カミナリグモ『続きのブランクペーパー』インタビュー
INTERVIEW[2015.03.20]
人生自体がブランクペーパーであって、道はどんどん紙から紙へと書き足していく。
その地図を描いていくのは自分達自身なんだ、だから目的地もないし行き止まりもない。
僕らの続きの物語に是非参加してもらいたいなと。
これからも続いていけるように。

2年4ヶ月ぶりのオリジナル作品は音楽の旅を続けて行く決意と希望が詰まった、始まりの季節に相応しいミニアルバムだ。体制の変化や近況、新譜について2人に話しを聞いた。
●TOTEでの取材は久しぶりになるので、よろしくお願いします! 2013年以来になるので、まずは2014年を振り返っていただいて、どんな動きでしたか。
上野啓示:とにかくライブを沢山演っていたなぁって印象ですね。メンバー2人だけの音楽の形という物を挑戦していた年っていう感じですかね、2014年は。それまでのバンド編成での音源やライブの形から、2人での…ゴマちゃんがトラックを操作したり、ステージセットを導入して、足元で操作したりっていう、のを、思い付いたのが2013年の暮れくらいで、そこから、色々買い揃えたりして、2014年はどういう事がどこまで出来るんだろうっていう中で、上手くいかない事もあったし、割と上手くいく事もあったりっていう。バンド始めた時ってそうじゃないですか?音楽始めた時っていうか。色々試行錯誤しながらやっていって、それがこう…色々とやりたい事ややろうとしてることがハッキリと見えてきたかなと。やっぱりその中でも、今はどんどん新曲に「今の形」で向き合っていくっていう段階で。それまではバンド編成でやってた曲を2人でリアレンジするみたいな感じで、その苦労もあったんですけど…2014年は平行してて、リアレンジする事と、まったく新しい、2人の形で新たに作り出す曲を、どうライブで再現するかっていう。会場限定の音源やライブで試みてはいたんですけど、それがこれからは完全にそっちのほうにシフトしていくっていう事に、やっぱりなりますよね。
成瀬”ghoma”篤志:その、ライブとか、やってみないと分からない事とかいっぱいあったので、2013年の暮れに、「出来そうだな」ってイメージはあって。そういうのを実際やってみてどうなのかっていうのを、やって、試行錯誤して、修正するところはしたりして。最終的なライブの出口がようやく見えて、新曲とかもどう作るかっていうのが固まってくるし。そういうのを結構色々試した一年間だった、っていう感じです。
●色々試行錯誤した集大成が去年の8月の東京FMホールでのライブで?
成瀬:そうですね。
●初ホールにして大成功で、凄く良いライブでしたね!
2人:ありがとうございます。
上野:2人になったからって、こじんまりした感じにはしたくなかったので…例えば元々バンドで、ボーカルが1人になって、という形では無いので、元々2人だったところが、あらためて2人の音楽の形を作っていくっていう事だったので。そういう意味では…勿論その、2人だから出来る会場って事で、バンドでは出来ないような、カフェでライブをやったりとか、特に地方ではそういう機会が多かったんですけど、そこで留まるのではなくて、そこからまたどんどん2人でステップアップするっていう、事を、ずっと頭に入れながらやっていたので、東京FMホールで演るっていうのも、割とこう…大きい舞台でやろうっていう事は早い段階では話していて、そこに向けて、ツアーを組んだり。そういう2014年でしたね。
●実際あのステージに立ってみてどうでしたか?
成瀬:そうですね…でも、色んな試行錯誤の途中の部分もあるので、ホールライブとして一つ達成したなっていう部分と、もうちょっとこうしようかなって思った部分もやっぱりあったので、何か、あの舞台をやって「完璧!終わり!」って感じは全然無いっすね。初ホールっていう気分と…天井も高かったりとか、お客さんから聞こえてくる拍手とか、そういうのが一つ一つ、集大成的な気分は味わえたんですけど、やっぱり「これでOK!終わり」って気分にはならなかったです。
上野:2人でライブをして、立ち見もあって、あれだけのお客さんがあの場で確認出来たというか。これから活動していく勇気にはなりましたよね。自分達的にも、環境が変わって、またあらためて目標にしてた場所だったので。それが終わって、色々マネージメントとかレーベルも同時に動き出していける様な状況が整ったりして。自分達としては、そういう処も見越しながら動いていたんですけども、また…だから目標としてはいたけれど、終着点では無くて、これから始めるための、一つの、自分達でやってきたことのゴールっていうか。そういう感覚でしたね。さっきも言ったように、これまでバンドアレンジした曲のリアレンジも多かったので、その中で未発表の新曲とかも織り交ぜて演ってたんですけど、それが…これから2人で作り出していく楽曲、2人で作り出していくライブ、っていうところでまた、新たな目標を打ち立てていく、行かなきゃいけないなっていう、流れですかね。
●はい、2人でやる形の「これから先」を考えてたのが、去年の後半?
上野:そうですね。色々リリースも決まっていたりしたので、ホールの後に。だから過去の曲の2人バージョンじゃなくて、全く新しい曲で、これから勝負していってそれがどう評価されるんだろう?っていう、期待と不安と、入り混じったような感覚。でも、新しい事を始めるワクワク感っていうのはありますね。
成瀬:やっぱり東京FMホールっていうのは色んな一区切りではあったので、それが一つ現実になったからこそ、じゃあその後、それを下地としてこの先どうやって活動して行くのかっていう、リリースも含めて具体的な音源としての終着点をどうするかとか。
●大変さとワクワク感と。
成瀬:うーん。どっちもですよね。
上野:まあ、気が抜けないっていう感じじゃないですかね。
成瀬:それはいつでもだけど。
上野:リリースが無くてもどんどん曲が出来てくるタイプなので、常にリリースしたいっていう思いはあったので。そこに向けて色々こう…考えていく作業っていうのは凄く楽しくて。もう出したばっかりですけど、またスグにでもリリースしたいっていう気分です。

●そして待望のリリース、『続きのブランクペーパー』、ミニアルバムですね。
上野:そう、東京FMホールのあとに、リリースの機会を貰える事になって、そのあとは色々と収録曲をどうしようかとか、中々大掛かりな事は出来ないですけどプロモーションのアイデアを考えたりとか、僕らと、関わってくれる人と打ち合わせをしていく中で、実は収録曲も二転三転していて。まあ、収録曲っていうよりリード曲をどうしようかってところで、そっから逆算して他の収録曲も考えていて。今回リード曲になってる『サバイバルナイフ』っていう曲は東京FMホールの来場者特典CDにもなった曲でMVも作ったりしてたので、自分達の中ではこの曲の展開が一段落したというような感覚があったので、全く違う新曲を実は用意してあったんです。でもレーベルの方の意向もあって、やっぱりこの『サバイバルナイフ』という曲が凄くカミナリグモらしいし、このタイミングにもぴったりだと思うから、是非この曲でいきたいって言ってくれて。自分達的にもそういう思いはちょっとあったんですけど、一度この曲でもツアーみたいなこともやってるので、少し葛藤みたいなものもあったんです。…でもそのツアーに参加してない人たちや、これから新たにカミナリグモを知る人達に向けてと考えればいいのかなと考え直して、まあ、今のタイミングにこう…相応しい曲っていうのは一致していたので、この曲をリードにして、あと一曲、『ブランクペーパー』っていう、これも2014年のライブでずっと演ってた曲なんですけど、同じようなメッセージ性があって、『サバイバルナイフ』と同時に収録するには凄くイメージが湧いたので、この2曲を中心に選曲していこう、という流れでしたね。
●じゃあこの2曲が軸になって決め込んでいって。
上野:そうですね。でも自分はまったくの新曲、別の軸で6曲考えていて(笑)。そっから結構、また曲を書き下ろしたりとか、一旦解体したのが去年の11月くらいですか?
成瀬:12月の頭(笑)。
上野:12月の頭か。
成瀬:結構大変だったね。
●…結構ギリギリじゃないですか。ライブのMCでもお正月にアーティスト写真撮りに行ったといっていて、随分タイトなスケジュールでしたね。
上野:実際にリリースが決まったのは9月ぐらいかな、そっから半年後くらいのイメージだったので、進行的には十分だろうと思っていたんですけども、やっぱり同時にマネージメント、スタッフ周りも新体制で動き出してた中だったんで。色々と時間がかかってしまった。これからどう足並みを揃えていこうかって話から始まったし。僕らの中では制作にはこれぐらいの時間がかかって、とスケジュールを組んで曲だししてたんですけど、色々プリプロし直したりもして。
成瀬:想定よりも一ヵ月ぐらい遅かった。色々ね。
上野:お互いを知る期間も必要だったから。
成瀬:うん、でも協力者って言うか、声を掛けてくれる人が集まったっていうのも有り難い事だったし。
上野:それも自分達に魅力を感じてくれてるんだなっていう、自信にもなりましたね。
成瀬:やっぱ協力者がいて、舵取りも大変だったんですけど、僕らの外の感覚を持った人の意見っていうのも絶対大事だと思うんで。僕らに気付けない部分とかもあるし、最終的には良い形に出来たかなって。
上野:そう、売り出したいって言ってくれる人が強く言ってくれるのはありがたいことだとも思うし、『サバイバルナイフ』をリード曲にするのは悪い気はしなかったし。だからまあ、熱意のある人の意見も素直に聞きたいっていうのもありますね。