど、クリックも聴かずにバーンと、３回くらいやって選んで。オサムさんがリバーブ（残響）に凝ってくれて、パーマ・ヴァイオレッツとか、イギリスの最近盛り上がってるバンドサウンドを重視して。ザ・ヴァクシーンズの前座やったときに、クソー！ってめっちゃ悔しくてその感じが残ってたのもあって、オサムさんと話して。普段はリバーブって録った後につけるのが普通なんですけど、かけっぱなしで、後悔しても知らないぞって感じで録って、良いのが録れたっていう。
●ライブレコーディングみたいですねぇ。
佐々木：プシュっていうのも、これは録った日の最後の曲だったから、姐さんと「もう、呑もう！」って、呑んでからやったんですよ（笑）。リアル呑みレコーディング（笑）。ナベちゃんだけは真面目に飲まなかった。

■理由なき反抗 (The Rebel Age) -Never Mind The Bollocks ver.-
●ラストですね。これを入れることにした事と、最後にした事について教えてください。
佐々木：入れることにしたのは、『FUCK FOREVER』のリード曲だったし、この流れを象徴する曲でもあるし。テイチク入ってから始めて作った曲で思い入れもあったし。ホーンを入れるっていうアイデアが大きかったんですよ。FUJI ROCKで大先輩の勝手にしやがれと一緒に演らせてもらったときに、凄く手応えがあって。これでレコーディングしたいねって話をしてたし。そのFUJI ROCKでジャック・ホワイトを見て、ブルースとかロックンロールに色んな楽器を入れて方向性を広げててかっこいいなと思ったのがあったんで。だからストリングスとか鉄琴とかが自分の中でOKになったのもあるんですよ。で、ホーンをレコーディングで入れるっていうのがやりたかった。
●華やかでカッコイイですね。踊れー！っていう感じ。
佐々木：そう、楽しさが倍増してる感じ（笑）。シャッフルで踊れるバンドはあんま居ないと思うけど、俺らは結構得意技でいれるつもりなんで。この曲は、歌詞が、一番そのまま書いてるんですけど、「君からしたらこんなのってバカみたいかい」っていう問いかけが、バカでOKなんだっていう自信の表れなんですよね（笑）。遅れてきた反抗期の最初の１曲目で。その思い入れは凄い強いですよね。これは怒りみたいな感覚を、笑い飛ばせる気持ちで書けたのが大きかったし、明るい曲調とリズムで作れたのは、一つ自信になりましたね。曲順は、『月面のプール』が最後でしめっぽく終わらせるんじゃなくて、その後はアンコールな気分なんですよね。で、「僕は僕でありたいだけ」で、終わって、頭に戻ると『I'M FREE』になるっていう。こじつけですけど（笑）それは凄い良いなと思って。
●なるほど。これトータルして短いですよね。12曲で1時間切ってる。
佐々木：そう、短い。40分台です。短い曲を書けるようになりましたね（笑）。昔は４分くらいは普通だったんですけど。
●正に2013年に、フラッドらしい、ケンカできるアルバムが出来たなって思います。
佐々木：ありがとうございます。お客さんを信頼してるから、もっと良い景色を見せたいし、良い景色を見た自分はまた面白い事が出来るんじゃないかなって思ってて。アルバムが完成した感じが凄く満足してるんですけど、出来たばっかりなのに次にもうグツグツ来てるっていう（笑）。

●このアルバムを引っさげた全県ツアーが！半年くらいツアー漬け？
佐々木：そうですね。10月から春先くらいまで。
●全県をやろうと思ったのはどういう所から？
佐々木：まあ、今だなっていうのもあるし（笑）。20本くらいのツアーは多かったんだけど、全県は憧れとして前からやりたいなって言ってたんです。遂にココで。何処に行っても通用するロックンロールをやってると思ってるんで。それが試せる、日本中行ってきましたって本当に言えるし。どこでもこれが通用するっていう証明が出来ると思うし、逆に同じ歌でもこの町ではこう変わるんだなっていうのも出てくると思うから、それが楽しみですね。
●実際やるって決まった時はどんな気持ちでした？
佐々木：うーん、心配よりも「楽しみ」の方がデカかったですね。俺も見た事のない景色を見ると、経験から詞を書いてるっていうのもあって、また新しい言葉が自分から出てくるんじゃないかなって。『I'M FREE』が本当に強いアルバムかどうかも試されるし。今凄いライブが、バンドっぽくなってるって感じて、ちょっと前まではカッチリ考えてやろうって思ってたのを、今はもっとダイナミックにやろうっていうテーマになってきてるんで。それはもう『I'M FREE』を作りながら考えてきた事でもあったし、今ならそれが出来るんじゃないかなって。メンバーが変わりまくってるとイチから構築し直さなきゃならないから。丁寧にやるしか出来ないし。俺とナベちゃんはそんな器用な方じゃないから、丁寧にやってるつもりでもまだまだ甘いっていう。そこにソネさんが来て、姐さんが入って、今はもっとダイナミックな音を出したいと思ってるから。そこで体質改善じゃないけど、筋力トレーニングみたいな事をやってみたりしてるし、バンドが成長した所を見せたいなって。アルバムだけじゃなくて、ライブバンドとしての俺らを更新していきたい。
●最後にこのWEBサイトを見てる人にメッセージを。
佐々木：TOTEが、…僕は昔から朝倉さんの事、知ってるじゃないですか？そういう人が立ち上がってるとこ見るのは俺も凄く嬉しいし、『Blues Never Die』の歌詞でも「血が通ってるかどうか」みたいな事書いたんですけど、テイチクに来たのもそれがデカくて、ディレクターが熱い人だったっていうのもあるし。ここに来たら何かもっと面白いことがあったり広がったりすんじゃないかなって期待してるから。そういう関係が一番良いと思うんですよね。こういうインタビューもそうだし。『I'M FREE』はタダだって書きましたけど、金がどうとか、経済的な事に振り回されて、世の中のこと判断してると、俺は絶対良い結果にならないと思ってるし。そういう意味では『I'M FREE』と「TOTE」の立場はリンクしてるんじゃないかなって（笑）。TOTE、俺は期待してるし、もしそういう感覚が理解出来る人達は、ロックンロールがぴったりハマると俺は思ってる。だから『I'M FREE』聴けっていうのは勿論なんですけど、一緒にTOTEも成長して（笑）。
●わはは（笑）。何度もすいませんね（笑）。
佐々木：多分、ここで今何か立ち上がったり、続けようっていう決断を、こんだけしんどい2013年を受けて、それが出来る人は俺はカッコイイなと思うし。だから諦めが悪いくらいが俺はカッコイイと思ってるし、『I'M FREE』でそれが伝わるといいな。
●ありがとうございました。
（TEXT:朝倉文江）

■公式HP　http://www.afloodofcircle.com/

＜LIVE情報＞
47都道府県を回る正真正銘の全国ツアーが決定。詳しくは公式HPへ。
AFOCの47都道府県制覇！形ないものを爆破しにいくツアー／迷わず行けよ編　（対バンあり）
AFOCの47都道府県制覇！形ないものを爆破しにいくツアー／行けばわかるさ編　（ワンマン）
その他イベント多数更新中

• ▲戻る
• 1
• 2
• 3