a flood of circle 『花』佐々木亮介 インタビュー
INTERVIEW[2015.11.26]
●『鬼殺し』はなんつーか、まんまですね(笑)
佐々木:これは書くの楽しかったですね。乗り突っ込みです。ばかやろう!って(笑)。
●ロックナンバーとして楽しい。あと、鬼ころし(お酒のパック)の差し入れの数、はんぱないっすね(笑)。
佐々木:凄かったです(笑)。家の冷蔵庫の中が鬼ころしでいっぱいになりました。入りきらなかった(笑)。これは、今回は『花』で、悩みに悩んだんで、ノリ一発でスコーンと作れる曲ないかなと思って。俺の中で決めてたのが、リフ一発であるって事と、絶対にクリックを聴かないって事(笑)。
●へー(笑)。(※クリック・リズムガイド音)
佐々木:これ、聴くとドラムどんどん早くなってますから(笑)。最近リフ物作ってなかったし、こんだけロックンロールバンドって言ってますから、リフ一発で勝負できる曲がなきゃ嫌だなと思って。やっぱり姐さんと5年やってきたのもあって、いい加減クリック無くても合ってくると思ったし。3人の中のグルーブみたいなものでやりたいなって。だって結局ライブはクリック関係ないですから。『鬼殺し』はもっと自由に録りたいなと思って。『花』は凄い、構築してたんで、『鬼殺し』はもうちょっとラフに。イントロからめっちゃノイジーっていう(笑)。
●あはは(笑)。
佐々木:あ、これちょっと他で言った事の無いエピソードなんですけど、あのエフェクターって、…ホワイト・ストライプスやってたジャック・ホワイトが、今レーベルやってるんですけど、レーベルのノベルティみたいな感じでエフェクターを作ってるんですよ。BUMBLE BUZZってエフェクターで、それはツマミが無くてスイッチだけしかなくて。
●わはは(笑)。
佐々木:押したらノイズっていう。ノイズが出ながら、ファズともオクターバーともつかない変な音が出る、ジャックっぽい音が出るんですけど、それをソネさんが、僕らのサポート終わった後ですけど、新潟の楽器屋で「亮介、こんなんあるで」って写メ送ってくれて。「ヤバイす!これ探してたんですよ!」って。本当に探してて。日本で売ってないし。アメリカのレーベルのノベルティとして出してるから。誰か中古で出したみたいで、新潟の楽器屋で。そうしたらソネさんが買っておいてくれて。
●良い奴!流石。
佐々木:でしょ? 勿論代価は払いましたけど、わざわざ買って送ってくれて凄く嬉しかった。でも、ノイズしか出ないから中々使いどころが無くて(笑)。ずっといつ使おうって思いながら一年くらいが経って、今回やっと。『鬼殺し』今だ!って。ブルースロックっぽいリフなんで、合うなと思って。
●なるほど(笑)。
佐々木:なので、あの音はソネさんのおかげで出せてます(笑)。実は。

●はい。『Dreamers Song』
佐々木:これ、久々に聴いたらスゲー良い曲じゃんと思って、普通のバンドはこれをリードにするよなって思いつつ。
●ああ(笑)そうかも。
佐々木:これもフラッド流のこだわりが結構あって、ポップな曲っていうのは意識して作ったんですけど、サビに来るのって…J-POP的にはAメロ・Bメロ・サビなんですけど、これはAメロ・Bメロ・Cメロ・サビにしてて。で、間奏があって、また同じ構成っていうちょっと変わった構成になってて。ポップな曲なんですけど、そういう引っかかりみたいなものは作ってる。
●はい。歌詞に「一夜にして生まれ変わる」ってありますが、そんな経験も?
佐々木:経験…うーん、したいっていう願望もあるんですかね。俺いつも、いつかやろうって思ってることって一生やらないと思ってて。これ前にも言ったかもしれないんですけど。『オーロラソング』の時に言ったかな?ああ、オーロラ本当に見たいと思ってる人は全財産投げ打ってでも見にいってるって言ったかも。世の中には「いつかギター弾いてみたい」って思ってる人はいると思うんですけど、俺は本当にやりたいからもうやってるだけっていう感覚なんですよ。俺の中にも勿論、油絵やってみたいとか、ピアノ習ってみたいとか思うんですけど、それはもう10年くらい思ってるんですよ。
●ああ(笑)。
佐々木:多分このままやらずに死ぬなって思ってるんですけど。やりたい事っていうのはいつかやりたい事じゃなくて、今やってる事なんだっていうのを俺は思ってて。ここまで毎日色んな物を選んで、何を捨てて何を捨てられなかったかの集合体が今の自分だから。金とか色んなものを含めて何かを守ったり、譲れなかった事が自分がやりたい事だから。だからそういう意味では「やりたい」と思ったことを今日やり始めれば、今日で絶対変われるはずっていう。だから変わった日を、誕生日じゃなくても「HAPPY BIRTDAY」って言っちゃうっていう感じ。ああ、あと、映画見た後に、何か世界が違って見える時ってあって、それは良い映画だった時なんですけど。普段注意して見なかったものを見ちゃうとか。音楽もそうで、この曲聴いた後は世界が違って感じられるって凄い体験じゃないですか。あれ凄い好きなんで。自分でもそういう曲を作りたいと思ってるんですけど。それも生まれ変わる瞬間と言うか、俺だったら映画見た後のあの気持ちが凄い好きで。曲に出来ないかなと思って書いてる、感じですかね。
●その感覚を曲に落とし込んだ。
佐々木:そうですね。凄い、世界が変わっちゃう感じ。自分にとっての見え方ですけど。世界が変わる日っていうか。穂村弘さんっていう短歌の方が好きなんですけど、その人のエッセイで「生き延びる事と生きる事は違う」ってあって、生き延びるって飯喰うとか、合理化とか効率化していく、世の中の動きに乗っかっていくほうが生き延びるためには有利なんですけど。それこそ、就職しないでバンドやっちゃう事とか(笑)非効率的で、非合理的な生き方だと思うんですね。その瞬間の中に「生きてる」っていう実感がある。まあバランスなんですけど、生き延びる為の作業もしなきゃいけないし。難しいけど、「生きてる」っていう喜びとか、世界が変わって感じる時って「生きてる」喜びを感じる時だと思うんですけど。「生きてる!」って感じるって、凄く愛しいなと思って。そういう煌きみたいなものを書いてる感じかもしれないです。

●はい。では『Trash Blues -Band ver.-』を。ボーナストラック的な。
佐々木:はい、『TRUSH BLUES』のバンドバージョンが。これは、元々『ベストライド』に入ってる物はピアノとギターの弾き語りなんですけど、その前にバンドVer.はあったんですよ。でもバンドVer.の方が尺がちょっと長くて。『ベストライド』の時は、尺的にも構成的にもアレンジ的にも、凄く軽くしたかったんで、1A2Aサビでおしまいっていう、アレンジもリズムなしっていう凄くシンプルな、ミニマムなサイズにして演ってたんですけど、バンドVer.もスゲー良かったんでやっておきたいな~っていうのもあったんです。結局ライブの時はリズム隊も居るし、藤井清也にサポートしてもらってたんで、ライブはバンド編成でやってたんですよ。それも凄く良かったんで、スタジオ入ってる時に録音しておいてもらって、それを入れてるって感じです。あえてキッチリ録音してないって言うか。その時のバンド編成の、間合いっぽい感じで入れてる。せーので録ってて、イントロでエフェクターをガチャって踏む音とか、弦の擦れる音とか、全部入っちゃってますね。
●良いですね。4曲入りで、豪華なシングルですね。
佐々木:はい、シングルとは思えないくらい大変でした、作るの(笑)。
●でも本当、良いシングルになりましたね。
佐々木:ありがとうございます。
●あと、アイテム的に日本語のタイトルは初めて?
佐々木:あー。漢字一文字は初めてですね。少なくとも。アカネとかあったし。でもこれだけ潔いのは初めてですね。英語のタイトル多いですからね。
●それだけ『花』が強かったと。
佐々木:そうですね。俺も、最後のフレーズが出来たときに『花』って名付けたんですけど、『花』って付けてデモ送る時にちょっと恥ずかしかったですね(笑)。みんなどう思うかな~って。花、って(笑)。
●ちょっと、微笑みすぎ(笑)。
佐々木:あはは(笑)。まあ客観的な自分がちょっと面白かったからイケたっていうのもあります。照れと言うよりは、「うわ、またこんな事言っちゃった、俺!」みたいなのを楽しんでるっていう(笑)。

●はい。今後のライブですが、バトルがありますね。
佐々木:はい。俺等、全県ツアーのファイナルの日比谷野音以来、ワンマン演ってないんですよ。なので、来年の企画の中で色々企んではいます。その、10周年の自分等の楽しい祭りを色々演る前に、日本代表選手を集めて頂上決戦をみせておこうかなって。これで勝ち残って来年を迎えたいっていうのもあるんで。見逃せませんよっていう。バトルロイヤルっていうタイトルどおり、キーワードとしては乱闘・乱入とか(笑)此処だけでしか見れないものもあるので、是非来て欲しいですね。
●来年は結成10周年イヤーですが、どんな年になると思いますか?
佐々木:10周年イヤーは…上半期はまず10年を総括します。色んな意味で、とだけ言っておきましょう。そして下半期でフラッドの未来を見せますっていう。もうプランは決めてあるので、詳しい事はまだ内緒ですけど、自分でもワクワクしてる。色んな事をやります。こうきたかっていうヤツを見せようと思ってるんで。
●お楽しみにと(笑)。来年の上半期・下半期の考え方は『花』にも通ずるね。
佐々木:ああ、確かに。そういう意味では10周年を占ってる曲だったかも知れないですね。
●では読み手の方にメッセージを。これはCD発売されたからの公開になるので。
佐々木:はい。フラッドを既に好きで居てくれる人達に向かって言う事は、自伝とか言ってるから懐古的な曲かと思われるかも知れないけど、さっき言った、サビの圧倒的な強さを作り出すためだけに転調とか色んな技も駆使してるし、本当にフラッドの全てが入っていると同時に、新しいフラッドが見れる奇跡のような曲なんで聴いて欲しいっていう。で、フラッドを知らない人がこれを読んでくれてるとしたら、多分こんなに熱い曲、歌詞が熱い…暑苦しい「暑さ」と分厚さの「厚さ」もあるんですけど、それを兼ね揃えた曲は本当に日本のロックシーンに一個も無いと思うんで、是非チャレンジして聴いてみて欲しい。どの時期のフラッドが好きな人にも絶対刺さると思ってるんですよ。だから今フラッドを食わず嫌いしている人程聴いて欲しい。
●はい、ありがとうございました。

(文・写真(2-3p)/朝倉文江)


『花』
01. 花
02. 鬼殺し
03. Dreamers Song
04. Trash Blues -Band ver.-

CD+DVD(初回限定盤)
TECI-380 / 2,000円(税別)
CD(通常盤)
TECI-381 / 1,200円(税別)
Imperial Records
2015.11.04発売
LIVE SCHEDULE
『AFOC presents VS tour "BATTLE ROYAL 2015"』
2015年11月27日(金) 東京 ZEPP DIVERCITY TOKYO 
ゲスト:9mm Parabellum Bullet 

その他、年末年始含めイベント多数出演
詳細は公式HPにて

■公式HP http://www.afloodofcircle.com/