ネモト・ド・ショボーレ対談連載
TALKIN' REC TAPES #7ゲスト:あヴぁんだんど 宇佐蔵べに
SPECIAL[2017.11.22]

ネモト:うさべにちゃんは最初にLEARNERSで歌ってるの見ていいなと思って、その後に『Hello!!』のPV見て、振る舞い方とか表情が凄く良くて、この子は表現者なんだって思った。バンドマンでもかっこいいバンドって自分の見せ方わかってたりするじゃん。この子同じ部類だなと思って。特にPVとかって自分も経験あるけど、あんな顔できないんだよね。
●ご自身で撮ってる写真にしても、格好がつく、様になる方だなと思いました。アイコンになれる感じというか。
ネモト:じゃあ、アイドルじゃなくてもいいじゃんっていうのでもないんだよね。アイドルとしてこういうことをやることが凄く意味がある。もしかしたら、うさべにちゃんを見て、私もこういうことをやりたいって思う子が出てくるかもしれないし、後に続ける、前例を作ってると言ってもいいかもしれない。
べに:うわー!
ネモト:少し他の感じだと、生ハムと焼うどんも凄いなと思ったけど、うさべにちゃんはもっとポップカルチャーのところにいる人なんだよね。
●アイドルによくあるサブカル感とは違う印象ですよね。
ネモト:うさべにちゃんはサブカルの人じゃなくて、ポップカルチャーの人なんだと思う。
べに:わー!ここ拡大で(笑)。サブカルって言われると、ん?って思っちゃうんですよね。私の中で偏見を持っちゃっていて、一度テレビであヴぁんだんどをサブカルグループって紹介していただいたんですけど「んーそうかな、そうなるよな」って。
ネモト:妥協して、分かるよっていうかね。あヴぁんだんどは全然違うと思う。
べに:ちなみに生ハムの西井万理那ちゃんと一緒にAPOKALIPPPSっていうグループをやります。まだ色々決まってないんですけど。
ネモト:いろんなことをやるのはいいと思うよ。
べに:誘ってもらったのもめちゃくちゃ悩んで。私の好みではないかもとも思ったんですけど、でもお休み中の経験として凄くいいなと思って。
●それはいろんなアイドルから集まったグループなんですか?
べに:そうです。私とにっちゃんと、ゆるめるモ!のしふぉんさんと、ぱいぱいでか美さんという謎のメンツなんですけど(笑)。今新メンバーをオーディションしてて、全く未経験の子も入ってくる予定です。あヴぁんだんどでは振り付けもしてるんですけど、そっちでは一切しないし、ダンスの先生がついてやるから、それも未経験だし。よりアイドルらしくというか。
ネモト:いいんじゃない?あヴぁんだんどは表現者として、そっちは演じる勉強っていうか。あヴぁんだんどはうさべにちゃんがいなかったら成立しないからね。
べに:そうですね。凄くいろんな神経を働かせながらやってます。前は3人だったんですけど、その子が辞めちゃうって時に、もう絶対に私とこたちゃんじゃなきゃ、あヴぁんだんどは成立しないなって思って。
ネモト:俺も昔の映像とかも色々見たけど、今の2人が一番いいと思った。2人とも独特の個性を持ってるから、ここに誰か入ったら薄まっちゃうなって。あヴぁんだんどの歴史として大きな会場とかでもやったことあると思うけど、今の方が表現として強度があるというか、可能性があると思う。4人や3人でやってた頃と、今の2人と10年後続いてるのはどっちかっていうか。根本的に違うんだろうけど。
べに:私もあの頃は売れたいっていうマインドになってて。4人の時はプロデューサーが2人いて、1人が作曲してくれていて、その方も凄くいい曲を書くんですけど、メンバーの売れたいって気持ちと、プロデューサーの方の気持ちが合わなくて。2人は売れなくてもいいから、いいもの作りたいって思ってくれてて、でも私たちは若かったし、売れたい、人気出たい、もっと明るい曲書いてほしいって思っていて。でも4人から3人になって、2人になってってなったら、マインドも徐々に変わってきて、やりたいことやりたい、売れるなんて最初から気にしててもしょうがないなって思うようになりました。だんだんグラデーションで変化してきたのかなと。
ネモト:それも経験してみないとわからないしね。
べに:はい。経験してきたことって、ちゃんといい方向に行くんだなと思います。
ネモト:2人のアイドルってあんまりいない気もするし、今の形は凄くいいと思う。
べに:2人のアイドルもいるんですけど、あんまり踊らないんですよ。あヴぁんだんどは踊るしかないって感じなので。
ネモト:俺らの世代だとピンクレディーとかめちゃくちゃ踊るしね。
べに:確かに(笑)
●踊ってる姿がすごく綺麗ですよね。動きが滑らかだし、手足の使い方とかが美しいなと。
ネモト:表現者としての動きの見せ方はすごく大事だと思っていて。音楽を音楽としてそれだけをやりたいなら、音源作ってネットで売るだけでも良いけど、ライブをするならそれプラス表現がないと。どうせなら見てる人を楽しませたいじゃん。それは自分も何かを見る時に楽しみたいと思って見ているから、見てる人にもそうやって楽しんでもらいたい。
べに:まさに。私もせっかく来てくれてるんだから、全力で楽しませたいと思ってます。あとアイドルってチェキ会とかあるんですけど、みんなに「嫌々やってるんでしょう?」ってよく言われるんですけど、全然そんなことなくて、楽しんでやっていて。音楽のこと凄く詳しく教えてくれたりする方もいたりして。
●いいファンですね。
べに:いいファンの方が多いんですよ。ありがたいことです。レコードくれたり。
ネモト:変な話、俺との繋がりも、そのファンの人がヨシノさんのこと教えてくれなかったら、ここまでこういう形で対談しようとか思わなかっただろうし。知った知識と感覚が次に繋がっていくと思うし、羨ましい。
べに:(笑)
ネモト:でも、俺にもいたよそういう人。バイト先の先輩が凄く音楽とか詳しくて、その人の家でレコード聴かせてもらったりとか。年上の先輩に色々教えてもらった。自分で掘るのも限界があるし、自分で掘っていくと偏っていったりもするからね。
べに:ファンの方にノーザンソウルのことを教えてもらって、こんな世界もあるんだって、YouTubeで神戸のカフェの動画を見たりして。
ネモト:ノーザンソウルもディープな世界だよね。俺も好きだけど、ここはその専門の人がいるから任せよう、俺はあくまでその人たちが掘って積み上げたものを教えてもらう立場でいようというか。そこで闘っちゃいけないっていうか(笑)。俺は何でも中途半端で専門家にはなれないから。どっちかっていうと、そういう要素を混ぜて違うものを作る人になりたいって思ってる。
べに:メディアですね。器というか。最近大学で習ったんですけど。その授業、レコードのことも教えてくれて。SP盤とかも聴かせてくれて。
ネモト:それはいいね。LEARNERSからオールディーズ好きになって、モッズとかも興味あるって言ってたよね。ノーザンソウルってモッズの人が聞いてた音楽だから、バラバラに好きになってるけど、どこか共通点があって、それが色々調べていくうちに全部繋がるんだって。
べに:大瀧さんもオールディーズ大好きだし。
ネモト:マニアだからね~。大瀧さんと山下達郎さんには知識でも誰も勝てないくらいじゃないかな。
べに:そうですよね。大瀧さんの本とかラジオとか聞いて、こんなことも知ってるんだ、凄いなって。