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LOST IN TIME『LIFE IS WONDER』インタビュー
INTERVIEW[2013.10.12]
僕らの新しいアンセムになるような曲を、仲間のミュージシャンと共に作れたっていうのは、
凄く幸せなことだと思っています。

生きていくことは不思議な事だらけだ。
この世に生まれ、何かのタイミングで選択して今ここにいる。
LOST IN TIMEの新しいアルバム『LIFE IS WONDER』にはその不思議を共有出来そうな何かが詰まっている。
解明しなくても、出会いに、別れに、出来事が、ワンダーだと感じるはずだ。
●はじめまして。TOTEです。『(   )トラスト オーバー サーティー』リリース後、どんな感じでアルバム制作に向かって行ったんですか。
海北(以下 海北):それより少し前からの説明になっちゃいますが、去年、「10周年おめでとう」って言われまくって、こんなに満ち足りた気分になることが、今までの音楽人生の中であんまりなくて。その反動で曲が書けなくなって。でもそういう時に背中を押してくれたり、鼓舞してくれたのは付き合いの古いミュージシャン仲間だったんですよね。それに去年は一色君がつばきに帰ってくるまでの動き、つばきフレンズが僕にとってひとつの支えになっていたのは確かなんです。名古屋での復帰最初のライブなんて、もう演者もお客さんも大号泣になったんですけど、一緒に楽屋にいるともらい泣きしちゃうなって思って客席で見ていて「俺らも頑張らなきゃ」なんて和奏(小田和奏 ex.No Regret Life)と話してたら、「実はNo Regret Lifeに幕を下ろそうと思ってる」って言われて。そんな感じで感情の波が昨年末にかけて激しくあって。それで、今の気持ちを書き残さなきゃって思って、前作の『(   )トラスト オーバー サーティー』の曲を作ったんです。そこには一色君に提供してもらった曲も収録して。
●そうでしたね。
海北:他にも新曲は出来たのは出来たけど、最終的に新曲が5曲の変則的なアルバムでしたからね。で、特に消化不良ってことでは無いんですけど、『30』って今の僕らの代表曲になる凄くいい曲が出来たけれど、まだ出し切れてないなって感覚が凄くあったんです。それで源ちゃん(Dr.大岡源一郎)と三っちゃん(Gt.三井律郎)に今年中にもう一作品出したいって提案させてもらったんですよ。
●それは『(   )トラスト オーバー サーティー』のリリース後の話ですか?
海北:リリースより前だよね。3月とかその位かな。
大岡(以下 大岡 ):全然前です。でも俺の中にも今年は2枚やりたいっていう考えは、年頭からあったんですよね。
海北:そんなことがあってツアーと並行しながら曲作りをして、その過程で前作で一色君と一緒に曲を作ったって事が、僕の中で凄くフレッシュな出来事だったんです。これはロストインタイムの新しいドアを開けてくれるって確信がありました。だから今回もまた誰かと一緒にやりたいなって思って。作った曲の言葉やメロディーがそれぞれ呼んでるミュージシャンに声をかけて。ただ『五月の桜』に関してはちょっと事情が違って。去年東名阪と仙台でやった10周年記念のワンマンライブのご当地ソングをそれぞれの街のために書きまして。その仙台バージョンとして『5月の桜』の原型が出来ていたんです。歌詞も今のものとはちょっと違って。それはその時のためだけにって感じで作った曲だったんで、1番しか無かったんですけど、続きを仙台に住むTHE YOUTHの中村君に書いてもらうのは凄く素敵だなって思ったからお願いしてみました。『歩く速度とその矛盾』に関しては、なんだか自分の中の着地点じゃないところにこの曲の結末を持っていきたくて、まだバンドのアレンジが固まる前ですけど、弾語りで歌っていた時に、なんとなく前向きで強い言葉が欲しいなって思っていて。それでランクヘッド再始動のライブの打上げで、小高君にきちんとした形でお願いをさせてもらったんですね。だからこの曲は完成からレコーディングまでは時間がめちゃくちゃタイトでしたね。レコーディング自体を7月までやってたし、結構ハードなスケジュールでしたね。
大岡:うん。そうだね。
●合間を縫ってやっていく感じですね。小高君と弾語りのツアーに出た時に相談したって話されてましたよね。そこから作詞を依頼するまでは時間があるんですね。
海北:そうですね。なんとなく頼みたいなっとは思ってたけど、色んな人と共作をするシミュレーションみたいのはずっとやってて。
●面白そうですね。この人と共作したらこんな感じなんだろうなって。
海北:今となってはこの曲が小高君を呼んでた気がしてるんですよね。打上げでちゃんと話をしてその次の週末位に音源を送ったらその翌日に、僕が弾語りしたテイクにドラムやベースやシンセまでバチッとアレンジしたデモが返って来て、ドンだけ早いんだ!!って驚きました。笑。その時に貰った歌詞そのままで、「これは、凄い歌になるな」って確信して。

●歌詞カードのライナーノーツに、海北君の歌詞と小高君が書いた歌詞はどこなのか想像して聴いてねって書いてありますよね。
海北:本当に新しい可能性のドアを開けてもらえたような気がしています。これまでの経験がきっとどんな歌であっても3人でアレンジして僕が歌って、源ちゃんが叩いて、三っちゃんが弾いたらロストインタイムの曲になるんだろうなってある程度の自覚が持てているからこその取組みな気がします。僕らの新しいアンセムになるような曲を、仲間のミュージシャンと共に作れたっていうのは、凄く幸せなことだと思っています。
●書けない時期を経て、思うように書けるギアに入ったのはいつだったんですか?
海北:レコーディングのスケジュールが見えてからですね。事務所の一室で毎日唸りながら。
大岡:レコーティング2ヶ月くらい前じゃないですかね。
●最近じゃないですか。
大岡:そんな感じだよね。笑。
海北:三っちゃんが「もうできねぇ!これ以上無い!」って言うのを二人で「いやまだある。」って励ますっていう。笑。まぁ最終的にその役目は源ちゃんに任せて。僕は二人がやってる曲とは別の曲に取り掛かったりして。秋田での合宿で出来た素材っていうのは半分くらいですね。東京に戻ってから出来た曲としては作曲を和奏に依頼した『VTR』とか。戻してもらう期日もなんとなくこの位までにって感じだったし、レスポンスも中々なかったりで少し心配したけど、なにかあったら俺が頑張れば…って思ったり。
●それは不安ですね。
海北:ホントに個性が出るなって思うんですけど、和奏からは弾語りに鼻歌な感じで程よいラフなものが届いて。その時点でバリエーション的に揃ってきてたから、この曲はどんな風にしようか?って三人で色んなアーティストの音源や映像を聴きまくって、最終的に落ち着いたのは80~90年代のJ-POPのイメージって言う。笑。
●時間の無い中だったなら今まで以上に密接な濃い時間を過ごしたんですか。
大岡:いや、割と個の作業でしたよ。それぞれの宿題。
海北:三井君には僕が前に使ってたパソコンを渡して、録音ソフトを覚えてもらって、源ちゃんと3人とも同じソフトを扱える様にして。
大岡:三井君って機械音痴なんですよ。笑。
●へぇ、意外ですね。
海北:あんなにギター弾けるのに、デジタルは全くダメらしいんですよね。
大岡:全くわからないみたいなんですけど、そんな彼が覚えちゃったもんだから大活躍しましたね。
海北:その辺は効率重視で考えてはいたんだけど、だからって精度は落としたくはなくて。その辺はレコーディングエンジニアの鳥羽さんがとても力になってくれましたね。流石というか、「明日が聞こえる(2009年リリース)」の頃からお世話になっている方なので、僕らがどういうサウンドを鳴らしたいのかを的確に理解してくれて。だから録音自体はとてもスムーズでしたね。あと、今回わりと気を使ったのがトータルタイムで。50分切ってるんですよ。だからスルッと聴けちゃう。けど、SEも入れて11トラックある。曲の構成はとてもシンプルに出来たし、勿論三井君とかは凄すぎてどうやって弾いてるのかわかんないところはあるけど。笑。そういう形が自分たちの中で出来たっていうのがとても嬉しいですね。今までは凝り性で色々なものを詰め込みすぎていて、詰め込まないと怖いってのもあったし。でも凄くシンプルでいいんだなって思えた事、「広く」ではなくて「深く」作るってことにチャレンジできたのは、今作の胸を張れるポイントですね。

●なるほどね。今回アルバムタイトルは『LIFE IS WONDER』ですね。どんな風にアルバムタイトルが決まったのか気になったんですけど。
海北:曲が出揃ってきて、それ自体も「出来てきちゃってるなぁ~不思議だな~」って思ってたし、「間に合うの?」って心配してくれるスタッフもいるけど、やるって言ったしやらなきゃって焦ったり、でもなんだかんだ出来てきちゃってる。それすら「不思議だな~~~」って思っていて。いくつか共通項になるものをタイトルの候補にリストアップしていたんです。その中に『LIFE IS WONDER』っていうのがあって。パッと聴いた瞬間にみんながこれがいいんじゃないかって言ってくれたんです。
●いくつかの候補の中からどんな風に決まっていったんですか。
海北:全部読み上げてたら、チームみんなが『LIFE IS WONDER』って良いかもねって言ってくれて、そこからはスルスルっと決まりましたね。他の候補は今後の曲の種にもなりそうなものがあったんで、それは今後のお楽しみにって感じです。他の候補の言葉は日本語でしっかり意味を届けようとしてる言葉だったりしたから。
●言い過ぎちゃう感じですか。
海北:うん。多少ぼんやりしてるくらいの方がそれぞれの曲が引き立つかもしれないなって。『ロスト アンド ファウンド』くらいから英語タイトルが続いてるのは、そういう意味もあると思う。日本語じゃない言語を使ってイメージに余白を持たせるのって凄く素敵だなって思うから。『LIFE IS WONDER』のLIFEって「生命」って意味でも「生活」や「人生」でもあるし。
●LIFEもWONDERも何通りにも考えられる言葉ですよね。
海北:そう。それぞれの曲が訴えようとしてる意味に対しても、結構しっくりくるって思えたから。今回良かったなって自分で評価している点は、ネガティブとポジティブのバランスが凄く良いアルバムに仕上がったって事で。
●本当にそう思います。
海北:30歳を過ぎて色んな所での発言、例えばSNSとか。前向きな発言をする機会が増えて、僕自身が前向きな人間でありたいなっていうのと、そう言う場で後ろ向きな発言をした所で、みんなの気分が曇るだけだし、って気持ちもあって。オフラインな場所で友達と愚痴り合ったりってのは、たまにしますけど、僕の「陽」の部分に触れてくれる人っていうのが間違いなく増えて来てくれていて。人間っていうのは陰と陽の部分があって、喜怒哀楽全部があって初めて成り立ってると思うから。だからネガティブな気分になった時にも30代になったことで、抜けだし方が上手になったのかもしれないですね。ミュージシャンとしてはどんな気持ちの時も、その気持ちが曲の種になったりするから、凹んだ時も一度そこに全身浸かってる自分がいて。でももう抜け出し方を知ってるから、冷静に歌詞を書いたり状況を判断したり出来るようになってきたんでしょうかね。去年の経験っていうのは凄く貴重で、満たされる事で歌が出来ないっていうような究極の波が来たわけです。言ってしまえば今もその状況とは変わりがなくて、いちミュージシャンとしてはこんなに充実した日々を送れている事は感謝することの方が多いし、そんな中でも曲は書けるんだって。
●それはどうしてでしょうかね。
海北:どっかで腹を括ったんじゃないですかね。満たされている場所にいるのは瞬間でしかないし。家に帰れば蕎麦茹でてるだけですからね。笑。
●笑。そういう悲哀というか日常感みたいなものも今作の中に感じますよ。凄く盛り上がったライブの後とか家に帰っても日常には戻れなそうですよね。
海北:確かにライブの後は寝られなくなったりします。今回は前作以上に曲数が多い分、そういうパーソナルな部分に前作以上に踏み込んで歌詞が書けたんじゃないかと思います。